株式会社renue
renueについて
renueは、AIで業務を実装する会社です
AIコンサルティングから図面AI・広告運用エージェント・コールセンターAIまで、実際に動いているサービスをご覧いただけます。renueが何をしている会社か、まずはサービス一覧からご確認ください。
AI コンサルの1日と聞くと、生成 AI を使ってドキュメントを作る場面を思い浮かべるかもしれません。Deloitte の State of AI in the Enterprise(2026年版)では、AI 活用を進める組織の経営層など 3,235 人を対象とした調査で、34% が AI による事業の抜本的な変革を進める一方、37% は既存の業務プロセスを大きく変えていないと回答しています。これは業務の変え方についての結果で、AI の利用頻度を示す数字ではありません。
一方で、AI ネイティブを掲げる組織は別のレイヤーに進んでいます。AI が業務基盤になっている、つまり Slack や VS Code と並んで「AI エージェントが立ち上がっていない朝はそもそも仕事が始まらない」状態です。本記事は、AI 実装支援を本業とするコンサルティングファーム(renue)が、社員 1 人の 1 日をどう設計しているかを、採用候補者向けに公開する記事です。働き方の標語ではなく、時間配分と判断軸という形で具体的に書き下ろします。
1. 「AI を使う」と「AI が業務基盤」は別物
AI を業務に組み込む際も、人による確認は必要です。米国 NIST が 2024 年 7 月に公表した生成 AI リスク管理プロファイルでは、導入前のリスク評価や継続的な監視で、生成結果に含まれる出典・引用を確認することを推奨しています。AI ネイティブな働き方でもこの確認を省くのではなく、誰がどの段階で確かめるかを日々の業務に組み込むことが大切です。
McKinsey の 2025 年 State of AI 調査をまとめた公式図表によると、2025 年 6〜7 月の回答者 1,993 人のうち、88% が所属組織で少なくとも 1 つの業務機能に AI を利用していると回答し、組織全体で十分に展開したとの回答は 7% でした。企業全体の普及率を直接測った統計とは区別が必要です。同様に PwC の 2026 AI Predictionsは、高い成果を目指す企業に、個々の作業への AI 追加だけでなく、AI を前提としたワークフローの再設計を提案しています。
renue 社内でも、Claude Code などの AI を日々の業務に組み込み、仕事の流れを見直すことを重視しています。議題は、どの作業を AI に任せ、どこで人が内容を確認し、次の担当へ渡すかという具体的な設計です。SHIFT が AI ネイティブ SI カンパニーを目指す動きや、メルカリが AI を前提に組織を再設計する取り組みも公表されています。こうした企業の取り組みも参考にしつつ、renue では職種だけでなく「AI を前提にしたワークフローを言語化できるか」を重視します。
2. 1 日の時間配分(コンサル × エンジニア兼務メンバーの典型)
採用候補者からのカジュアル面談で頻出するのが「実装するコンサルって、本当に 1 日に何をやっているのか」という質問です。標準化された 1 日というよりは、複数の典型パターンを切り分けて見せた方が誤解が少ないので、典型 1 日のうち多数派を占める「PoC が走っている案件のメンバー」のリズムを書きます。
2-1. 朝(9:00–10:30):エージェントの夜間アウトプットを点検
朝一で見るのは、PMO エージェントが夜間に走らせた日次サマリ、新規/未解決課題、社員ごとの優先タスク。この種のジョブを定期実行しておけば、出社前に結果が揃っています。コンサルが朝にやるのは、エージェントが立てた優先順位を眺めて、自分の担当案件の 1 軍タスクを承認する作業です。承認しないと、次の Phase に進めません。
同時に、Claude Code のセッションを 1 つ立ち上げ、当日触りそうなリポジトリ・案件のコンテキストを Skill 経由でロードします。Skill には案件のドメイン辞書や過去の検討経緯が登録されており、毎朝ゼロから状況をキャッチアップする時間がほぼ消えています。
2-2. 午前後半(10:30–12:30):顧客打ち合わせ × 議事録自動取得
顧客打ち合わせは renue の本業の中心です。会議そのものには人間が集中し、議事録 AI を要点・未決事項・アクションアイテムの整理に活用します。共有までの時間は会議の長さや音声品質、確認内容によって変わります。コンサルは生成された記録を元の会話と照合し、事実誤認や抜け漏れを直した上で、未決事項の担当者・期限と共有先を確認します。
手書きメモや文字起こしを最初から整理する代わりに、AI の下書きを確認・修正する流れに変えることで、議事録作成の負担を減らすことを目指します。ただし、生成時間だけでなく、内容確認や修正、共有までを含めて効果を測る必要があります。従来の作業時間を記録し、同程度の会議で比較すれば、意思決定や顧客との対話に回せる時間を評価できます。AI への投資額や組織の形だけで効果を決めつけず、実際の業務で何が変わったかを確かめることが、時間配分の見直しの出発点です。
2-3. 午後前半(13:30–16:00):実装と記事執筆の同居
renue のコンサルは、自分の案件の AI エージェント PoC コードを Claude Code でリファクタしながら、副産物として「業界規制と AI 適用の落とし穴」を社内ナレッジに書き起こします。ドメイン知識から、PoC 仕様書・社内ナレッジ・SEO 記事・社内研修教材の 4 つが派生する設計になっており、コンサルが書く 1 行の文章が、案件納品物と社内資産の両方になります。
Tredence の AI Consultant Jobs 解説(2026 年)は、AI コンサルの職務類型のうち Architect 型に必要な技術として「agentic frameworks、RAG パイプライン、マルチモデルオーケストレーション」を挙げています。renue では、これらをコンサル本人も扱う業務スキルとして位置づけています。専門担当者と協力しながらコンサル自身もコードに触れる、という業務分担が時間配分の前提です。
2-4. 午後後半(16:00–18:00):品質確認で見つかった指摘への対応
社外に出す成果物(記事、提案資料、PoC 仕様書、納品書類)は、用途と公開範囲に応じて内容を確認します。AI の出力を下書きとして扱い、担当者が出典・正確性・公開可否を点検することが基本です。午後後半は、この確認で見つかった指摘を整理し、修正と再確認に時間を充てます。
例えば「この数値を一次資料で確かめたか」「この表現は読み手に誤解を与えないか」「この表に公開の承認がない情報が含まれていないか」と問い直します。AI による確認も補助として使いながら、コンサルはドメイン知識を使って指摘の意味を判断し、根拠や論旨を修正します。修正後も、送付先や公開範囲に合う内容になっているかを確認します。
2-5. 終業後(18:00–):自分の知らない業界を意図的に学ぶ
終業後にあえて時間を取るのは、自分の知らない業界の記事や規制を読む活動です。次の PoC でドメインが変わったときに、ゼロから検索する時間を圧縮するための投資で、AI に任せられる部分が増えれば増えるほど、人間が学ぶべき領域は逆に広がります。Josh Bersin の 2026 年の Workday × Sana 解説でも、自身が利用するサービスについて、業務支援と知識へのアクセス、学習を一体で利用できることが紹介されています。本記事でも、効率化によって得た時間を新しい業界知識の習得に充てることを勧めます。
3. 業務分担の前提:「職種」ではなく「翻訳できるか」
1 日の時間割には、コンサル特有の業務とエンジニア特有の業務の境目がほぼありません。renue 社内の業務分担は「職種ベース」ではなく「能力ベース」で動いており、能力の中身は次の 4 つに集約できます。
- 業務トレース能力:顧客のオペレーションを 1 ステップずつ言語化する力。自動化の前提となる基本動作。
- 業務翻訳能力:トレースしたフローを、AI エージェントの設計に翻訳する力。BPR 経験者が強い領域。
- 実装翻訳能力:エージェント設計を、コードと CI/CD のラインに翻訳する力。エンジニアが強い領域。
- 監査翻訳能力:実装を、業界規制と社内コンプライアンスに翻訳する力。GRC 出身者やコンサルマネージャーが強い領域。
ライン全体は、この 4 つの翻訳がバトンのように繋がる構造になっています。AG2 の Qingyun Wu による 2026 年のエージェント AI 展望は、個別のエージェントだけでなく、複数の専門的な役割を協調させる仕組みの重要性を論じています。これは執筆者の展望です。本記事では人間側の業務分担にもこの考え方を当てはめ、誰が目標を決め、実装し、成果を確かめるかをつなげて設計することを提案します。
4. このリズムが生まれる根拠
1 日の時間配分の根拠には、次のような考え方があります。
- 「Speed を最優先する」:朝の優先順位承認が会議よりも前にあるのは、ラインの滞留を作らないため。
- 「業務のトレース」:自動化の前提として、まず人間がやっている業務を言語化する。Skill 化の手前に必ずトレースが入る。
- 「ボールを拾う姿勢」:エージェントが落としたタスクを誰かが必ず拾う。AI が完璧ではない前提で人間側のセーフティネットを設計する。
- 「AI エラーメッセージの読み方」:エージェントが返す指摘の粒度を読み解く力は、社内ではコンサルの基本スキル。
- 「フィクションを手本にしない」:AI が出した「それっぽい数字」を一次ソースで裏取りせずに使わない。終業後の自己学習の時間軸はここに直結。
5. 採用候補者がここから読み取るべきこと
1 日の時間割を見て「自分が再現できそうかどうか」を測る読者が多いはずです。読み取るべきシグナルは 3 つです。
第 1 に、AI ネイティブな 1 日は「AI ツールを多く使う 1 日」ではなく「AI を前提に時間配分を再設計した 1 日」です。PwC の 2026 AI Predictionsも、AI を活用する人材について、事業上の成果に結び付く役割や評価・報酬の仕組みを設計することを勧めています。本記事でも、ツールの利用回数だけでなく、成果物の品質や意思決定への貢献を確かめながら時間配分を見直すことを重視します。
第 2 に、コンサルとエンジニアの境界は、職種ベースの分担に固執する組織で起きます。renue 社内は能力ベースで動いており、業務トレース・業務翻訳・実装翻訳・監査翻訳の 4 つが連結されています。候補者が一番大きく自己投資すべきは、得意な翻訳を 1 つ深く、そして残り 3 つを「指摘の意味が読める」レベルまで広げる方向です。
第 3 に、AI が業務基盤になっている組織でも、人間がやる仕事は減りません。むしろ「AI が出した出力をドメイン知識で意味づける」「AI が落としたボールを拾う」「AI に任せた領域を業界知識でアップデートする」という働き方に再配分されます。AI を使う時間より、AI に任せきれない領域に集中する時間の方が長くなる、というのが運用してみての実感です。
6. まとめ
renue 社内の AI ネイティブな 1 日は、エージェントが業務基盤になった上で、人間が「業務トレース・業務翻訳・実装翻訳・監査翻訳」のうちどれを担うかを選ぶ働き方です。時間配分は「会議より前にエージェントの夜間アウトプットを点検する」「会議中は人間が集中する」「午後は実装と記事執筆を同居させる」「品質確認で見つかった指摘をドメイン知識で直す」「終業後は自分の知らない業界を学ぶ」という流れに収束しています。
採用候補者にとっての示唆は、AI ネイティブな働き方は標語ではなく、時間配分と業務分担として実装されているということ、そして人間側の能力は「翻訳力」に集約されていく、という 2 点です。同じ 1 日を毎日動かしている人と話したい方は、カジュアル面談から接点を作ってください。1 日の中身は記事に書ききれないので、対面で話す方が早い領域です。
renue ではコンサル × エンジニア × エージェント設計を業務として担うメンバーを募集しています。カジュアル面談で「AI が業務基盤になった組織の 1 日」をお話しします。カジュアル面談に申し込む




