株式会社renue
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樹脂成形品の図面が特殊な理由
樹脂(プラスチック)の射出成形品は、金属の切削加工品とは異なる設計上の制約があります。そのため、図面にも金属部品にはない独自の指示項目が必要です。
- 抜き勾配:金型から成形品を取り出すためのテーパーが必要
- ゲート位置:溶融樹脂の注入口の位置が外観・強度に影響
- パーティングライン(PL):金型の分割面に跡が残る
- ヒケ・ソリ:肉厚の不均一による変形を考慮した設計が必要
- 均一肉厚:肉厚変動が品質に直結するため、厳密な管理が求められる
抜き勾配の図面指示
抜き勾配とは、金型から成形品をスムーズに取り出すために、型開き方向に付ける傾斜(テーパー)のことです。
抜き勾配の目安
| 部位 | 推奨角度 | 備考 |
|---|---|---|
| 外面(キャビティ側) | 1°~2° | 一般的な成形品の標準値 |
| 内面(コア側) | 0.5°~1° | コアに抱きつくため外面より小さくできる |
| リブ | 0.5°~1° | 先端基準で本体側に広がる方向 |
| ボス | 0.5°~1°(外面) | 内面は別途指定 |
| テクスチャ面(シボ面) | 3°~5° | シボ深さ×0.025mm/mm + 1°が目安 |
図面での指示方法
- 断面図上にテーパー角度を記入:「抜き勾配 1°」
- 注記で一括指示:「指示なき抜き勾配は1°とする」
- 3D CADモデルの場合:モデルに勾配を反映し、図面には参考として注記
ゲート位置の図面指示
ゲートとは、金型内に溶融樹脂を充填するための入口です。ゲートの位置は外観品質・強度・充填バランスに大きく影響します。
主なゲートの種類
| ゲート種類 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| サイドゲート | 製品側面から注入。ゲート跡が残る | 一般的な成形品。低コスト |
| ピンゲート | 微小な点ゲート。自動切断可能 | 外観品質が重要な小物部品 |
| サブマリンゲート | PL面下から注入。跡が目立たない | 意匠面にゲート跡を出したくない場合 |
| ダイレクトゲート | スプルーから直接注入 | 大型部品。充填圧を確保しやすい |
| ファンゲート | 扇状に広がるゲート | 薄肉・広面積の部品 |
| フィルムゲート | 製品幅全体から均一に注入 | ソリを抑えたい平板状部品 |
図面での指示方法
- ゲート位置を指定する場合:図面上にゲート位置を矢印で示し、「ゲート位置」と注記
- ゲート方式を指定する場合:「ピンゲート」「サブマリンゲート」等を注記
- ゲート跡の許容範囲:「ゲート跡 φ1.5以下」「ゲート跡の突出 0.3mm以下」
- 金型メーカーに一任する場合:「ゲート位置は金型メーカーと協議の上決定」
パーティングライン(PL)の図面指示
パーティングラインとは、金型の固定側(キャビティ)と可動側(コア)の分割面の跡のことです。成形品の表面に必ず線として残ります。
PL設定の原則
- 意匠面を避ける:目立つ面にPLを配置しない
- 手に触れる面を避ける:PL跡のバリで手を切るリスクを低減
- 角やエッジに配置:PLが目立ちにくくなる
- 金型構造をシンプルにする:複雑なPLは金型コスト増
図面での指示方法
- PL位置を断面図上に一点鎖線で示し、「PL」と注記
- PLの段差許容値:「PL段差 0.05mm以下」
- PLバリの許容値:「PLバリ 0.1mm以下」
肉厚設計の図面指示
樹脂成形品の肉厚は品質に直結する最重要パラメータです。
基本肉厚の目安
| 樹脂の種類 | 推奨肉厚(mm) |
|---|---|
| ABS | 1.5~3.0 |
| ポリカーボネート(PC) | 1.5~3.5 |
| ポリプロピレン(PP) | 1.0~2.5 |
| ナイロン(PA) | 1.0~3.0 |
| POM(ポリアセタール) | 1.5~3.0 |
肉厚設計のルール
- 均一肉厚が基本:肉厚変動は±20%以内に抑える
- リブの肉厚:本体肉厚の50~70%以下(ヒケ防止)
- ボスの肉厚:外径はねじ径の2倍が目安。肉厚は本体の60%以下
- コーナーR:内側R = 肉厚の50%以上。外側R = 内側R + 肉厚
樹脂成形品特有の図面注記テンプレート
- 材質:ABS樹脂(○○グレード)又は同等品
- 色:マンセル N1.5(黒)又は指定色見本に合わせること
- 抜き勾配:指示なき面は1°とする
- ゲート:サイドゲート。ゲート跡はφ2.0以下、突出0.3mm以下
- パーティングライン:PL段差0.05mm以下、バリ0.1mm以下
- ヒケ:意匠面のヒケは不可
- ウェルドライン:意匠面のウェルドラインは目視で確認不可のこと
- ショートショット・バリ・フラッシュ:不可
- 一般公差:JIS B 0405-m 又は成形品の一般公差 SJ相当
樹脂成形品の図面でよくある間違い
間違い1:抜き勾配の未考慮
金属部品の図面をそのまま樹脂に転用すると、勾配がなく離型不能になります。
対策:3D CADの勾配分析機能で全面をチェックしましょう。
間違い2:リブの肉厚が厚すぎる
リブの根元が厚いと、裏面(意匠面)にヒケが発生します。
対策:リブ肉厚は本体の50~70%以下。高さはリブ肉厚の3倍以下が目安。
間違い3:アンダーカットの未検討
型開き方向に対して引っかかる形状(アンダーカット)があると、スライドコアが必要になり金型コストが増大します。
対策:設計段階でアンダーカットを排除するか、やむを得ない場合は図面にスライド方向を明示しましょう。
樹脂成形品の図面とAI
樹脂成形品の図面には金属部品にはない多数の注記(抜き勾配・ゲート・PL・ヒケ許容等)が含まれるため、AI-OCRの効果が大きい領域です。
- 成形条件の自動抽出:材質・肉厚・ゲート方式・抜き勾配を図面から自動読み取り
- 金型見積の自動化:抽出した情報から金型の概算コストを算出
- 類似成形品の検索:過去の成形品図面から形状・材質が近い製品を自動検索
renueでは、樹脂成形品を含む製造図面のAI読み取り・見積自動化ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。
まとめ
- 樹脂成形品の図面には抜き勾配・ゲート位置・PL・肉厚設計の指示が必須
- 抜き勾配は外面1°~2°、内面0.5°~1°、シボ面3°~5°が目安
- ゲートはサイドゲート・ピンゲート・サブマリンゲート等から製品に適した方式を選択
- PLは意匠面を避け、角やエッジに配置する
- 肉厚は均一に保ち(変動±20%以内)、リブは本体の50~70%以下
- 注記テンプレートを活用し、ヒケ・ウェルド・バリの許容基準を明記する
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