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損益分岐点とは?計算方法からグラフの読み方、経営改善への活用まで完全解説【2026年版】

公開日: 2026/3/30

損益分岐点とは?

損益分岐点とは、売上高と総費用が一致し、利益がちょうどゼロになる売上規模のことです。英語ではBreak-Even Point(BEP)と呼ばれます。損益分岐点を超えれば黒字、下回れば赤字という、経営の最も基本的な「損益の境目」を示す指標です。

損益分岐点を正確に把握することで、「最低限いくら売ればよいか」「コストをどれだけ削減すれば黒字化できるか」「価格をどう設定すべきか」といった経営判断の土台が得られます。

損益分岐点の計算に必要な3つの要素

1. 固定費

売上の増減に関わらず毎月・毎年一定額が発生する費用です。

  • 人件費(正社員の給与・社会保険料)
  • 家賃・リース料
  • 減価償却費
  • 保険料
  • 管理部門のコスト

2. 変動費

売上の増減に比例して変動する費用です。

  • 原材料費・仕入原価
  • 外注費
  • 販売手数料
  • 配送費
  • 広告費(成果報酬型)

3. 限界利益(率)

限界利益 = 売上高 − 変動費

限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高 = 1 −(変動費 ÷ 売上高)

限界利益とは、売上から変動費を引いた利益で、固定費の回収に充てられる金額です。

損益分岐点の計算式

損益分岐点売上高

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

計算例

ある企業の年間数値が以下の場合:

  • 売上高:1億円
  • 変動費:6,000万円
  • 固定費:3,000万円

①限界利益率 = 1 −(6,000万 ÷ 1億)= 1 − 0.6 = 0.4(40%)

②損益分岐点売上高 = 3,000万 ÷ 0.4 = 7,500万円

つまり、この企業は年間7,500万円以上の売上で黒字、それ未満で赤字ということになります。現在の売上1億円は損益分岐点を2,500万円上回っており、この余裕を「安全余裕率」と呼びます。

安全余裕率

安全余裕率 =(売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 売上高 × 100

上記の例では:(1億 − 7,500万)÷ 1億 × 100 = 25%

安全余裕率の目安は以下の通りです。

安全余裕率評価
30%以上非常に安全
20〜30%安全
10〜20%注意
10%未満危険

損益分岐点グラフの読み方

損益分岐点グラフは、横軸に売上高、縦軸に金額(費用・売上)をとり、以下の3本の線で構成されます。

  • 売上線:原点から右上に伸びる直線
  • 固定費線:売上に関係なく一定の水平線
  • 総費用線:固定費を起点に、変動費の傾きで右上に伸びる直線

売上線と総費用線が交わる点が損益分岐点です。この交点より右側が利益エリア(黒字)、左側が損失エリア(赤字)を示します。

損益分岐点を下げる3つのアプローチ

1. 固定費を削減する

固定費を下げれば、損益分岐点はそのまま低下します。

  • オフィスの縮小・リモートワーク推進
  • ITツールの見直し(不要なSaaSの解約)
  • 業務の自動化(RPA、AIの活用で人件費を圧縮)

2. 変動費率を下げる(限界利益率を上げる)

仕入原価の削減や生産効率の向上で変動費率を下げると、限界利益率が上がり損益分岐点が低下します。

  • 仕入先の見直し・価格交渉
  • 歩留まり率の改善
  • 広告運用の効率化(AI広告運用でマージン削減)

3. 売上単価を上げる

値上げや付加価値の追加で売上単価を上げれば、同じ販売数量でも限界利益が増加します。

  • プレミアムプランの追加
  • クロスセル・アップセルの強化
  • ブランド価値の向上による価格弾力性の確保

業種別の損益分岐点の目安

業種限界利益率の目安特徴
SaaS・IT70〜90%変動費が低く、固定費(人件費・サーバー)が中心
コンサルティング60〜80%人件費が主な固定費。稼働率が損益分岐点を左右
製造業30〜50%原材料費(変動費)の比率が高い
小売業20〜40%仕入原価が大きい。回転率が重要
飲食業60〜70%原価率30%前後。家賃と人件費が固定費の大部分

よくある質問(FAQ)

Q. 損益分岐点は毎月計算すべきですか?

理想的には毎月計算・確認することをおすすめします。特に変動費率が季節で変動する業種や、固定費の大きな増減(人員増、オフィス移転等)があった場合は必ず再計算しましょう。月次のPL(損益計算書)を作成する際に、損益分岐点売上高と安全余裕率を併記する運用が効果的です。

Q. 赤字の事業の損益分岐点分析をするとどうなりますか?

赤字事業は現在の売上高が損益分岐点を下回っている状態です。分析により「あといくら売上を増やせば黒字化するか」「固定費をどれだけ削減すれば黒字化するか」を定量的に把握できます。黒字化への道筋が見えない場合は、事業の撤退・縮小判断の材料にもなります。

Q. 損益分岐点分析の限界は何ですか?

損益分岐点分析は「費用を固定費と変動費に明確に分けられる」という前提に基づきますが、実際には固定費と変動費の境界が曖昧な費用(準変動費、準固定費)も存在します。また、売上高の変動に対して変動費が完全に比例するとは限りません。あくまで「目安」として活用し、詳細な経営判断には他の指標も併用してください。

まとめ

損益分岐点は、企業が黒字と赤字の境目を知るための最も基本的な経営指標です。「固定費 ÷ 限界利益率」というシンプルな計算式で求められ、安全余裕率と組み合わせることで経営の安全度を定量的に評価できます。

損益分岐点を下げるには、固定費の削減、変動費率の改善、売上単価の向上の3つのアプローチがあります。AIやRPAによる業務自動化は固定費(人件費)と変動費(広告運用費等)の両方を削減する有効な手段です。


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