株式会社renue
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インボイス制度と電子帳簿保存法|2つの制度を正しく理解する
2023年10月に施行されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)と、段階的に要件が整備されてきた電子帳簿保存法は、企業の請求書管理・経理業務に大きな変革をもたらしています。2026年現在、自社の消費税の計算方法や帳簿書類の保存義務に応じて、両制度への対応を確認する必要があります。
インボイス制度とは
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除について、原則として帳簿と「適格請求書(インボイス)」等の保存を求める制度です。本則課税では登録事業者が発行するインボイス等の保存が原則ですが、帳簿のみで控除できる取引や免税事業者等からの仕入れに係る経過措置があります。簡易課税などの計算方法とは区別して確認します(国税庁)。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、税法で保存が義務づけられている帳簿・書類を電子データで保存するためのルールを定めた法律です。特に重要なのは、所得税・法人税の帳簿書類の保存義務者が行う「電子取引データの保存」です。メールやクラウドで授受した請求書・領収書等は、原則として電子データのまま保存する必要があり、紙への印刷だけではこの義務を満たしません。
2つの制度の関係
| 項目 | インボイス制度 | 電子帳簿保存法 |
|---|---|---|
| 目的 | 消費税の適正な課税 | 帳簿・書類の電子保存ルールの整備 |
| 対象 | 消費税の仕入税額控除に関わる請求書 | 税法で保存義務のある帳簿・書類全般 |
| 関係性 | 所得税・法人税の保存義務者は電子取引データを保存。消費税のインボイス保存では出力した書面による保存も認められるが、所得税・法人税の電子保存義務は別途残る(国税庁Q&A・問29) | |
| 保存要件 | 原則として所定事項を記載した帳簿とインボイス等を保存 | 電子取引は改ざん防止措置+表示・出力環境+検索機能等。検索機能には要件を満たす場合の免除あり |
適格請求書(インボイス)の記載事項
| # | 記載事項 | 従来の請求書との違い |
|---|---|---|
| 1 | 適格請求書発行事業者の氏名・名称 | 従来と同じ |
| 2 | 登録番号 | 【新規】T+13桁の番号 |
| 3 | 取引年月日 | 従来と同じ |
| 4 | 取引内容(軽減税率対象の場合はその旨) | 区分記載請求書でも必要だった事項(国税庁の記載例) |
| 5 | 税率ごとに合計した税抜対価または税込対価の額と適用税率 | 税率区分は従来も必要。適格請求書では適用税率を追加 |
| 6 | 税率ごとに区分した消費税額 | 【新規】税率区分ごとの税額表示 |
| 7 | 書類の交付を受ける事業者の氏名・名称 | 従来と同じ |
電子帳簿保存法の3つの保存区分
| 保存区分 | 対象 | 要件 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 自社で作成した帳簿・書類 | 任意。電子的に作成した帳簿をそのまま保存 |
| スキャナ保存 | 紙で受領した書類 | 任意。紙の書類をスキャンして電子保存 |
| 電子取引データ保存 | 電子で授受した取引情報 | 義務。メール・クラウド等で受領した書類を電子保存 |
特に所得税・法人税の保存義務者には、規模を問わず電子取引データの保存義務があります。メールで受領した請求書PDFやクラウドサービスからダウンロードした明細に加え、電子で交付した取引情報も対象です。
請求書電子化の実践ステップ
- 現状の請求書フローを棚卸し:紙の請求書・メール添付PDF・クラウドサービス経由など、現在の受領・発行方法を整理
- 対応ツールの選定:自社の規模・既存システムとの連携を考慮してツールを選定
- 保存要件の確認:電子取引の改ざん防止は、①付与済みタイムスタンプがあるデータの授受、②所定期間内のタイムスタンプ付与、③訂正削除履歴が残る・訂正削除できないシステムでの授受と保存、④訂正削除防止の事務処理規程の備付けと運用、のいずれかで対応。表示・出力環境、日付・金額・取引先による検索等も確認する。基準期間の売上高5,000万円以下などの条件とデータ提出への対応により検索機能を省略できる場合もある(国税庁Q&A・問18~19、30)
- 運用ルールの策定:受領→確認→承認→保存→仕訳のフローを明文化
- 社内教育と移行:経理部門だけでなく、請求書を受領・発行する全部門への周知・教育
対応ツール比較
| ツール | 特徴 | 適した企業 |
|---|---|---|
| バクラク | 請求書受取・経費精算・電子帳簿保存などのサービスを組み合わせて管理。請求書受取はAI-OCRと会計システム連携に対応(公式製品情報) | 中小〜中堅企業 |
| freee会計 | freee請求書等と連携して会計・請求書・経費精算を管理。APIの利用機能は契約プランによる(公式API仕様) | スタートアップ〜中小企業 |
| マネーフォワード クラウド | 会計・請求書・経費などのサービス間でデータ連携。銀行口座・カード明細の取得にも対応(公式FAQ) | 中小〜中堅企業 |
| Bill One | 紙の郵送・メール・アップロード等で請求書を受領しデータ化。ダウンロード方式にはサイト仕様等による対応条件がある(公式機能一覧) | 請求書受領量が多い企業 |
| インボイス・マネジャー2026 | TKCの請求書発行・受領・保存サービス。ペポルインボイスと電子取引・スキャナ保存に対応(公式製品情報) | 中堅・大企業、上場企業 |
renueでは、バクラク(請求書受取・仕訳、経費精算、電子帳簿保存)とfreeeを組み合わせて利用しています。自社開発の請求書管理機能では、PDF生成→Gmail送付→freee取引作成の一気通貫フローを構築し、請求書の発行から会計処理までを自動化しています。
2026年の制度改正ポイント
- デジタルインボイス(Peppol)の推進:デジタル庁がPeppolを基にした日本の標準仕様「JP PINT」を管理。構造化データの送受信・処理に用いる(デジタル庁)
- 令和7年度税制改正:一定要件を満たす電子取引データの自動保存・帳簿連携について、重加算税の加重措置から除外する仕組みを新設。施行は2027年1月1日であり、2026年時点の全保存要件を一律に緩和するものではない(国税庁Q&A・問65)
- 免税店リファンド方式:輸出物品販売場制度は2026年11月1日からリファンド方式へ移行するため、対象の免税店は販売・免税手続の変更に備える(国税庁)
AIを活用した経理DX
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応をきっかけに、AIを活用した経理業務全体のDXが進んでいます。
| AI活用領域 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| AI-OCR | 請求書・領収書の画像からデータを自動読み取り | 手入力工数の大幅削減 |
| 自動仕訳 | 取引内容からAIが勘定科目を自動判定 | 仕訳作業の効率化 |
| インボイス適格性チェック | 受領した請求書が適格請求書の要件を満たしているかAIが自動検証 | チェック漏れの防止 |
| 経費不正検知 | 経費申請のパターンをAIが分析し、不正の疑いがある申請を自動検出 | 内部統制の強化 |
| 月次決算の自動化 | 仕訳→集計→レポート生成をAIが自動実行 | 月次決算の早期化 |
よくある質問(FAQ)
Q. インボイス制度に対応していないとどうなりますか?
登録していない事業者からの課税仕入れは、本則課税で原則としてインボイスに基づく仕入税額控除の対象になりません。ただし、帳簿のみで控除できる取引や経過措置があります。経過措置の控除割合は、2026年9月30日まで80%、2026年10月1日~2028年9月30日は70%、2028年10月1日~2030年9月30日は50%、2030年10月1日~2031年9月30日は30%です。区分記載請求書等と同様の事項を記載した請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿の保存が必要です。2026年10月1日以後開始の課税期間からは、同一の非登録事業者からの年・事業年度の課税仕入れが税込1億円を超える部分は対象外となります。(国税庁・2026年度改正)
Q. 電子帳簿保存法に違反した場合の罰則は?
電子取引データの保存要件違反は青色申告の承認取消しの対象となり得ますが、直ちに必ず取り消されるわけではありません。経費についても取引の記帳・申告、書面等の証拠、追加説明などを総合して判断されます。消費税のインボイス保存には書面出力も認められるため、電子帳簿保存法の要件違反だけで仕入税額控除の不可と結び付けることはできません。猶予措置には税務署長が相当の理由を認めることに加え、電子データ自体の保存と、データ・出力書面の提示提出への対応が必要です。(国税庁Q&A・問29、93、98)
Q. 小規模事業者でも電子化は必要ですか?
所得税・法人税の保存義務者には、事業者の規模に関わらず電子取引データの保存が必要です。事務処理規程の整備・運用による改ざん防止は小規模事業者に限らず使えます。基準期間の売上高5,000万円以下でデータ提出の求めに応じられる場合などは検索機能の確保を省略できますが、電子データ自体は保存します。
まとめ:インボイス制度・電子帳簿保存法への対応を経理DXの起点にする
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応では、自社に適用される課税方式と保存要件の確認が出発点です。しかし、単なる「法令対応」で終わらせるのではなく、請求書電子化をきっかけに経理業務全体のDXを推進することで、業務効率化とコスト削減を同時に実現できます。
AI-OCR、自動仕訳、デジタルインボイス(Peppol)の活用により、「受領→確認→仕訳→保存」の経理フローを大幅に自動化することが可能です。
株式会社renueでは、AIを活用した業務効率化やバックオフィスDXを支援しています。請求書管理の自動化や経理業務のAI活用にご関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。




