株式会社renue
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IT戦略とは、経営目標を実現するために、業務・データ・システム・人材へどのように投資し、運用し、成果を確かめるかを定める方針と実行計画です。AIやクラウド等の技術を選ぶ際も、解決したい課題と利用条件を先に明らかにします。2026年10月24日時点の公的機関の資料を基に、DXとの関係、策定手順、AI活用、投資と体制の確認点を整理します。
IT戦略とは:経営戦略・DX戦略との関係を整理する
IT戦略では、どの事業や業務を支え、何を変え、何を維持するかを明確にします。例えば、問い合わせに早く正確に答えることが目的なら、利用者の待ち時間、必要な情報、担当者の確認、既存の受付・記録までを見ます。「生成AIを導入する」という施策名だけでは、達成したい状態や、導入後に誰が何を担うかを決められません。
DX戦略では、データやデジタル技術を使って、顧客への価値や事業・業務のあり方をどう変えるかを考えます。IT戦略には、その変化を支えるシステムやデータの整備、安定した運用、更新等の具体策が関わります。資料上の名称や分け方は会社によって異なるため、二つを必ず上下に分けるより、経営目標・事業施策・IT施策がどこでつながるかを確認します。
デジタルガバナンス・コードを議論の観点に使う
IPAのデジタルガバナンス・コード3.0の解説は、経営ビジョンとDX戦略の連動、現状と目指す姿の差の把握・見直し、企業文化への定着という視点を示しています。ITを経営部門だけ、技術部門だけの議題にせず、目的、実行する組織、人材、IT・セキュリティ、成果の確認を対応させて話す参考になります。
同解説が示す5つの柱は、経営ビジョン・ビジネスモデル、DX戦略の策定、DX戦略の推進、成果指標と見直し、ステークホルダーとの対話です。「推進」の中に組織、人材、ITシステム・サイバーセキュリティの項目があります。項目名を並べて計画を完成扱いにせず、自社の課題、決める事項、根拠、担当者へ落とし込みます。
対象の大きさも合わせましょう。全社の方針、個別システムの刷新、一部業務の試行では、決める範囲が違います。小規模な会社なら大きな専門部署を前提にせず、経営者と現場の担当者が、目的、予算、データの扱い、判断者を確認できる形から始めます。外部へ委託する場合も、自社で決める優先順位や受入条件を明らかにします。
戦略資料には、決まった方針と、調査・検証してから決める事項を分けて残します。例えば「既存環境へ連携する方針」と「連携先のAPIで必要な情報を取得できるか」は別です。未確認の条件を実現済みの機能として計画へ組み込まないようにします。
IT戦略を策定する5ステップ:課題から実行計画へつなぐ
以下は本記事で提案する整理手順です。全社共通の必須工程や、何か月で完了する標準日程ではありません。調査した事実、まだ確かめていない仮定、経営として選ぶ方針を分け、途中で条件が変わったら前の段階へ戻れるようにします。目的に対して複数の案を比較し、必要な準備と判断をそろえて進めます。
| 手順 | 整理する内容 | 次へ引き渡すもの |
|---|---|---|
| 1.目的と対象を決める | 経営課題、利用者、対象業務、必要な品質 | 達成したい状態と対象外の範囲 |
| 2.現状を調べる | 業務の流れ、システム・データ、契約、人材、運用 | 確認元付きの現状と未確認事項 |
| 3.比較案と優先順位を決める | 現状継続、業務変更、既存ツール改善、追加開発等 | 期待する成果、費用、制約と選定理由 |
| 4.実行計画を組む | 依存関係、担当、予算、検証、移行、教育 | 成果物、期限、判断する時点と条件 |
| 5.実績を測り見直す | 利用状況、品質、負担、費用、残る課題 | 継続・変更・拡大・中止の判断と記録 |
棚卸しは、システム名と費用だけで終えない
既存環境では、どの部署が何に使い、どのデータをどこへ渡し、誰が保守・変更できるかを確認します。契約更新、保守終了、手作業の補完、障害時の代替、権限や接続先も対象です。古いシステムを一律に廃止対象とせず、事業への依存と変更可能性を調べます。反対に、動いているという理由だけで、更新や復旧の準備が不要とは判断しません。
例えば、回答文を作る工程だけを速くしても、必要な情報が未更新なら誤回答の確認が増える場合があります。受付、照会、確認、承認、回答、記録という前後の工程を追い、どこを変えると全体の成果へつながるかを確かめます。新しいツールを足す案と、台帳や承認手順を整える案を同じ目的で比較することを推奨します。
実行計画には「開発が終わる日」に加え、データの準備、権限の確認、利用者の試行、運用引き継ぎ、移行後の照合を含めます。先に終える必要がある作業と、並行して進められる作業を分けましょう。日程を短期・中期・長期に分ける場合も、固定の月数だけを目安にせず、対象の大きさと必要条件に基づいて期限を決めます。
AI・データ・インフラは、利用条件と検証結果から選ぶ
AIはIT戦略の選択肢の一つです。文章の下書き、検索、予測、画像の判定、外部システムを操作するエージェントでは、使うデータ、評価方法、失敗時の影響が異なります。全業務を同じ方式で自動化する計画を先に置かず、利用目的、必要な精度や確認、実行できる権限を業務ごとに定めます。
AIの活用候補を事業の目的、必要品質、投資・運用と対応づける場合は、AI戦略の優先順位・PoC・ROIと運用の設計も参照できます。既存手順やAI以外の改善案と比較し、データと人の確認、総費用、段階ごとの判断条件をそろえます。ガバナンスを検証後の最終工程にせず、担当・権限と変更・停止の扱いも計画に含めます。
データの管理単位と、採用する情報を決める
複数部署のデータを使う場合は、顧客・商品・案件等の管理単位と、同じ対象を示す番号や名称、更新元、確認日を整理します。すべてを一か所へ集めることだけを目標にせず、利用できる権限と、誤りを直す担当・手順を決めます。MDMの管理対象・名寄せ・採用値の設計では、同じ対象を見分けることと、各項目の値を選ぶことを分けて説明しています。
新しい指標や枠組みを使う際も、提供段階を確認します。IPAのIT・データ活用に関する新指標の案内は、確認時点で組織連携、DX-IT、データマチュリティの指標をドラフト・構想案・試作版として公開しています。正式な全社認定や、すべての設問が完成した制度と同一視せず、現状を議論する参考として対象を確認します。
クラウド・オンプレミスとAIの実行範囲を比較する
実行環境は、応答に必要な時間、データの扱い、外部接続、拡張、保守する人員、障害時の継続、移行・終了までの費用を合わせて選びます。「社内設置なら安全」「クラウドなら必ず安い」とは決めません。既存環境に残す部分、連携する部分、置き換える部分と、その間で誰が何にアクセスできるかを具体化します。
検証では、正常に動く例だけでなく、入力が不足する、情報が古い、対象外の依頼が来る、権限が足りない等の条件も扱います。回答や操作の正しさ、見逃し、誤った提案、人の確認・修正時間を測り、どの条件なら本番で使うかを合意します。PoCの評価データ・指標・終了条件を参考に、未達の場合の追加検証や中止も決めます。
外部へ送信したり、システムの値を変更したりするAIでは、候補の提示と実行を分けて検証します。対象データと操作権限、実行前の確認、処理結果の照合、失敗時の停止や戻し方を決め、誤った提案がそのまま業務上の確定情報にならないようにします。
IT投資・KPI・責任者を決め、運用しながら見直す
投資は、既存業務の維持、改善や成長、新しい事業への取組等、目的ごとに必要な成果を確認します。稼働率、削減時間、売上、品質等は同じ指標ではなく、すべてをROIと呼びません。費用には利用料や開発だけでなく、設定、データ整備、教育、運用、更新、終了の負担も含め、比較する期間と対象をそろえます。
支払った金額、会計上の費用、時間の換算額、実際に減った支出を分けることも必要です。計算の定義は費用対効果・ROIの評価方法、設備やソフトウェアの取得とサービス利用を比べる場合はCAPEX・OPEXと利益・現金支払の確認点も参照できます。予算配分の共通比率を当てはめる前に、自社で維持・変更が必要な理由と費用を調べます。
CIO・CDO・CTO等の役職と、実際の権限を対応させる
役職を置く場合も、事業側の成果、投資の承認、システム・データの変更、セキュリティ、運用を誰が担うかを決めます。CDOがChief Data OfficerかChief Digital Officerかも資料で確認します。例えば英国政府のデータ所有モデルは、dataとdigitalの役職を別に説明しています。これは英国政府向けのモデルで、日本企業の役職や法的責任を統一的に定めるものではありません。
肩書だけで担当が決まるとせず、何を決裁し、どの情報を受け取り、どこへ報告するかを明記します。外部の支援を使う場合も、成果物を受け入れる人、日々の運用を引き継ぐ人、障害や条件変更を判断する人を決めます。研修の受講者数と、実際に業務を担える状態も分けて確認します。
2026年改訂のDX推進指標と、実績の確認をつなぐ
IPAは2026年2月にDX推進指標を改訂し、同年4月から新しい指標を用いる案内をしています。現在の解説では、根拠に基づく自己診断、関係者の議論、施策・KPI・体制・予算の設定、進捗の見直しへつなぐ流れを示しています。診断した点数を成果そのものとせず、どの事実が変わったかを確かめます。
課題と投資の優先順位、評価指標、実行計画を整理する段階は、renueのコンサルティングへ相談できます。具体的な業務と既存システムをつなぎ、検証・移行・運用まで進める段階ならFDE、認証・権限や外部接続の弱点、停止・復旧、システム刷新が課題ならAI脆弱性診断・対策と刷新の支援が相談先になります。現在の構成、決めたい事項、社内の判断者をそろえ、対象範囲と成果物を具体化します。

