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銀行の市場運用部門(ALM/トレジャリー)の業務内容|金利リスク管理からポートフォリオ運用まで徹底解説【2026年版】

2026/4/16

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銀行の市場運用部門(ALM/トレジャリー)の業務内容|金利リスク管理からポートフォリオ運用まで徹底解説【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/16 公開

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銀行の市場運用部門(ALM/トレジャリー)の業務内容|金利リスク管理からポートフォリオ運用まで徹底解説

市場運用部門は、銀行自身の資金を金融市場で運用し、資産と負債のバランスを管理する部門です。ALM(Asset Liability Management:資産負債管理)はその中核業務であり、預金で集めた資金を国債・社債・外国債券等に投資しながら、金利リスクや流動性リスクをコントロールします。

本記事では、市場運用部門の主要業務(ALM運営、ポートフォリオ管理、流動性管理、市場リスク計測、市場レポート作成)を具体的に解説します。「金利ある世界」への移行に伴い、ALM経営の重要性がかつてないほど高まっています(出典:The Finance "金利上昇局面のALM")。

市場運用部門の主要業務

業務1:ALM運営(資産負債の総合管理)

業務の詳細

ALMは銀行のバランスシート全体を対象に、資産(貸出金、有価証券)と負債(預金、市場調達)のマッチングを管理する手法です(出典:みずほ第一フィナンシャルテクノロジー公式)。

  • 金利ギャップ分析:資産と負債の金利改定時期のミスマッチを把握。固定金利の貸出と変動金利の預金のギャップを管理
  • デュレーション管理:資産と負債の平均残存期間のバランスを調整
  • ALM委員会への報告:金利リスクの状況を定期的に経営陣(ALM委員会)に報告し、運営方針を決定
  • ヘッジ戦略の立案:金利スワップ等のデリバティブを活用した金利リスクのヘッジ方針を策定

この業務で人間にしかできないこと

  • 金利見通しに基づくALM戦略の策定(「今後金利が上昇するなら、固定金利資産の比率を高めるべきか」の判断)
  • ALM委員会での経営判断の支援

業務2:有価証券ポートフォリオの管理・運用

業務の詳細

  • 投資方針の策定:国債、社債、外国債券、株式等の資産クラス配分を決定
  • 銘柄選定・売買執行:投資方針に基づき、個別銘柄の選定と売買を執行
  • 時価評価・損益管理:保有有価証券の時価評価と含み損益の管理
  • 信用リスク管理:社債等の発行体の信用力を監視し、格下げリスクに備える

この業務で人間にしかできないこと

  • 市場環境の変化を踏まえたポートフォリオの戦略的な組み替え判断
  • 信用リスクの定性的な評価(「この発行体のスプレッドは割安か割高か」)

業務3:流動性リスク管理

業務の詳細

  • 資金繰り管理:日次の資金の過不足を予測し、市場調達(コール取引、レポ取引等)で調整
  • LCR(流動性カバレッジ比率)の管理:バーゼルⅢ規制で求められる流動性指標の算出と遵守
  • ストレステスト:市場急変時(金利急騰、預金流出等)の流動性への影響をシミュレーション
  • コンティンジェンシー・ファンディング・プラン:資金調達困難時の緊急対応計画の策定

この業務で人間にしかできないこと

  • ストレスシナリオの設計(過去に経験のない事象を想定する創造力)
  • 流動性危機時の緊急判断(「どの資産を売却するか」のトレードオフ判断)

業務4:市場リスクの計測・報告

業務の詳細

  • VaR(Value at Risk):一定の確率のもとで発生しうる最大損失額を算出
  • EaR(Earnings at Risk):金利変動が収益に与える影響を計測
  • BPV(Basis Point Value):金利が1bp変動した場合のポートフォリオ価値の変動額
  • リスクリミットの管理:経営陣が設定したリスク許容量の範囲内で運用されているかを監視
  • 規制報告:バーゼル規制に基づく自己資本比率、IRRBB(銀行勘定の金利リスク)の算出・報告

この業務で人間にしかできないこと

  • VaRの限界の理解(過去データに基づくモデルが想定しない「テールリスク」への備え)
  • リスクリミット抵触時の経営判断への助言

業務5:市場レポートの作成

業務の詳細

  • 日次マーケットレポート:金利動向、為替動向、株式市場の概況を社内向けに配信
  • 週次/月次の市場見通し:中期的な金利・為替の見通しと投資戦略の提言
  • 経営陣向け報告:ALM委員会、取締役会向けのリスク・リターン報告資料

AI化の可能性と限界

AIで効率化できる業務

  • 市場レポートの自動生成:相場データと経済指標からLLMが日次コメンタリーを自動作成
  • リスク指標の自動計算・アラート:VaR/EaR/BPVの自動算出とリミット抵触時のアラート
  • ストレステストシナリオの補助生成:過去のストレスイベントのデータからLLMがシナリオ案を提案
  • 規制報告書の定型セクション自動化

人間にしかできない業務

  • 金利見通しに基づくALM戦略の策定:マクロ経済の先行きを総合的に判断
  • ポートフォリオの戦略的組み替え:市場環境と収益目標のバランス判断
  • ストレス時の緊急対応:数理モデルが機能しない局面での経験に基づく判断
  • ALM委員会での経営提言:リスクデータを経営言語に翻訳して意思決定を支援

まとめ

銀行の市場運用部門は、ALM運営、ポートフォリオ管理、流動性管理、市場リスク計測、市場レポートの5つの業務で構成されています。「金利ある世界」への移行により、金利リスク管理の重要性がかつてないほど高まっています。AIは市場レポートの自動生成やリスク指標の計算で効率化に貢献しますが、ALM戦略の策定、ポートフォリオの組み替え判断、ストレス時の緊急対応は完全に人間の専門領域です。

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FAQ

よくある質問

ALM運営、ポートフォリオ管理、流動性管理、リスク計測、市場レポートの5業務。

資産と負債の総合管理。金利ギャップ・デュレーションを管理しリスクとリターンを最適化。

VaR(最大損失額)、EaR(収益リスク)、BPV(金利感応度)、LCR(流動性比率)。

市場レポート自動生成、リスク指標自動計算、ストレステストシナリオ補助。

ALM戦略策定、ポートフォリオ組替判断、ストレス時の緊急対応、ALM委員会への経営提言。

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