ARTICLE

MFAとは?多要素認証の仕組み・認証方法・二段階認証との違い・導入実践を解説

2026/9/16 (更新: 2026/9/17)

SHARE

MFAの多要素認証の仕組み・認証方法・二段階認証との違い・導入実践を解説【2026年版】

MF

MFAとは?多要素認証の仕組み・認証方法・二段階認証との違い・導入実践を解説

ARTICLE株式会社renue
renue

株式会社renue

2026/9/16 公開2026/9/17 更新

renueについて

renueは、AIで業務を実装する会社です

AIコンサルティングから図面AI・広告運用エージェント・コールセンターAIまで、実際に動いているサービスをご覧いただけます。renueが何をしている会社か、まずはサービス一覧からご確認ください。

はじめに:パスワードだけでは守れない時代

サイバー攻撃の高度化により、パスワード認証だけではアカウントを守りきれない時代になっています。フィッシング、パスワードリスト攻撃、ブルートフォース攻撃——パスワードが漏洩・突破されるリスクがあります。この課題への重要な対策の一つが「MFA(多要素認証)」です。認証方式によって耐えられる攻撃は異なるため、特にフィッシング耐性を確認して選びます(NISTの認証強度の説明)。

本記事では、MFAの基本概念、3つの認証要素、二段階認証との違い、導入メリット、パスキーとの関係、さらに企業での導入実践まで、体系的に解説します。

第1章:MFAの定義と基本概念

MFAとは何か

MFA(Multi-Factor Authentication:多要素認証)とは、ユーザーの本人確認を行う際に、異なる種類の認証要素を2つ以上組み合わせることで、セキュリティを強化する認証方式です。1回の操作で複数要素を確認する認証器もあり、画面上の操作回数だけではMFAかどうかは決まりません(NISTの多要素認証の説明)。

身近な例では、ATMでの現金引き出しがMFAです。「キャッシュカード(所持情報)」と「暗証番号(知識情報)」の2つの異なる要素を組み合わせて認証しています。

3つの認証要素

知識情報(Something You Know)

ユーザーが「知っている」情報です。パスワード、PIN(暗証番号)、秘密の質問への回答などが該当します。漏洩・推測への対策が必要です。秘密の質問は知識情報の分類例ですが、安全な認証方式として推奨するものではありません。NISTは、パスワード設定でセキュリティ質問を使わせることを認めていません(パスワードの要件)。

所持情報(Something You Have)

ユーザーが「持っている」物です。スマートフォン(認証アプリ、SMS)、ハードウェアトークン、セキュリティキー(YubiKey等)、ICカードなどが該当します。効果や精度は条件により異なるため、個別の検証が必要です。

生体情報(Something You Are)

ユーザー自身の身体的特徴です。指紋認証、顔認証(Face ID等)、虹彩認証、声紋認証などが該当します。安全性はセンサー、照合精度、なりすまし検知、実装に依存します。NIST SP 800-63B-4では、生体を所持要素と組み合わせて使う条件を定め、声による生体照合は認めていません。どの生体方式も一律に最も安全という意味ではありません(生体認証の要件)。

第2章:MFAと二段階認証の違い

MFA(多要素認証)と二段階認証(2-Step Verification)は混同されがちですが、厳密には異なります。

MFAは「異なる種類の認証要素」を組み合わせます。例:パスワード(知識)+指紋(生体)。

二段階認証は「認証を2回行う」ことを指し、同じ種類の要素でも構いません。例:パスワード(知識)+秘密の質問(知識)。これは2段階ですが、要素は1種類(知識のみ)なので、厳密にはMFAではありません。

二段階認証の中にはMFAに該当する方式もあり、名称だけで優劣は決まりません。パスワード+SMSコードは通常「知識+所持」の組み合わせですが、SMSには後述のリスクがあり、MFAであってもフィッシング耐性があるとは限りません(認証方式別の要件)。

第3章:MFAの主な認証方法

認証アプリ(TOTP)

Google Authenticator、Microsoft Authenticator等のアプリで生成するワンタイムコードを使います。例えば30秒ごとの6桁コードがあり、時間幅や桁数は方式・設定によります。RFC 6238は30秒を標準の時間幅として推奨しています。TOTPはSMSの通信経路に依存しませんが、偽サイトへのコード入力などのフィッシングを防げる方式ではありません(TOTPの仕様、OTPの特性)。

SMS認証

携帯電話にSMSで認証コードを送信する方式です。手軽ですが、SIMスワッピング攻撃(SIMカードの不正入手)やSMS傍受のリスクがあるため、より安全な認証アプリへの移行が推奨されます。

プッシュ通知

スマホのMFAアプリにプッシュ通知が送信され、通知内容を確認して承認する方式です。「MFA疲れ攻撃」(大量の通知で誤承認を誘う攻撃)への対策として数字の照合等を使います。Microsoft Authenticatorでは利用画面や端末に応じて数字の入力・照合等が行われるため、常にボタン1回だけで完了するわけではありません(数字照合の仕様)。

ハードウェアセキュリティキー

YubiKey等のUSB/NFC接続のハードウェアキーで認証します。FIDO2/WebAuthnに対応する認証を使うと、接続先に結び付いた公開鍵認証によりフィッシング耐性を得られます。キーの対応規格と、PIN等のユーザー検証を要求する設定を確認します(暗号認証とフィッシング耐性)。

生体認証

指紋(Touch ID)、顔(Face ID)、虹彩などで認証します。スマホの普及で生体認証が身近になり、パスワードレス認証の基盤技術としても注目されています。

パスキー(Passkey)

FIDO2/WebAuthn規格に基づく新しい認証方式で、パスワードなしで生体認証やPINで安全にログインできます。Apple、Google、Microsoftが対応を推進しており、生体・PINによるユーザー検証と、端末等に保管された秘密鍵による認証を組み合わせて利用できます。操作が1回でも複数要素を確認する構成が可能です(FIDO Allianceの説明)。

第4章:MFA導入のメリット

不正アクセスの大幅削減

MFAは、パスワードだけが漏洩した場合のアカウント侵害リスクを下げます。Microsoftが2023年に公表した研究では、Azure Active Directoryの商用アカウントを対象とする分析で、MFA有効・無効の群を比較した推定侵害リスクの低減率は99.22%でした。全ての攻撃を防ぐ割合ではなく、OTPの詐取、誤承認、セッションの窃取などへの対策も必要です(Microsoftの研究)。

コンプライアンス対応

規格と法律では、対象・要求事項が異なります。PCI DSSにはカード会員データ環境(CDE)へのアクセス等にMFAを求める要件があり、適用範囲や例外を確認します。要件8.4.2では、条件を満たすフィッシング耐性認証を代替として認める説明もあります(PCI SSCの適用範囲の説明、パスキーに関するFAQ)。ISO/IEC 27001のISMSはリスク管理の枠組みであり、GDPR第32条はリスクに応じた技術的・組織的対策を求めます。両者を「重要システムに一律MFA必須」と言い換えることはできません(ISOの概要、EDPBの安全管理措置の説明)。

ゼロトラストの基盤

ゼロトラストでは、ネットワーク上の場所だけを理由に信用せず、利用者・端末・リソース等に基づいてアクセスを判断します。MFAは本人確認を強化する一要素です。SSOや条件付きアクセス等と組み合わせ、端末の状態、必要な権限、セッションも含めて設計します(NISTのゼロトラストの定義)。

renueでは、ゼロトラスト構築に向けたMFAの導入設計を支援しています。Entra ID/OktaのMFA設定、条件付きアクセスポリシーの設計、パスキー対応の検討を含む包括的な認証基盤設計を支援しています。

第5章:MFA導入の注意点

ユーザー体験とのバランス

MFAの方式によってはログインの手間が増えます。リスクベースの条件付きアクセス等を使い、既に満たした認証強度やセッション、端末の状態を確認した上で、追加認証が必要な場面を定めます。パスキーの秘密鍵利用に生体・PINでのユーザー検証を必須にする構成は、操作が少なくても所持要素と組み合わせたMFAになり得ます。単に「普段は生体のみでよい」と判断せず、サービス側で必要な強度を確認します(条件付きアクセスとライセンス、多要素認証器の要件)。

リカバリー手段の設計

MFAデバイス(スマホ等)の紛失・故障時にログインできなくなるリスクがあります。サービスが対応するバックアップコード、代替の認証器、本人確認を伴う管理者の復旧手順を整備します。復旧手段自体が弱点にならないよう、利用条件と保管・失効の方法も確認します。

段階的な導入

全社一斉導入ではなく、管理者アカウント→機密システム利用者→全従業員の順に段階的に導入し、ユーザーサポート体制を整えながら展開するのが現実的です。

第6章:MFAの最新動向(2026年)

パスワードレス認証への移行

パスキー(FIDO2/WebAuthn)の普及により、パスワードそのものを廃止する「パスワードレス認証」が現実化しています。端末等の秘密鍵による所持確認と、生体またはPINによるユーザー検証を組み合わせれば、パスワードを使わないMFAを構成できます。端末の画面ロック解除だけで要件を満たすと考えず、認証器とサービスの実装・設定を確認します(多要素認証器の説明、パスキーの仕組み)。

導入率を読む際の対象と時点

Oktaの「Secure Sign-in Trends Report 2024」では、2024年1月にOkta Workforce Identity Cloudの利用者がMFAでサインインした割合は全体で66%、製造業で70%、建設・エンジニアリング・建築分野で78%でした。これは同サービスの対象ユーザーの利用率で、国内企業全体の導入企業率や2026年の最新値ではありません。他のIdP経由のMFAなどは集計に含まれないため、対象範囲にも注意が必要です(調査方法・業種別の原図)。

よくある質問(FAQ)

Q1: MFAは面倒ではないですか?

初回登録は必要ですが、パスキー等を使うとパスワード入力を省き、生体認証やPINでログインできる場合があります。確認画面や操作回数は端末・ブラウザ・サービスの設定によって異なります。利用者が使う環境で、認証と復旧の手順を確認するとよいでしょう(パスキーの利用方法)。

Q2: SMS認証は安全ですか?

パスワードだけの認証に追加することでリスク低減が期待できますが、SIMスワッピングやコード詐取への注意が必要です。SMSの利用を制限付きとして扱うNISTの説明を参考に、利用可能ならフィッシング耐性のあるFIDO認証等を検討します。TOTPもSMS通信に依存しない一方、フィッシング耐性はありません(方式別の特性)。

Q3: 個人でもMFAを使うべきですか?

はい。メール、SNS、銀行、ECサイト等のアカウントでMFAを有効化することを強く推奨します。特にメールアカウントは他のサービスのパスワードリセットに使われるため、最優先でMFAを設定してください。

Q4: MFAデバイスを紛失したらどうなりますか?

サービスが認めるバックアップコード、別に登録した認証器、または本人確認を伴う管理者の復旧手順を使います。電話番号だけで復旧できるとは限りません。事前に復旧方法を確認し、バックアップコードを安全に保管して、紛失した端末・認証器を失効させます。

Q5: MFAとパスキーの違いは?

MFAは異なる種類の認証要素を組み合わせる考え方で、パスキーはFIDO標準に基づく公開鍵認証の資格情報です。秘密鍵による所持確認と、生体・PIN等によるユーザー検証を必須にして確認する構成はMFAになり得ます。パスキーという名称や画面の操作回数だけで判断せず、実装・設定と適用する規格の条件を確認します(FIDOの説明、多要素認証器の条件)。

Q6: MFAの導入コストは?

認証アプリ自体の料金と、企業のIdP・管理機能のライセンス、端末・サポート費を分けて考えます。Entra ID Freeでもセキュリティ既定値によるMFAを利用でき、独自の条件付きアクセス等はプランを確認します(利用できる機能)。2026年9月17日確認の表示価格では、Entra ID P1は1人月額相当1,049円(年間契約・年払い)、Okta Workforce IdentityのStarterは1人月額6米ドルから(年払い・年間最低契約額1,500米ドル)です。キーの例ではYubico Security Key NFC(USB-A/NFC)が1本29米ドルです。課税・配送・通貨換算・契約条件を含む請求総額は購入時に確認してください(Entra料金、Okta料金、機種別価格)。

認証基盤・ゼロトラストセキュリティの設計をご支援します

renueでは、MFA導入設計、SSO/IdP基盤の構築、パスキー対応、ゼロトラストアーキテクチャの設計を支援しています。セキュリティと利便性を両立する認証基盤を、伴走型でサポートいたします。

無料相談はこちら →

あわせて読みたい

SHARE

FAQ

よくある質問

異なる種類の認証要素を2つ以上組み合わせて本人を確認する仕組みです。例えばパスワード(知識)と認証アプリ(所持)の組み合わせがあります。1回の操作で、秘密鍵の所持と生体・PINによるユーザー検証を確認する認証器もあります。リスク低減効果は方式と設定によるため、フィッシング耐性も確認します(NISTの認証強度(https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b/aal/))。

二段階認証は確認の段階数に着目した呼称で、MFAは異なる種類の要素を組み合わせることに着目します。パスワードと認証アプリは両方に該当し得ますが、パスワードと秘密の質問はいずれも知識要素です。両概念は重なるため、MFAが二段階認証より常に強いとは言えません。実際の要素、フィッシング耐性、登録・復旧の条件を比較します(多要素認証の定義(https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b/aal/))。

認証アプリのTOTP、SMSのコード、FIDO2対応セキュリティキー、パスキー、アプリのプッシュ通知などがあります。生体認証は認証器の秘密鍵を使う際のユーザー検証等に利用し、所持要素と組み合わせます。TOTPやSMSはフィッシング耐性がある方式ではないため、対応環境ではFIDO認証等を検討します(NISTの方式別説明(https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b/authenticators/)、パスキー(https://fidoalliance.org/passkeys/))。

パスワード漏洩時のアカウント侵害リスクを下げ、リモートアクセス等の本人確認を強めるためです。Microsoftの2023年研究は、Azure Active Directoryの商用アカウント分析で、MFA有効・無効の群を比較した推定侵害リスクの低減率を99.22%と報告しています。全攻撃の阻止率ではありません。ISO 27001やSOC 2の対象範囲、サイバー保険の引受条件等は個別に確認し、MFA導入だけで準拠や保険適用が保証されるとは考えないことが必要です(Microsoftの研究(https://www.microsoft.com/en-us/research/publication/how-effective-is-multifactor-authentication-at-deterring-cyberattacks/)、ISMSの概要(https://www.iso.org/standard/27001))。

管理者・特権アカウントから重要な業務・全社員へと対象を広げ、必要に応じて外部パートナー・顧客向けサービスも検討します。登録、問い合わせ、紛失時の復旧まで準備して段階的に展開します。TOTPの費用対効果はIdP料金や支援工数によって異なり、一律に最も安いとは言えません。フィッシング耐性が必要なら、FIDO2対応セキュリティキーやパスキー等の利用条件を確認します(認証器の特性(https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b/authenticators/)、パスキーの説明(https://fidoalliance.org/passkeys/))。

renueについて

renueは、AIで業務を実装する会社です

AIコンサルティングから図面AI・広告運用エージェント・コールセンターAIまで、実際に動いているサービスをご覧いただけます。renueが何をしている会社か、まずはサービス一覧からご確認ください。

関連記事

AI導入・DXの悩みをプロに相談してみませんか?

AIやDXに関する悩みがありましたら、お気軽にrenueの無料相談をご利用ください。renueのAI支援実績、コンサルティングの方針や進め方をご紹介します。

無料資料をダウンロード