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STEPとIGESとは?3D CADの中間ファイル
3D CADでは、ソフトウェアごとに固有のファイル形式(SolidWorksの.sldprt、CATIAの.CATPart等)が使われます。異なるCADソフト間でデータを交換するには、どのソフトでも読める「中間ファイル形式」が必要です。
その代表格がSTEP(.stp/.step)とIGES(.igs/.iges)です。
STEPとIGESの基本比較
| 項目 | STEP | IGES |
|---|---|---|
| 正式名称 | Standard for the Exchange of Product Data | Initial Graphics Exchange Specification |
| 規格 | ISO 10303(国際規格) | ANSI(米国規格) |
| 拡張子 | .stp / .step | .igs / .iges |
| 初版 | 1994年 | 1980年 |
| 最終更新 | 継続的に更新中(AP242:2020) | 2000年代初頭で更新停止 |
| データ表現 | ソリッドモデル(体積情報あり) | サーフェスモデル(面情報のみ) |
| 変換精度 | 高い | 低い(面の隙間・欠落が発生しやすい) |
| ファイルサイズ | 比較的小さい | 大きい |
| 色・レイヤー情報 | AP214/AP242で対応 | 対応(ただし互換性に問題あり) |
| 現在の推奨度 | ★★★ 第一選択 | ★ レガシーシステム用 |
結論:迷ったらSTEP
現在の3D CADデータ交換ではSTEPが圧倒的に推奨されます。IGESは20年以上更新されておらず、ソリッドモデルの交換には不向きです。IGESを使うのは「相手のCADがSTEPに対応していない」場合のみです。
STEPのバージョン:AP203・AP214・AP242の違い
STEPには用途別に複数のAP(Application Protocol)が存在します。
| AP | 正式名 | 含まれる情報 | 主な業界 |
|---|---|---|---|
| AP203 | Configuration Controlled 3D Design | 形状・トポロジー・構成管理 | 航空宇宙・防衛 |
| AP214 | Core Data for Automotive Design | AP203 + 色・レイヤー・GD&T・設計意図 | 自動車 |
| AP242 | Managed Model-based 3D Engineering | AP203 + AP214の統合 + PMI + MBD対応 | 全業界(最新推奨) |
英語文献データ:AP203とAP214は2014年のAP242公開をもって国際規格としては廃止(deprecated)されています。AP242はAP203とAP214を統合した規格で、MBD(Model-Based Definition)/MBE(Model-Based Enterprise)のワークフローに対応する「将来対応型」の形式です。
STEPバージョンの選び方
- 迷ったら → AP214:色・レイヤーを含む最も汎用的な選択。多くのCADが対応
- 最新環境 → AP242:MBD対応。GD&T(幾何公差)の3Dモデルへの直接付与に対応
- 相手の指定がある → その指定に従う:AP203指定の場合もある(航空宇宙分野)
IGESの特徴と限界
IGESのメリット(歴史的な背景)
- 1980年から存在し、ほぼすべてのCADが対応している
- サーフェスモデルの交換には一定の実績がある
- 2D図面データの交換にも対応
IGESの限界
- ソリッドモデルの情報損失:ソリッドをIGESに変換すると、面(サーフェス)の集まりに分解される。体積・質量の情報が失われる
- 面の隙間・欠落:変換時に面と面の間に微小な隙間(ギャップ)が生じ、モデルが「水密」でなくなる
- 法線の反転:面の表裏が逆になることがある
- 更新停止:20年以上更新されておらず、最新のCAD機能に未対応
変換時のトラブルと対策
STEP変換時のトラブル
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| フィーチャー履歴の消失 | STEPは結果形状のみ保持 | 中間ファイルの仕様上避けられない。フィーチャーが必要ならネイティブ形式で共有 |
| 色が消える | AP203で保存した場合 | AP214またはAP242で保存 |
| アセンブリ構造が崩れる | サブアセンブリの扱いがCADにより異なる | 受け側のCADで再構成。事前にファイル名の命名規則を統一 |
IGES変換時のトラブル
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 面の隙間(ギャップ) | サーフェス間の接合精度不足 | 受け側のCADでヒーリング(面の修復)を実行 |
| ソリッドにならない | 面が閉じていない | 不足面を手動で補完し、縫い合わせ(ニット)を実行 |
| ファイルサイズが巨大 | IGESのテキスト表現が冗長 | STEPに切り替え。STEPなら通常30~50%小さくなる |
データ交換の優先順位
3D CADデータを外部と共有する際の推奨優先順位です。
- ネイティブ形式:同じCADソフトを使う相手なら最も情報損失が少ない
- STEP(AP214/AP242):異なるCAD間の標準。第一選択
- Parasolid(.x_t):SolidWorks/NX系ならネイティブに近い精度
- IGES:相手のCADがSTEP非対応の場合のみ
- STL/OBJ:3Dプリンターや可視化用。CAD編集には不向き
STL・3MFとの違い
| 形式 | 用途 | STEP/IGESとの違い |
|---|---|---|
| STL | 3Dプリンター | 三角形メッシュ。寸法精度・CAD編集には不向き |
| 3MF | 3Dプリンター(次世代) | 色・材料情報を保持。CAD編集には不向き |
| STEP | CADデータ交換 | 正確な曲面(NURBS)を保持。CAD編集可能 |
STEPとAI図面解析
- STEPからの自動情報抽出:STEPファイルのメタデータ(材質・質量・アセンブリ構造)をAIが自動読み取り
- 2D図面→STEP自動生成:2D図面の投影図からAIが3D STEPモデルを自動復元
- STEPモデルの類似検索:形状特徴量に基づく類似部品の自動検索
renueでは、STEP/IGESを含む多様な3DデータのAI解析ソリューションを提供しています。
まとめ
- 3D CADデータ交換はSTEPが第一選択。IGESはレガシー用途のみ
- STEPはソリッドモデルを保持、IGESはサーフェスに分解される
- STEPのバージョンはAP242が最新推奨(AP203+AP214の統合、MBD対応)
- 迷ったらSTEP AP214で保存(色・レイヤーを含む汎用的な選択)
- IGESは面の隙間・ソリッド消失・ファイルサイズ肥大の問題がある
- STEPでもフィーチャー履歴は失われる。履歴が必要ならネイティブ形式
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