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SUS304とSUS316の違い徹底比較|PREN値・耐食性・コスト・用途別選定フローと国際規格対応【2026年版】

2026/4/14

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SUS304とSUS316の違い徹底比較|PREN値・耐食性・コスト・用途別選定フローと国際規格対応【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/14 公開

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SUS304とSUS316:最も使われるステンレス鋼の選び分け

SUS304とSUS316は、いずれもオーステナイト系ステンレス鋼の代表格です。SUS304はステンレス全生産量の約60%を占める「定番」であり、SUS316はSUS304に2~3%のモリブデン(Mo)を添加して耐食性を強化した「上位グレード」です。

この2つの使い分けは、製造業・建設業・食品工業・医療機器など幅広い分野で最も頻繁に問われる材質選定の質問です。

化学成分の比較

成分SUS304(AISI 304)SUS316(AISI 316)違いのポイント
クロム(Cr)18~20%16~18%SUS304がやや高い
ニッケル(Ni)8~10.5%10~14%SUS316が高い(コスト増の一因)
モリブデン(Mo)なし2~3%最大の違い。耐孔食性を大幅に向上
炭素(C)≦0.08%≦0.08%同等(Lグレードは≦0.03%)

核心:SUS316の「316」の秘密はモリブデン(Mo)にあります。モリブデンが塩化物イオン(Cl⁻)による孔食(ピッティング)を効果的に抑制します。

耐食性の定量比較:PREN(孔食抵抗指数)

耐食性を定量的に比較する指標として、PREN(Pitting Resistance Equivalent Number:孔食抵抗当量)が使われます。

PREN = %Cr + 3.3 × %Mo + 16 × %N

鋼種PREN値耐食性レベル
SUS304約19~22一般環境で十分
SUS316約24~26塩化物環境に対応
SUS316L約24~28溶接後の粒界腐食にも対応

PREN値の差は約5ポイント。この差が実環境では大きな意味を持ちます。具体的には、3% NaCl溶液中での臨界孔食温度(CPT)がSUS316のほうが約10~15°C高いことが報告されており、塩化物環境での耐久性に明確な差が出ます。

機械的性質の比較

項目SUS304SUS316
引張強さ≧520 MPa≧520 MPa
耐力(0.2%)≧205 MPa≧205 MPa
伸び≧40%≧40%
硬度(HV)≦200≦200
密度7.93 g/cm³7.98 g/cm³
磁性非磁性(冷間加工後に弱磁性化あり)非磁性(加工後もほぼ非磁性)

ポイント:機械的性質はほぼ同等です。選定の判断基準は耐食性とコストに絞られます。

コスト比較

項目SUS304を1とした場合のSUS316の比率
材料費約1.3~1.5倍
加工費ほぼ同等(やや切削抵抗が高い)
総コスト約1.3~1.5倍

中国市場のデータでは、SUS304が1.5~2万元/トン、SUS316が2万元以上/トンで、価格差は約1.6~1.8倍に達する場合もあります。モリブデンがレアメタルであるため、その相場変動がSUS316の価格に直結します。

用途・選定フロー

SUS304で十分なケース

  • 一般屋内環境:食品機械、厨房設備、医療器具(一般)
  • 淡水環境:水道水、蒸留水、ボイラー水(塩素濃度低)
  • 建築金物:屋内の手すり、カウンター、エレベーター内装
  • 化学プラント:弱酸・弱アルカリ環境

SUS316が必要なケース

  • 海洋環境:沿岸部の建築外装、船舶部品、海水淡水化装置
  • 塩化物環境:塩酸・次亜塩素酸使用ラインの配管・バルブ
  • 食品工業(過酷条件):水産加工、柑橘系加工、CIP(定置洗浄)で強酸・強アルカリを使用
  • 医療・製薬:手術器具、インプラント、製薬タンク
  • 化学プラント:強酸・強アルカリ・高温環境

選定フロー(3つの質問)

  1. 塩化物(Cl⁻)に接触するか? → Yes → SUS316
  2. 海岸から500m以内で屋外使用か? → Yes → SUS316
  3. 食品・医療で強い洗浄剤を使うか? → Yes → SUS316

すべてNoなら → SUS304で十分

国際規格の対応

規格体系SUS304対応SUS316対応
JISSUS304SUS316
AISI/ASTM(米国)304 / A240-304316 / A240-316
EN(欧州)1.4301 / X5CrNi18-101.4401 / X5CrNiMo17-12-2
GB(中国)06Cr19Ni1006Cr17Ni12Mo2

海外発注時はJIS記号に加え、AISI/EN番号を併記することで認識齟齬を防げます。

Lグレード(SUS304L・SUS316L)との違い

SUS304L・SUS316Lの「L」はLow Carbon(低炭素)の意味で、炭素含有量を0.03%以下に抑えたグレードです。

項目標準グレード(SUS304/316)Lグレード(SUS304L/316L)
炭素量≦0.08%≦0.03%
溶接性溶接後に粒界腐食のリスクあり溶接後の粒界腐食を大幅に低減
強度やや高いやや低い
用途溶接しない部品全般溶接構造物、配管

実務的な指針:溶接する部品にはLグレード(SUS304L/SUS316L)を選択するのが安全です。

SUS304/SUS316の図面記載方法

  • 表題欄の材質欄:SUS304(板はSUS304P、棒はSUS304B、管はSUS304TP)
  • 海外向け併記:SUS304 (AISI 304 / EN 1.4301)
  • 表面仕上げの併記:SUS304 2B仕上(冷間圧延仕上げの標準)
  • Lグレードの指定:SUS316L(溶接構造物の場合)

よくある選定ミスと対策

ミス1:「ステンレスだから錆びない」という思い込み

SUS304も塩化物環境では孔食が発生します。海岸近くの屋外使用でSUS304を選ぶと、数年で錆が発生することがあります。

対策:使用環境のCl⁻濃度を確認し、塩化物リスクがあればSUS316を選択。

ミス2:過剰スペック(すべてSUS316にする)

屋内の一般環境でもSUS316を指定すると、材料費が1.3~1.5倍になり不要なコスト増に。

対策:3つの質問(塩化物・海岸・洗浄剤)でスクリーニングし、必要な箇所のみSUS316。

ステンレス材質とAI図面解析

図面上の材質記号(SUS304/SUS316等)はAI-OCRの重要な抽出対象です。

  • 材質の自動判別:表題欄・注記から材質記号を自動抽出し、材料データベースと照合
  • 国際規格への自動変換:JIS記号をAISI/EN/GB規格に自動マッピング
  • 材料費の自動概算:材質と部品体積から材料費を自動算出

renueでは、材質情報を含む図面データのAI読み取り・構造化ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。

まとめ

  • SUS304とSUS316の最大の違いはモリブデン(Mo)2~3%の有無
  • 耐食性はPREN値で定量比較:SUS304≈19-22、SUS316≈24-26。CPTで10-15°Cの差
  • 機械的性質はほぼ同等。選定基準は耐食性とコスト
  • コストはSUS316がSUS304の約1.3~1.5倍
  • 選定は3つの質問で判断:塩化物接触?海岸近く?強い洗浄剤?
  • 溶接するならLグレード(SUS304L/SUS316L)を選択
  • 海外発注時はAISI/EN番号を併記

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FAQ

よくある質問

SUS304はクロム18%・ニッケル8%の18-8ステンレスで最も汎用的な材質です。SUS316はSUS304にモリブデン2〜3%を添加して耐食性を強化した上位グレードです。塩化物環境や酸に対する耐食性が大幅に向上しますが、コストは20〜30%高くなります。

一般的な屋内環境や軽度の腐食環境ならSUS304で十分です。海岸近くの屋外環境、塩素系薬品を使う環境、酸性の食品・化学品を扱う環境ではSUS316を選択します。PREN値(耐孔食性の指標)でSUS304は約18、SUS316は約24で、耐食性の差は明確です。

PREN(Pitting Resistance Equivalent Number)とは、ステンレス鋼の耐孔食性を数値で表した指標です。クロム、モリブデン、窒素の含有量から算出し、値が高いほど孔食に強いことを示します。一般的にPREN 25以上が海水環境での使用目安とされます。

Lはlow carbon(低炭素)を意味し、炭素含有量を0.03%以下に抑えたグレードです。溶接時の粒界腐食(鋭敏化)を防止する効果があり、溶接構造物ではLグレードの使用が推奨されます。機械的性質はほぼ同等です。

SUS316はSUS304と比べて材料費が20〜30%高くなります。モリブデンの含有によるコスト増が主な要因です。使用環境がSUS304で十分な場合にSUS316を選択するとオーバースペックになるため、耐食性要件を正確に評価して選定することがコスト最適化の鍵です。

SUS304はAISI 304(米国)、EN 1.4301(欧州)に対応し、SUS316はAISI 316、EN 1.4401に対応します。Lグレードは304L/316L、EN 1.4306/1.4404です。海外向け図面ではJIS記号と国際規格を併記するのが標準的です。

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