株式会社renue
図面AI
図面の読み取りから積算まで、AIで自動化できます
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板金図面とは?切削加工図面との違い
板金図面とは、金属の薄板(対応板厚は材質・加工法・設備によって異なります)を切断・曲げ・溶接などで加工して製品を作るための図面です。切削加工の図面とは異なり、「展開図」という概念が加わるのが最大の特徴です。
板金加工では、1枚の平らな板から曲げ加工で立体形状を作り出します。そのため、完成品の形状だけでなく「曲げる前の平板の形状(展開図)」を正しく導き出すことが、設計の核心となります。
板金図面に必要な情報
- 完成品の形状・寸法:正面図・平面図・側面図などの投影図(板金図面の読図)
- 展開図:曲げ加工前の平板形状と寸法
- 板厚:材料の厚さ(t=1.6など)
- 材質:SPCC(冷間圧延鋼板)、SUS304(ステンレス)、A5052(アルミ)など
- 曲げ指示:曲げ方向、曲げ角度、内R
- 表面処理:めっき、塗装、アルマイトなど
展開図の基本:なぜ展開寸法は完成寸法と異なるのか
板金を曲げると、曲げの外側は引き伸ばされ、内側は圧縮されます。しかし板厚の中間付近には伸びも縮みもしない面が存在し、これを中立面(中立軸)と呼びます。
展開寸法は中立面に沿った長さとなるため、完成品の外側寸法を単純に足し合わせた値とは一致しません。外側寸法の合計から求める場合は、曲げ部分の伸び補正値を差し引きます。直線部だけを合計する方法とは、寸法の基準が異なります。
展開寸法の基本式
展開長 = 外側寸法の合計 − 曲げ箇所ごとの伸び補正値の合計。中立面基準では「各直線部の長さの合計 + 中立面に沿う曲げ部の長さの合計」となります(外寸と補正値、中立面基準法)。
展開寸法の計算方法
方法1:外側寸法加算法
完成品の外側寸法を合計し、曲げ箇所ごとに「伸び値(曲げ補正値)」を差し引く方法です。
展開長 = 外側寸法の合計 − (伸び値 × 曲げ箇所数) ※各曲げの補正値が等しい場合。異なる場合は曲げごとの補正値を合計して差し引きます。
伸び値は板厚・曲げ角度・材質・金型(ダイV幅)によって異なります。加工工場の実測データを使う場合は、発注先に適用条件を確認してください(アマダの伸び補正値の説明)。
90°曲げの伸び補正値(アマダ公表のSPCCの例)
| 板厚(mm) | 材質 | ダイV幅(mm) | 伸び補正値α(mm) |
|---|---|---|---|
| 0.8 | SPCC | 6 | 1.48 |
| 1.0 | SPCC | 6 | 1.74 |
| 1.6 | SPCC | 10 | 2.80 |
| 2.0 | SPCC | 12 | 3.44 |
| 2.3 | SPCC | 14 | 3.94 |
※アマダの公開表から、90°曲げ・SPCCの5例を抜粋しています。V幅は各行の値です。SUS304やA5052に流用せず、材質・板厚・金型・曲げ条件ごとの実測値を確認してください。
方法2:中立面基準法
中立面の位置を計算し、その面に沿った長さを求める方法です。アマダの解説では、曲げRが板厚の5倍以上の場合と、それ未満の場合を分けて近似計算しています(中立面基準法)。
中立面の位置は、内側面からの距離を板厚で割ったK係数で表せます。アマダのR≧5tの近似では板厚の中央(0.5t)を用い、Rが小さい場合は内側への移動を考慮します。一律に0.33tとはせず、曲げR・板厚・材料・加工条件に合う値を設定してください(FusionのK係数の定義)。
板金図面の曲げ指示方法
曲げ方向の指示
図面上で曲げ方向を明確にする方法は以下の通りです。
- 投影図で表現:正面図・側面図で曲げ後の形状を示す(最も一般的)
- 展開図に曲げ線と方向記号を記入:展開図上に一点鎖線で曲げ線を示し、山折り・谷折りを区別
- 注記で補足:「曲げ内R = t(板厚と同じ)」などの注記を追加
曲げ内Rの指示
| 指示方法 | 意味 | 使用場面 |
|---|---|---|
| R指示なし | 発注先の加工仕様・合意した標準Rを適用。自動的に最小Rになるとは限らない | 一般的な板金部品 |
| R=t | 板厚と同じR | 設計条件に合う場合の指定例。材質・調質・金型等で適否を確認 |
| R=2t以上 | 板厚の2倍以上のR | 意匠や相手部品との関係で大きなRが必要な場合 |
| 具体的な数値 | R3、R5など | 相手部品との嵌合がある場合 |
板金設計で押さえるべき加工限界
板金図面を描く上で、加工可能な形状の限界を知っておくことが重要です。
穴と曲げの距離
穴と曲げ部の距離が短いと、曲げ加工時に穴が変形することがあります。必要な距離は板厚・材質・穴種・曲げ形状によって異なります(ミスミの加工条件)。
- 最低距離:穴端からの測定基準を確認し、発注先の材質・板厚・穴種・曲げ形状別の下限値を適用
- 設計時の確認:加工限界値ぎりぎりでは穴が変形する場合があるため、余裕や穴精度を加工先と確認
最小曲げ寸法
曲げのフランジ(立ち上がり部分)が短すぎると、ダイの両肩で材料を支持できず、加工できない場合があります(アマダの最小フランジ寸法)。
- 最小フランジ長さ:アマダの説明では(V幅/2)×√2 ≒ 0.7×V幅が概算。使用金型と寸法基準を確認
- 例:板厚2mm、V幅12mmの場合 → 上記の概算では最小フランジ ≒ 0.7×12 = 8.4mm。実際の加工可否は金型仕様で確認
曲げの干渉
箱型形状など複数回の曲げがある場合、曲げ順序によっては金型と干渉して加工できないことがあります。
- 対策1:曲げ順序を考慮した形状設計
- 対策2:逃げ穴(スリットや切欠き)を設ける
- 対策3:溶接による組立に変更
板金加工の公差:加工サービスの公開仕様例
以下はミスミが公表する板金加工品の許容差です。JIS B 0408 B級を採用していますが、一部型式には別の保証値があり、他社・他製品へ一律に適用する表ではありません。穴位置・穴間距離・穴と曲げの距離についても、曲げの有無、基準寸法、個別指定に応じて発注先と確認してください。
| 基準寸法(mm) | 曲げなし部の許容差(mm) | 曲げ加工部の許容差(mm) |
|---|---|---|
| 6以下 | ±0.1 | ±0.3 |
| 6超〜30以下 | ±0.2 | ±0.5 |
| 30超〜120以下 | ±0.3 | ±0.8 |
| 120超〜400以下 | ±0.5 | ±1.2 |
板金図面のよくある間違いと対策
間違い1:発注先が求める図面・データを確認しない
展開図の提出を求める発注先へ完成図だけを渡すと、追加の展開計算や確認に時間がかかり、認識齟齬も生じやすくなります。
対策:展開図の要否と受け渡すデータ形式を発注先と確認しましょう。3D CADの板金機能では、設定した曲げ条件に基づいて展開できます(CAD/CAMによる展開の説明)。
間違い2:穴が曲げ線に近すぎる
穴を曲げ部へ近づけすぎると、曲げ時に穴が楕円に変形することがあります。下限距離は板厚の倍率だけでは決まりません。
対策:発注先の仕様に従い、穴端から曲げ部までの距離と寸法基準を確認。どうしても近い場合は逃げスリットを入れましょう。
間違い3:曲げ内Rの未指定
R指示がない場合は発注先の仕様や加工者の判断に依存し、材質・板厚によっては割れのリスクがあります。
対策:特にアルミ合金やステンレスの厚板では、曲げ内Rを明示的に指定しましょう。
間違い4:板厚を考慮しない寸法記入
外側寸法なのか内側寸法なのかが不明確で、板厚分のずれが生じます。
対策:寸法基準を統一し(外側基準が一般的)、図面内に「寸法は外側基準」と注記しましょう。
板金図面テンプレート:注記の書き方
板金図面の注記欄の記入例を紹介します。以下の材質・板厚・膜厚・R・公差等は例であり、製品の要求仕様と発注先の加工条件に合わせて決定してください。
- 材質:SPCC-SD t=1.6
- 表面処理:亜鉛めっき(亜鉛層の膜厚8μm以上)+三価クロメート処理(めっき層と後処理の仕様例)
- 曲げ内R:指示なきR = t
- バリ方向:曲げ内側
- 寸法基準:外側寸法
- 一般公差:JIS B 0408 B級(採用する場合の注記例。適用部位・個別公差・発注先の保証条件を確認)
- 溶接後仕上:溶接箇所はビードを除去し、平滑に仕上げること
板金図面とAI:デジタル化の展望
板金図面は展開図・曲げ指示・加工注記など、複合的な情報を含むため、AI-OCRによるデジタル化では、記号や寸法の位置関係を扱う必要があります。以下は活用を検討する項目で、採用製品と対象図面を用いた検証が必要です。
- 展開図の自動認識:曲げ線・穴位置の検出と、3D形状推定への利用可否を確認
- 加工注記の構造化:板厚・材質・表面処理などの注記情報の抽出とデータベース化を検討
- 類似部品検索:過去の板金部品の展開形状を検索対象にし、見積もりや工程設計に使えるかを評価
renueの図面AIは、板金図面を含む多様な製造図面の読み取り・データ化に対応しています。お気軽にご相談ください。
まとめ
- 板金図面の核心は展開図。曲げ加工前の平板形状を正しく導き出すことが最重要
- 展開寸法は外側寸法加算法(外寸合計 − 各曲げの伸び補正値の合計)など、寸法基準に合う方法で計算
- 伸び値は板厚・材質・金型(V幅)で異なる。発注先に確認するのが確実
- 穴と曲げ部の距離は、穴の変形を防ぐため、発注先の材質・板厚・穴種・曲げ形状別の条件に合わせて確保
- 曲げ内Rの指示、寸法基準(外側/内側)の明記、バリ方向の指定が重要
- 注記欄には材質・板厚・表面処理・一般公差・曲げRを漏れなく記載
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