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エンベデッドファイナンス(組込型金融)とは?BaaS・BNPL・決済統合の企業活用ガイド【2026年版】

公開日: 2026/3/30

エンベデッドファイナンス(組込型金融)の基本概念からBaaS、BNPL、決済統合の企業活用まで徹底解説。Mordor Intelligence・Bain調...

エンベデッドファイナンス(組込型金融)とは?

エンベデッドファイナンス(Embedded Finance:組込型金融)とは、非金融企業が自社のプロダクトやサービスに決済・融資・保険・投資等の金融機能をシームレスに組み込む仕組みです。ユーザーは金融機関のサイトやアプリに遷移することなく、利用中のサービスの中で金融取引を完結できます。

Bain & Company社のレポートによると、エンベデッドファイナンスは「金融サービスのバリューチェーンを根本から再構築し、非金融企業が顧客接点を金融収益に変換する新たなビジネスモデル」として位置づけられています(出典:Bain & Company「Embedded Finance Report」)。

エンベデッドファイナンスの主要領域

領域概要身近な例
決済(Embedded Payments)アプリ内のネイティブ決済機能Uber/Grabの乗車後自動決済、EC内のワンクリック決済
融資(Embedded Lending)購買時や業務フロー内での融資提供BNPL(後払い)、請求書ファイナンス
保険(Embedded Insurance)商品購入時の保険自動付帯旅行予約時の旅行保険、EC購入時の延長保証
銀行(Embedded Banking)非金融アプリ内の銀行口座・カード発行フリーランスプラットフォームの事業用口座
投資(Embedded Investment)日常的なアプリ内での投資機能おつり投資、ポイント投資

エンベデッドファイナンス市場の急成長

Mordor Intelligence社の調査によると、エンベデッドファイナンス市場は2025年の約1,560億米ドルから2031年には4,545億米ドルに拡大し、CAGR 23.84%で成長すると予測されています(出典:Mordor Intelligence「Embedded Finance Market」2025年版)。

Precedence Research社の調査では、2026年の市場規模は1,971億米ドル、2034年には1兆7,326億米ドルに達する見通しです(CAGR 31.53%)(出典:Precedence Research「Embedded Finance Market」2025年版)。

サービスタイプ別シェア

決済(Embedded Payments)が2025年時点で市場の43.68%を占め最大シェアとなっています。EC内のネイティブチェックアウト、アプリ内ウォレット、カード発行機能の統合が普及を牽引しています。BNPL(Buy Now, Pay Later)の取引額は2026年に5,760億ドルに成長する見込みです。

BaaS(Banking as a Service)が実現する仕組み

エンベデッドファイナンスを技術的に実現するのがBaaS(Banking as a Service)です。BaaSプロバイダーは、銀行免許・決済インフラ・コンプライアンス基盤をAPIとして提供し、非金融企業がこれらを自社サービスに組み込むことを可能にします。

BaaSの仕組み

  • 銀行パートナー:銀行免許を保有し、預金・融資の法的基盤を提供
  • BaaSプラットフォーム:API・SDK・管理ダッシュボードを提供し、金融機能の統合を容易に
  • 非金融企業(ブランド):自社のUI/UX内に金融機能を組み込み、顧客に提供

主要BaaSプロバイダー

プロバイダー地域主な機能
Stripe Treasuryグローバル決済+口座+カード発行のAPI
Unit米国銀行口座・カード・融資のAPI
Solaris欧州フルスタックBaaS(口座・カード・融資・KYC)
Marqetaグローバルカード発行・決済処理のAPI
住信SBIネット銀行(NEOBANK)日本BaaSプラットフォーム「NEOBANK」

企業がエンベデッドファイナンスを導入するメリット

  • 新たな収益源:決済手数料、融資の金利収入、保険のコミッション等、金融サービスから直接的な収益を獲得
  • 顧客体験の向上:金融取引のための外部サイト遷移が不要になり、フリクションレスな体験を実現
  • 顧客ロイヤルティの強化:金融機能が顧客のスイッチングコストを高め、プラットフォームへのロックインを促進
  • データの活用:取引データから顧客の購買行動・資金ニーズを把握し、パーソナライズドなサービス提供が可能

業種別のエンベデッドファイナンス活用

EC・リテール

  • BNPL(後払い)の組み込みによる客単価・コンバージョン率の向上
  • ポイントプログラムと連携したウォレット機能
  • サプライヤー向けの早期支払いファイナンス

SaaS・プラットフォーム

  • 出品者・サービス提供者への即時払い(Stripe Connect等)
  • サブスクリプション料金の分割払い
  • プラットフォーム内の事業者向け融資

物流・サプライチェーン

  • 請求書ファイナンス(売掛金の早期資金化)
  • 運送保険の自動付帯
  • サプライチェーンファイナンスの組み込み

HR・人事

  • 給与前払いサービスの組み込み
  • 従業員向け福利厚生としての金融サービス(貯蓄口座、投資等)

エンベデッドファイナンス導入の実践ステップ

ステップ1:ユースケースの特定(1〜2ヶ月)

  • 自社の顧客ジャーニーにおける金融ニーズの洗い出し
  • 最もインパクトの大きいユースケースの選定(決済、融資、保険等)
  • 規制要件の確認(資金移動業、貸金業等の免許要否)

ステップ2:パートナー・プラットフォーム選定(1〜2ヶ月)

  • BaaSプロバイダーの比較評価
  • 銀行パートナーの選定(必要に応じて)
  • API連携の技術検証
  • コンプライアンス体制の設計

ステップ3:開発・統合(2〜4ヶ月)

  • 金融機能のUIデザイン
  • API連携の実装
  • KYC/AML対応の組み込み
  • テストと規制準拠の確認

ステップ4:ローンチと最適化(継続的)

  • 段階的なローンチ(限定ユーザーから全ユーザーへ)
  • 利用率・収益のモニタリング
  • ユーザーフィードバックに基づく改善
  • 新たな金融機能の追加

よくある質問(FAQ)

Q. エンベデッドファイナンスの導入には銀行免許が必要ですか?

一般的には不要です。BaaSモデルでは、銀行免許を持つパートナー銀行がバックエンドの金融インフラを提供し、非金融企業はAPIを通じて金融機能を自社サービスに組み込みます。ただし、日本では資金移動業の登録や、貸金業の免許が必要になるケースがあるため、ユースケースに応じた法務確認が必要です。

Q. 日本でもエンベデッドファイナンスは普及していますか?

急速に普及が進んでいます。住信SBIネット銀行のNEOBANKプラットフォームを通じたBaaSの提供、PayPayやメルペイ等のスーパーアプリによる金融機能の統合、BNPLサービス(Paidy等)のEC統合等が代表例です。2022年の銀行法改正により、銀行の子会社を通じたBaaS提供が容易になり、制度面での環境も整いつつあります。

Q. エンベデッドファイナンスのリスクは何ですか?

主なリスクは、規制リスク(金融規制の変更やコンプライアンス違反)、信用リスク(融資・BNPL提供時の貸し倒れ)、オペレーショナルリスク(システム障害による金融取引の停止)、レピュテーションリスク(金融サービスの不具合がブランド全体に影響)です。BaaSプロバイダーの選定時には、規制準拠体制・セキュリティ・可用性を慎重に評価してください。

まとめ:あらゆる企業が「金融企業」になる時代

エンベデッドファイナンス市場はCAGR 23.84%で急成長しており、決済が市場の43.68%を占めるリーディングセグメントです。BaaSの普及により、銀行免許を持たない企業でも金融サービスを自社プロダクトに組み込むことが容易になりました。顧客体験の向上と新たな収益源の創出を同時に実現するエンベデッドファイナンスは、全ての顧客接点を持つ企業にとって検討すべき戦略です。

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