EDRとは?
EDR(Endpoint Detection and Response)とは、PC、サーバー、スマートフォンなどのエンドポイント端末を常時監視し、サイバー攻撃の検知・分析・対応を行うセキュリティソリューションです。従来のウイルス対策ソフト(EPP)がマルウェアの「侵入を防ぐ」ことに重点を置くのに対し、EDRは「侵入された後の検知と対応」に重点を置いています。
2026年現在、ランサムウェアや標的型攻撃の高度化により、マルウェアの侵入を100%防ぐことは不可能とされています。EDRは「侵入されることを前提に、被害を最小限に食い止める」という現代のセキュリティ思想の中核をなす技術です(トレンドマイクロ)。
EDRの仕組み:検知→分析→対応の3ステップ
1. 検知(Detection)
EDRはエンドポイント端末上のすべての挙動(ファイル操作、プロセス起動、レジストリ変更、ネットワーク通信など)をリアルタイムで監視・記録します。AIや機械学習を活用して正常な挙動パターンを学習し、異常な挙動を自動的に検知します。
2. 分析(Investigation)
検知されたアラートに対して、攻撃の経路(どこから侵入し、何をしたか)を時系列で可視化します。攻撃のスコープ(影響範囲)を特定し、根本原因の分析を支援します。
3. 対応(Response)
感染端末のネットワーク隔離、悪意あるプロセスの強制終了、ファイルの削除・隔離など、被害拡大を防ぐための対応を実行します。自動対応と手動対応の組み合わせで運用されます(Microsoft)。
EDRとEPPの違い
| 項目 | EPP(Endpoint Protection Platform) | EDR(Endpoint Detection and Response) |
|---|---|---|
| 主な目的 | マルウェアの侵入防止 | 侵入後の検知と対応 |
| 手法 | パターンマッチング、振る舞い検知 | AIによる異常検知、ログ分析、インシデント対応 |
| 対象 | 既知のマルウェア中心 | 未知の攻撃、ゼロデイ、ファイルレス攻撃にも対応 |
| 可視性 | 限定的 | エンドポイントの全挙動をログ化・可視化 |
| 対応機能 | ブロック・隔離 | 隔離+根本原因分析+フォレンジック |
現在のベストプラクティスはEPPとEDRの併用です。EPPで既知の脅威を防ぎ、すり抜けた未知の脅威をEDRで検知・対応する多層防御が推奨されます(NTTPC)。
EDRとXDRの違い
XDR(Extended Detection and Response)は、EDRの対象をエンドポイントに限定せず、ネットワーク、メール、クラウド、IDなど複数のセキュリティレイヤーを横断的に統合して検知・対応するソリューションです。EDRがエンドポイントの深い可視性を提供するのに対し、XDRは組織全体のセキュリティ状況を統合的に把握できます。
主要EDR製品比較(2026年版)
| 製品 | 特徴 | 導入規模 |
|---|---|---|
| CrowdStrike Falcon | クラウドネイティブ、AI検知の精度が高い、軽量エージェント | 中〜大企業 |
| Microsoft Defender for Endpoint | M365連携、コストパフォーマンスが高い | M365利用企業 |
| Trend Vision One | 日本語サポート充実、XDR統合型 | 全規模 |
| Cybereason EDR | 日本市場シェア高い、AIエンジンによるリアルタイム検知 | 中〜大企業 |
| SentinelOne Singularity | 自律型AI対応、自動修復機能 | 中〜大企業 |
| Sophos Intercept X | ディープラーニングAI、マネージドサービス付き | 中小〜中堅 |
EDR導入のポイント
運用体制の確保が最重要
EDRは「導入して終わり」ではなく、検知されたアラートを分析・対応する運用が必要です。社内にSOC(セキュリティオペレーションセンター)を構築するか、マネージドEDR(MDR)サービスを利用してアウトソーシングするかを検討しましょう。
既存環境との統合
SIEM、ファイアウォール、クラウドセキュリティなど既存のセキュリティツールとのAPI連携・ログ統合が可能かを確認します。
よくある質問(FAQ)
Q. EDRは中小企業にも必要ですか?
はい。ランサムウェアの標的は大企業に限りません。サプライチェーン攻撃により、中小企業が侵入経路として狙われるケースが増加しています。マネージドEDR(MDR)サービスを利用すれば、社内にSOCを持たなくても運用可能です(ASSIROBO)。
Q. EDRの導入コストは?
1端末あたり月額500〜2,000円が一般的です。100端末の場合、月額5〜20万円程度です。MDRサービスを利用する場合は追加費用が発生します。
Q. ウイルス対策ソフトがあればEDRは不要ですか?
いいえ。ウイルス対策ソフト(EPP)は既知の脅威への防御に有効ですが、ファイルレス攻撃やゼロデイ攻撃には対応しきれません。EPPとEDRの併用が現代のセキュリティのベストプラクティスです。
まとめ
EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイントの挙動を常時監視し、サイバー攻撃の検知・分析・対応を行うセキュリティソリューションです。「侵入されることを前提に被害を最小限に食い止める」という現代のセキュリティ思想の中核であり、EPPとの併用が推奨されます。
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