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アルミ合金の種類と選び方|A5052・A6061・A7075の強度/耐食性/加工性を定量比較【2026年版】

2026/4/14

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アルミ合金の種類と選び方|A5052・A6061・A7075の強度/耐食性/加工性を定量比較【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/14 公開

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アルミ合金の選び方:なぜ種類が多いのか

アルミニウム合金は、添加元素の組み合わせで1000系~7000系に分類され、それぞれ強度・耐食性・加工性・溶接性が大きく異なります。「どのアルミを使えばいいか」は設計者が最も頻繁に悩む選定課題の一つです。

本記事では、実務で最も多く使われる3種(A5052・A6061・A7075)を中心に、定量データに基づく比較と選定フローを提供します。

A5052・A6061・A7075の定量比較表

項目A5052-H34A6061-T6A7075-T6
系統5000系(Al-Mg)6000系(Al-Mg-Si)7000系(Al-Zn-Mg-Cu)
引張強さ260 MPa310 MPa570 MPa
耐力(0.2%)193 MPa276 MPa505 MPa
伸び10%12%11%
硬度HV 68HV 107HV 175
密度2.68 g/cm³2.70 g/cm³2.80 g/cm³
耐食性◎ 優秀(海水にも強い)○ 良好△ やや劣る(Zn含有)
溶接性◎ 優秀○ 良好(溶接後に強度低下あり)× 非推奨(割れやすい)
切削加工性△ やや劣る(粘りがある)◎ 優秀(脆性的に削れる)○ 良好
板金加工性◎ 優秀(曲げ・絞りに強い)○ 良好△ 割れやすい
熱処理不可(加工硬化のみ)可(T6処理で強度UP)可(T6処理で最大強度)
価格(相対)安い(1.0倍)やや高い(1.2倍)高い(1.8~2.5倍)

A5052:板金加工の定番

特徴

  • マグネシウム(Mg)を約2.5%含有する非熱処理型合金
  • 耐食性と板金加工性のバランスが最も良い
  • 海水・塩害環境に強く、船舶・沿岸構造物に適する
  • 溶接性が優秀。TIG・MIG溶接が問題なく可能

用途

板金カバー・筐体・タンク・パネル・船舶部品・自動車ボディパネル

図面での指定例

A5052P-H34 t=2.0(板材・加工硬化処理H34・板厚2mm)

A6061:切削加工の定番

特徴

  • マグネシウム+ケイ素(Mg+Si)を含む熱処理型合金
  • T6処理で強度が大幅に向上(耐力276 MPa)
  • 切削加工性が最も優秀。CNCフライス・旋盤で精密部品に最適
  • アルマイト処理との相性が良い

用途

構造材(フレーム・アングル)・治工具・機械部品・自転車フレーム

図面での指定例

A6061-T6(丸棒・角材。T6処理済み)

英語文献データ:A6061は切削時に「脆性的に」小さく清潔な切りくずが飛ぶため、加工精度が出しやすく、CNC加工の第一選択です。A5052は弾性的に削れるため、精密切削には不向きです。

A7075:超高強度の特殊材

特徴

  • 亜鉛(Zn)+マグネシウム+銅を含む熱処理型合金
  • アルミ合金中最高強度(引張強さ570 MPa ≒ SS400の鋼に匹敵)
  • 「超々ジュラルミン」と呼ばれる
  • 耐食性が劣る(Zn含有のため)。溶接は非推奨

用途

航空機構造材・レーシングカー部品・ロボットフレーム・スマートフォン筐体

図面での指定例

A7075-T6(T6処理済み。アルマイト指示を併記推奨)

英語文献データ:A7075は溶接すると熱影響部に割れが発生しやすいため、溶接は一般的に非推奨です。接合が必要な場合はボルト締結やリベットを使用します。

その他のよく使うアルミ合金

合金系統特徴用途
A10501000系(純アルミ)導電性・導熱性最高。強度は低い放熱板・反射板・電気部品
A20172000系(ジュラルミン)高強度・切削性良好。耐食性劣る航空機リベット・機械部品
A50835000系A5052より高強度。溶接構造物に最適船舶・LNGタンク・圧力容器
A60636000系押出成形に最適。建材の定番サッシ・フレーム・レール

アルミ合金の選定フロー

  1. 加工方法は?
    • 板金加工(曲げ・絞り)→ A5052
    • 切削加工(フライス・旋盤)→ A6061
    • 押出成形 → A6063
  2. 必要な強度は?
    • 中程度(200MPa級)→ A5052
    • 高い(300MPa級)→ A6061-T6
    • 最高(500MPa超)→ A7075-T6
  3. 溶接するか?
    • Yes → A5052 または A5083
    • No → A6061、A7075も選択可
  4. 海水・塩害環境か?
    • Yes → A5052(海水耐食性最優秀)
    • No → 用途に合わせて選択

調質記号の読み方

アルミ合金には材質記号の後ろに調質記号(テンパー)が付きます。

記号意味
O焼なまし(最も軟らかい)A5052-O
H24加工硬化+安定化処理(半硬質)A5052-H24
H34加工硬化+安定化処理(3/4硬質)A5052-H34
T4溶体化処理+自然時効A6061-T4
T6溶体化処理+人工時効(最高強度)A6061-T6, A7075-T6

アルミ合金と図面AI

  • 材質記号の自動認識:A5052P-H34やA6061-T6をOCRで読み取り、合金系・調質状態を自動判定
  • 加工方法との整合性チェック:A7075に溶接指示がないかAIが自動検証
  • 材料費の自動概算:合金種と部品体積から材料費を自動算出

renueでは、アルミ合金を含む材質情報のAI読み取り・構造化ソリューションを提供しています。

まとめ

  • A5052:板金加工・溶接・海水環境の定番。耐食性◎、板金加工性◎
  • A6061:切削加工・構造材の定番。T6処理で耐力276MPa。切削性◎
  • A7075:超高強度(570MPa)の特殊材。溶接×、耐食性△。コスト高
  • 選定は加工方法→強度→溶接→耐食性のフローで判断
  • 調質記号(H34/T6等)は強度に直結する重要情報。図面に必ず併記

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FAQ

よくある質問

A5052は耐食性と加工性に優れた汎用グレード、A6061は強度と耐食性のバランスが良い構造材向け、A7075は超ジュラルミンと呼ばれる高強度グレードで航空宇宙分野で使用されます。引張強さはA5052が約230MPa、A6061が約310MPa、A7075が約570MPaです。

耐食性の要求→強度の要求→加工方法→溶接の有無→コスト制約の順で判断します。汎用的な板金部品にはA5052、構造強度が必要な部品にはA6061、最高強度が求められる部品にはA7075を選定するのが基本フローです。

適度な強度、優れた耐食性、板金加工(曲げ・溶接)のしやすさ、入手性の良さ、コストの安さが揃っている汎用性の高さが理由です。筐体・カバー・ブラケットなど加工性と耐食性を両立させたい部品で最も多く使われます。

非熱処理型(1000系・3000系・5000系)は時効硬化しないため冷間加工で強化します。熱処理型(2000系・6000系・7000系)は溶体化処理と時効硬化で強度を大幅に向上させることができます。A5052は非熱処理型、A6061とA7075は熱処理型です。

A5052は溶接性が良好でTIG/MIG溶接が可能です。A6061は溶接で熱影響部の強度が低下するため注意が必要です。A7075は溶接が非常に困難で、接合にはボルト締結や接着が推奨されます。溶接が必要な部品にA7075を選定するのは避けるべきです。

O材は焼きなまし(最も軟らかい状態)、H材は加工硬化処理(H24は半硬質等)、T材は熱処理(T6は溶体化処理+人工時効硬化等)を示す調質記号です。同じ材質でも調質によって強度と加工性が大きく変わるため、図面では材質記号と調質記号をセットで指定します。

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