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銀行の審査部門の業務内容|信用格付けから審査意見書まで徹底解説【2026年版】

2026/4/16

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銀行の審査部門の業務内容|信用格付けから審査意見書まで徹底解説【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/16 公開

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銀行の審査部門の業務内容|信用格付けから審査意見書まで徹底解説

審査部門は、法人営業部門(RM)が起案した融資案件のリスクを独立した立場から評価し、融資実行の可否を判断する部門です。RMが「融資をしたい」と提案するのに対し、審査部門は「融資しても大丈夫か」を検証する—この牽制関係が銀行の健全性を維持する仕組みです。

本記事では、審査部門の主要業務(信用格付け、財務諸表分析、担保評価、審査意見書作成、モニタリング)を具体的な業務フローとともに詳細に解説します。金融庁は2026年に向けて、財務情報だけでなく技術力・知財・顧客基盤も含めた総合的な融資判断を求める新指針を示しています(出典:日本経済新聞)。

審査部門の位置づけ

銀行の融資プロセスは「営業→審査→決裁」の3ステップで構成されます。

  1. 営業(RM):顧客との関係構築、融資ニーズの把握、稟議書の起案
  2. 審査:稟議書の内容を独立して精査し、融資の妥当性を判断
  3. 決裁:権限者(支店長、部長、取締役等)が最終的な融資可否を決定

審査部門はこのプロセスの第2ステップを担い、RMとは独立した立場で信用リスクを評価します。この「営業と審査の分離」は銀行のリスク管理の根幹です。

審査部門の主要業務

業務1:信用格付けの算出

業務の詳細

信用格付けは、取引先企業の信用力を定量的・定性的に評価し、ランクを付与する業務です。格付けは融資の可否判断だけでなく、適用金利、融資限度額、引当金の算出にも影響します。

定量評価(スコアリング)

財務諸表の数値に基づく客観的な評価です。

評価カテゴリ主要指標見るポイント
安全性自己資本比率、流動比率、固定長期適合率倒産リスクの低さ
収益性売上高営業利益率、ROA、ROE稼ぐ力の強さ
成長性売上高伸び率、経常利益伸び率将来の成長ポテンシャル
返済能力DSCR(債務返済カバー率)、インタレスト・カバレッジ・レシオ借入金を返せるか
効率性総資産回転率、棚卸資産回転期間、売上債権回転期間資産を効率的に使えているか

定性評価

数値だけでは測れない要素を評価します。

  • 経営者の資質:経営能力、後継者の有無、過去の実績
  • 業界見通し:市場の成長性、競争環境、規制リスク
  • 企業の競争力:技術力、ブランド力、顧客基盤、知的財産
  • 取引状況:メインバンクかサブバンクか、預金残高、為替・デリバティブの取引状況

債務者区分

格付けの結果、取引先は以下の債務者区分に分類されます。

区分定義融資方針
正常先業績良好で財務内容にも問題ない積極的に融資
要注意先業績低調・財務内容に問題あり慎重に対応
要管理先貸出条件の緩和(リスケ等)を行っている融資額の圧縮を検討
破綻懸念先経営難で今後破綻する可能性が高い新規融資は原則不可
実質破綻先深刻な経営難で実質的に経営破綻回収に注力
破綻先法的・形式的に経営破綻担保回収

この業務で人間にしかできないこと

  • 定性評価(経営者の人物評価、事業の将来性の判断)
  • スコアリングでは測れない「変化の兆し」の察知(業績は良いが受注残が急減している等)
  • 金融庁新指針に基づく技術力・知財の評価

業務2:財務諸表分析

業務の詳細

  1. 決算書の入手:取引先から直近3期分のBS/PL/CF計算書を受領
  2. 実態バランスシートの作成:表面上の数値ではなく、実態に即した修正(不良資産の時価評価、簿外債務の加算等)を加えた実態BSを作成
  3. 時系列分析:3期分の財務指標の推移を分析し、改善/悪化のトレンドを把握
  4. 同業比較:同業種・同規模の企業との財務指標の比較
  5. キャッシュフロー分析:営業CF、投資CF、財務CFの構造を分析し、資金繰りの安定性を評価

この業務で人間にしかできないこと

  • 実態BS作成における「この資産は本当に額面の価値があるか」の判断
  • 財務数値の裏にある経営事象の読み解き(「売上は伸びているが、利益率が低下している原因は何か」)

業務3:担保評価

業務の詳細

  • 不動産担保:路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定評価を参考に担保価値を算定。掛目(通常70%程度)を適用
  • 有価証券担保:株式、債券の時価に掛目を適用して担保価値を算定
  • 売掛金・在庫担保(ABL):動産担保融資の場合、売掛金の回収可能性、在庫の処分価値を評価
  • 保証:信用保証協会の保証、個人保証の有効性を確認

この業務で人間にしかできないこと

  • 不動産の個別性の評価(接道状況、用途地域の将来変更可能性、土壌汚染リスク等)
  • 在庫担保の処分可能性の判断(「この在庫は市場で売れるか」の実務判断)

業務4:審査意見書の作成

業務の詳細

審査意見書は、RMが起案した稟議書に対して、審査部門が独立した立場から意見を述べる文書です。

  1. 稟議書の精査:RMの稟議書の記載内容(融資条件、財務分析、リスク評価)を検証
  2. 独自分析の実施:審査部門独自の視点で追加分析(業界リスクの深掘り、ストレスシナリオの検討等)
  3. 意見の記述:融資の妥当性に対する審査意見(「適当と認める」「条件付で適当」「不適当」等)を根拠とともに記述
  4. 条件の付加:必要に応じて融資条件の修正(コベナンツの追加、担保の追加等)を提言

この業務で人間にしかできないこと

  • 稟議書の論理展開が「本当に説得力があるか」の判断
  • RMのバイアス(融資を通したい気持ち)を見抜き、客観的にリスクを評価する力
  • コベナンツの設計(どの指標を、どの水準で設定するか)

業務5:融資先モニタリング

業務の詳細

  • 定期モニタリング:半期・年次で決算書を徴求し、信用格付けを更新
  • コベナンツの遵守状況チェック:財務制限条項(自己資本比率の下限、追加借入の制限等)の遵守を確認
  • 早期警戒シグナルの検知:延滞の発生、手形の不渡り、主要取引先の倒産等の信用悪化の兆候を監視
  • 信用区分の変更判断:モニタリング結果に基づき、必要に応じて債務者区分を変更

この業務で人間にしかできないこと

  • 定量データには現れない信用悪化の兆候(取引先の評判変化、経営者の健康問題等)の察知
  • 債務者区分の変更判断(経営への大きな影響を伴う判断)

AI化の可能性と限界

AIで効率化できる業務

  • 財務諸表のAI-OCR読取→指標自動算出:紙の決算書をデータ化し、財務指標を自動計算
  • 定量スコアリングの自動化:財務指標に基づく信用スコアの自動算出
  • 同業比較データの自動収集:同業種の財務データをAIが収集・比較表を自動生成
  • 審査意見書のドラフト:財務分析結果+案件条件からLLMが意見書の骨子を自動生成
  • 早期警戒の自動検知:取引先の財務データ・ニュースをAIが継続監視し、信用悪化の兆候を検出

人間にしかできない業務

  • 定性評価:経営者の資質、事業の将来性、技術力の評価は人間の判断
  • 実態BSの作成:「この資産は本当に額面の価値があるか」は現場感覚が必要
  • 審査意見の最終判断:「融資してよいか」の最終判断は金融庁の監督指針上も人間が行う必要がある
  • RMとの対話:稟議書の背景にある取引関係や経営者の意図をRMから聞き出す力
  • 不動産担保の個別性評価:現地を見ないとわからないリスクの判断

まとめ

銀行の審査部門は、信用格付け、財務諸表分析、担保評価、審査意見書作成、融資先モニタリングの5つの業務で構成されています。営業部門から独立した「第二の目」として融資リスクを評価する機能であり、銀行の健全性の根幹を支えます。AIは財務データの処理と定量スコアリングで大幅な効率化が可能ですが、定性評価、実態BS作成、審査意見の最終判断、担保の個別性評価は完全に人間の専門領域です。

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FAQ

よくある質問

信用格付け、財務諸表分析、担保評価、審査意見書作成、融資先モニタリングの5業務。営業と独立した第二の目。

定量評価(安全性/収益性/成長性/返済能力/効率性)+定性評価(経営者資質/業界見通し/競争力)。

正常先→要注意先→要管理先→破綻懸念先→実質破綻先→破綻先の6区分。融資方針と引当金に直結。

財務情報だけでなく技術力・知財・顧客基盤も含めた総合的融資判断を求める方針(日経新聞)。

定性評価、実態BS作成、審査意見の最終判断、RMとの対話、不動産担保の個別性評価。

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