株式会社renue
renueについて
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はじめに:電子帳簿保存法は全事業者に影響する
「電子帳簿保存法って何?」「うちの会社は対応しなくて大丈夫?」「電子取引データの保存義務って具体的に何をすればいい?」——電子帳簿保存法(電帳法)は、帳簿・書類の保存義務がある事業者の電子保存に関わる法律です。電子取引データの紙による代替保存は2022年の改正で廃止され、2023年末までの宥恕措置を経て、2024年1月以降の電子取引には新たな保存要件と猶予措置が適用されています(国税庁の電子取引Q&A問13・14)。
特に「電子取引データの保存義務化」は、メールで受け取った請求書やWebからダウンロードした領収書を電子データのまま保存することを求めており、従来のように紙に印刷して保存する方法は原則認められません。本記事では、電子帳簿保存法の3つの保存区分と対応方法を2026年最新の情報でわかりやすく解説します。
第1章:電子帳簿保存法の基本
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、税務関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める(一部は義務化する)法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」。
法律の目的
経理業務のデジタル化・ペーパーレス化を推進し、業務効率化とコスト削減を実現すること。また、電子取引が普及した現代の実態に合わせた適正な記録保存を確保することが目的です。
対象者
所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務がある事業者(法人・個人事業主等)が電子取引を行う場合、保存義務のある取引情報を電子データで保存する必要があります。企業の規模だけで免除されるものではありません(国税庁の3区分の説明)。
第2章:3つの保存区分
区分1:電子帳簿等保存(任意)
会計ソフト等で作成した帳簿・書類を、紙に出力せずに電子データのまま保存することを認める制度です。
対象:自社で電子的に作成した帳簿(仕訳帳、総勘定元帳等)や書類(貸借対照表、損益計算書等)
ポイント:この区分の電子保存は「任意」であり、紙での保存も可能です。ただし、後述する電子取引データの保存とは区別します。「優良な電子帳簿」に係る軽減措置は、対象帳簿を課税期間の初日から要件に従って備え付け・保存し、法定申告期限までに届出をするなどの条件付きです。対象帳簿に関連する過少申告加算税の割合が5パーセントポイント軽減されるもので、納付税額全体を5%減らす制度ではありません(国税庁の優良な電子帳簿の案内)。
区分2:スキャナ保存(任意)
紙で受け取った書類をスキャンして電子データで保存することを認める制度です。
対象:紙の請求書、領収書、契約書、見積書等の「取引関係書類」
主な要件は解像度200dpi相当以上、原則カラーでの読み取り、訂正・削除履歴を確認できるか訂正・削除できないシステム、検索機能、見読可能装置等です。重要書類は受領等からおおむね7営業日以内、または事務処理規程に定めた最長2か月の業務処理サイクル後おおむね7営業日以内の入力が必要で、一般書類には入力期間・カラー等の緩和があります。タイムスタンプは入力期間内に保存したことを確認できる場合に代替できますが、訂正・削除履歴の確保とは別の要件です。重要書類は帳簿との相互関連性も確保します。2024年1月以降のスキャナ保存では入力者等情報の確認要件は廃止されています(国税庁の要件一覧、2026年7月Q&A問10)。
ポイント:この区分も「任意」。紙で保存し続けることも可能です。スキャナ保存を導入すると、原本(紙)を廃棄できるため、書類の保管スペースやコストを削減できます。
区分3:電子取引データ保存(義務)
保存義務者が電子取引で授受した取引情報を電子データで保存することを義務化した制度です。受領だけでなく、電子的に送付した請求書等のデータも対象です。2024年1月1日以降の取引は、下記の原則要件または適用条件を満たす猶予措置等に従って保存します(国税庁の保存方法)。
対象となる電子取引の例
- メールで受け取った請求書・領収書のPDF
- Webサイトからダウンロードした明細書・領収書
- クラウドサービス(Amazon・楽天等のECサイト)で発行された取引書類
- EDI(電子データ交換)で受け取った注文書・請求書
- ペーパーレスFAXで受信した書類
重要:これらの電子取引データを紙に印刷して保存する方法は原則として認められません。電子データのまま保存する必要があります。
第3章:電子取引データ保存の要件
真実性の確保
以下のいずれかの措置が必要です。
- タイムスタンプが付された後に受領:相手がタイムスタンプ済みで送信
- 受領後速やかにタイムスタンプを付与:自社で付与
- 訂正削除の履歴が残るシステムで保存:改ざん防止機能があるクラウドサービス等
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定・運用:規程を定め、備え付け、規程に沿って運用する方法
④は専用システムを導入しない場合の選択肢です。規程を作るだけでなく備え付け・運用が必要で、通常は検索や画面表示・印刷の要件も整えます。国税庁がサンプルを公開しています。要件に従った保存ができなかったことについて税務署長が相当の理由を認め、税務調査で電子データのダウンロードと出力書面の提示・提出の両方に応じられる場合には、別の猶予措置を利用できます。この場合も電子データ自体の保存は必要です(原則要件と猶予措置の条件)。
可視性の確保
- 検索機能:「取引年月日その他の日付」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できること。通常は日付・金額の範囲指定と2項目以上の組合せ検索も必要ですが、税務調査でデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、この2機能を省略できます。基準期間の売上高が5,000万円以下、または出力書面を日付・取引先ごとに整理して提示・提出できる場合には、ダウンロード対応を条件に検索要件全体が不要になります。基準期間は個人なら取引年の前々年、法人なら前々事業年度です。検索免除は、相当の理由を要する猶予措置とは別で、通常は改ざん防止や可視性の要件も必要です(国税庁Q&A問48〜52)
- ディスプレイ・プリンタの備付け:税務調査時に画面表示・印刷できる環境を整備
第4章:具体的な対応方法
最もシンプルな対応方法(中小企業・個人事業主向け)
- 事務処理規程を策定:国税庁のサンプルをダウンロードして自社に合わせて編集
- 電子取引データをフォルダに保存:「年月日_取引先名_金額」のように取引日まで含む統一したファイル名で整理。月だけでなく、日付・取引先・金額で検索できる状態にし、税務調査でダウンロードの求めに応じられるようにする
- メールの添付ファイルはそのまま保存:取引情報が添付PDFに記載されている場合はそのPDFを保存し、メール本文に取引情報が記載されている場合は本文も保存する
クラウドサービスを活用する方法
クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード・弥生等)やクラウドストレージを利用する場合は、対象機能と自社の設定・運用が、電帳法の検索・真実性・可視性の要件を満たすか確認します。サービス名だけで対応完了とは判断せず、保存データを画面表示・印刷・提出できる状態を維持してください。
対応しない場合のリスク
- 税務調査で保存要件の不備を指摘される
- 保存要件に従わない場合は青色申告の承認取消の対象となり得る。ただし、違反の程度等を総合的に判断するため、不備があれば直ちに必ず取り消されるものではない(国税庁Q&A問98)
- 適用条件は状況により異なるため、専門家や公式情報をご確認ください。
renueでは、電子帳簿保存法対応のAI帳票処理パイプライン(請求書AI-OCR→自動仕訳→クラウド保存→検索機能付き)の構築を支援しています。手作業での帳票管理からAI自動化への移行を伴走型でサポートします。
第5章:よくある疑問
紙の請求書はどう保存する?
紙で受け取った請求書・領収書は、従来通り紙のまま保存すればOKです(区分3の義務化は「電子取引」のみ)。スキャナ保存(区分2)を導入すれば電子化も可能ですが、任意です。
個人事業主も対応必要?
はい。電子取引(メールでPDFの請求書を受け取る等)を行っている個人事業主も、電子データ保存の義務対象です。
保存期間は?
電子保存でも税法ごとの保存期間に従います。法人は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間。青色繰越欠損金または一定の災害損失が生じた事業年度は10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)です。個人の青色申告は帳簿・決算書類が7年、領収書等の現金預金取引等関係書類は原則7年(前々年の事業所得・不動産所得の金額が300万円以下なら5年)、その他の請求書・見積書等は5年。白色申告は法定帳簿7年、任意帳簿・書類5年です。個人の帳簿・書類はそれぞれ閉鎖・作成・受領した年の翌年3月15日の翌日から数えます。消費税の仕入税額控除のための請求書等や、交付した適格請求書の写し・提供した電子記録はこれらと別に7年保存が必要です(法人の保存期間、個人の区分別保存期間、電子取引Q&A問17)。
よくある質問(FAQ)
Q1: 電子帳簿保存法に対応しないと罰則はある?
保存要件に従っていない場合は青色申告の承認取消の対象となり得ますが、不備だけで直ちに必ず取り消されるわけではなく、違反の程度等を総合的に判断します。仕入税額控除は消費税法上の保存条件を別に確認します(国税庁Q&A問98)。
Q2: ExcelやWordで作成した見積書はどう保存する?
最初から一貫して電子的に作成した書類を自社で保存する場合は「区分1」の電子保存を選べます。紙で相手に渡す見積書等の控えを紙で保存する方法もあります。ただし、メール等で相手に電子的に送付した取引情報は「区分3」の電子取引データ保存の対象で、作成ソフトがExcelやWordでも紙印刷だけで代替できません(3区分の説明、受領・交付した電子データの扱い)。
Q3: 事務処理規程のサンプルはどこで入手できる?
国税庁の電子帳簿保存法特設サイトで、法人用・個人事業主用のサンプル規程がダウンロード可能です。
Q4: メールの本文に金額が書かれている場合も保存対象?
はい。取引情報(金額・日付等)がメール本文に記載されている場合、そのメール自体が電子取引データに該当し、保存が必要です。
Q5: クラウド会計ソフトを使えば対応完了?
契約しているサービスの対象機能・プラン・設定と、自社の保存・検索・改ざん防止・画面表示/印刷・提出の運用を確認してください。クラウド会計ソフトを導入しただけで対応完了になるとは限らず、マニュアルで要件と運用方法を確認します。
Q6: インボイス制度との関係は?
電子インボイス(適格請求書の電子データ)を受け取った場合は、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件に従って保存する必要があります。両制度は密接に関連しています。
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