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ねじ穴・タップ穴とは?基本用語の整理
機械図面で最も頻繁に登場する加工指示の一つが、ねじ穴(タップ穴)の指示です。まず基本用語を整理します。
| 用語 | 意味 | 英語 |
|---|---|---|
| ねじ穴(めねじ) | 穴の内面にねじ山が切られた穴 | Tapped Hole |
| タップ穴 | ねじ穴と同義。タップ工具でねじを切ることから | Tapped Hole |
| 下穴 | タップ加工前にドリルで開ける穴 | Pilot Hole / Drill Hole |
| バカ穴(通し穴) | ボルトを通すだけの穴(ねじなし) | Clearance Hole / Through Hole |
| ザグリ穴 | ボルト頭を沈めるための座繰り | Counterbore (CBORE) |
| 皿ザグリ穴 | 皿ボルト頭を沈めるためのテーパー座繰り | Countersink (CSK) |
ねじの図面表記の基本ルール(JIS B 0001)
おねじ(ボルト側)の描き方
- 外径(山の頂):太い実線で描く
- 谷径(谷底):細い実線で描く
- ねじ部の端:太い実線で区切る
めねじ(タップ穴側)の描き方
- 内径(谷底):太い実線で描く
- 外径(山の頂):細い実線で描く
- 正面図の場合:内径を太い実線の円、外径を細い実線の3/4円弧で描く
ポイント:おねじとめねじは太線・細線の関係が逆になります。これが最も間違いやすいポイントです。
ねじ穴の寸法指示方法
基本の表記フォーマット
ねじ穴の寸法は以下の形式で指示します。
M[呼び径] × [ピッチ] 深さ[有効ねじ深さ]
表記例
| 図面表記 | 意味 |
|---|---|
| M6 | M6並目ねじ(ピッチ1.0mm)、貫通 |
| M6 深さ10 | M6並目ねじ、有効ねじ深さ10mm(止まり穴) |
| M6×0.75 深さ10 | M6細目ねじ(ピッチ0.75mm)、有効ねじ深さ10mm |
| M8×1.25 深さ15 | M8並目ねじ(ピッチ1.25mm)、有効ねじ深さ15mm |
| M10 貫通 | M10並目ねじ、貫通穴 |
並目ねじの場合:ピッチの記載は省略可能です(JIS B 0205準拠)。
細目ねじの場合:ピッチの記載は必須です。
下穴径の早見表
下穴径は「ねじの呼び径 − ピッチ」で簡易計算できます。以下は代表的なメートル並目ねじの下穴径一覧です。
| ねじの呼び | ピッチ(mm) | 下穴径(mm) | バカ穴径目安(mm) |
|---|---|---|---|
| M2 | 0.4 | 1.6 | 2.4 |
| M2.5 | 0.45 | 2.05 | 2.9 |
| M3 | 0.5 | 2.5 | 3.4 |
| M4 | 0.7 | 3.3 | 4.5 |
| M5 | 0.8 | 4.2 | 5.5 |
| M6 | 1.0 | 5.0 | 6.6 |
| M8 | 1.25 | 6.8 | 9.0 |
| M10 | 1.5 | 8.5 | 11.0 |
| M12 | 1.75 | 10.2 | 13.5 |
| M14 | 2.0 | 12.0 | 15.5 |
| M16 | 2.0 | 14.0 | 17.5 |
| M20 | 2.5 | 17.5 | 22.0 |
※バカ穴径はJIS B 1001の1級(標準)を参考にした目安値です。
下穴深さの指示方法
止まり穴のタップ加工では、下穴の深さ指示が重要です。
下穴深さの計算
下穴深さ = 有効ねじ深さ + 不完全ねじ部 + 余裕
- 不完全ねじ部:タップの先端テーパー部分で、通常2~3ピッチ分
- 余裕:切りくず溜まりとして1~2ピッチ分
例:M6(ピッチ1.0mm)で有効ねじ深さ10mmの場合
下穴深さ = 10 + 3(不完全ねじ3ピッチ) + 2(余裕) = 15mm
図面への指示方法
- パターンA(推奨):ねじの呼びと有効ねじ深さのみ指示 → 「M6 深さ10」。下穴径・下穴深さは加工者に任せる
- パターンB:下穴径と下穴深さも明示 → 「φ5ドリル深さ15、M6 深さ10」。精度が必要な場合に使用
ねじ穴の有効深さの決め方
有効ねじ深さは「ボルトがしっかり固定される最低限の長さ」です。以下が目安です。
| 母材の材質 | 推奨有効ねじ深さ | 理由 |
|---|---|---|
| 鋼(SS400, S45C等) | ねじ径の1.0~1.5倍 | M6なら6~9mm |
| 鋳鉄(FC250等) | ねじ径の1.5~2.0倍 | 鋼より低強度のため深くする |
| アルミ合金 | ねじ径の2.0~2.5倍 | さらに低強度。ヘリサート併用も検討 |
| 樹脂 | ねじ径の2.5~3.0倍 | セルフタッピングねじも検討 |
バカ穴・ザグリ穴・皿ザグリ穴の指示方法
バカ穴(通し穴)
ボルトを通すだけの穴。ねじは切りません。
表記例:φ6.6 貫通(M6ボルト用のバカ穴)
ザグリ穴(Counterbore)
六角穴付きボルトやキャップスクリューの頭を沈めるための座繰りです。
表記例:φ6.6 貫通、φ11ザグリ深さ6.5(M6キャップスクリュー用)
皿ザグリ穴(Countersink)
皿ボルト(皿小ねじ)の頭を沈めるためのテーパー穴です。
表記例:φ6.6 貫通、90°皿ザグリφ12(M6皿ボルト用)
ねじ穴指示のよくある間違いと対策
間違い1:有効ねじ深さと下穴深さの混同
「深さ10」と指示した場合、有効ねじ深さなのか下穴深さなのか曖昧になることがあります。
対策:「M6 有効ねじ深さ10」と明記するか、断面図で下穴深さとねじ部を明確に描き分けましょう。
間違い2:貫通穴なのに深さを指示
貫通のタップ穴に深さを指示すると、止まり穴と誤解されます。
対策:貫通の場合は「M6 貫通」と明記しましょう。
間違い3:板厚に対してねじ深さが不足
薄板にタップを立てる際、有効ねじ山数が不足して強度不足になることがあります。
対策:有効ねじ深さの目安(材質別)を確認し、不足する場合はバーリングタップや裏面からのナット溶接を検討しましょう。
間違い4:ねじ穴とバカ穴の取り違え
組立図でどちらの部品にタップ穴を設け、どちらにバカ穴を設けるかが不明確な場合があります。
対策:部品図で各穴の指示を明確にし、組立図には参考としてボルトの呼びを注記しましょう。
ねじ穴と図面AI
ねじ穴の指示は「M6 深さ10」のような文字情報と、断面図での図形表現が組み合わさるため、AI-OCRによる自動読み取りでは両方の情報を統合する必要があります。
- ねじ記号の自動認識:M6、M8等のねじ呼びをOCRで読み取り、標準の下穴径・バカ穴径を自動算出
- 深さ情報の抽出:「深さ10」「貫通」などの指示を注記から自動判別
- BOM自動生成:図面上のねじ穴情報から使用ボルトの種類・サイズ・数量を自動集計
renueでは、ねじ穴指示を含む加工図面のAI読み取り・データ化ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。
まとめ
- ねじ穴の基本表記は「M[呼び径] 深さ[有効ねじ深さ]」。並目ねじはピッチ省略可
- 下穴径は「呼び径 − ピッチ」で簡易計算。図面には通常指示しない(加工者に委ねる)
- 止まり穴の下穴深さは有効ねじ深さ + 不完全ねじ部 + 余裕で算出
- 有効ねじ深さは母材の材質で変わる。鋼:1.0~1.5D、アルミ:2.0~2.5Dが目安
- バカ穴・ザグリ穴・皿ザグリ穴は穴径+座繰り径+座繰り深さをセットで指示
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