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配管図・P&IDとは?図面の種類と役割
配管図とは、プラントや工場の配管システムを図面上で表現した図面の総称です。配管図にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる目的で使用されます。
配管図の種類
| 図面の種類 | 英語名 | 目的 | 記載情報 |
|---|---|---|---|
| P&ID(配管計装図) | Piping & Instrumentation Diagram | プロセスの全体像と制御系を示す | 機器・配管・バルブ・計器の接続関係 |
| PFD(プロセスフロー図) | Process Flow Diagram | プロセスの概略フローを示す | 主要機器と物質の流れ(詳細なし) |
| 配管レイアウト図 | Piping Layout Drawing | 配管の物理的な配置を示す | 配管ルート・支持点・寸法 |
| アイソメ図 | Isometric Drawing | 配管の3D的な形状を示す | 等角投影での配管形状・継手・寸法 |
P&IDの重要性
P&IDはプラントエンジニアリングの「マスター図面」とも言える存在です。設計・施工・運転・保全のすべてのフェーズで参照されます。
- 設計段階:プロセスの接続関係と制御方式の確定
- 施工段階:配管・計装工事の施工基準
- 運転段階:オペレーション手順の根拠
- 保全段階:機器台帳・保全計画の基礎情報
P&IDの基本構成要素
P&IDは以下の要素で構成されます。
1. 機器(Equipment)
タンク・熱交換器・ポンプ・圧縮機・反応器などのプロセス機器を記号で表現します。
| 機器 | 記号の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| タンク(貯槽) | 円筒形 | 液体の貯蔵 |
| 熱交換器 | シェル&チューブ型の記号 | 流体間の熱交換 |
| ポンプ | 円と三角の組み合わせ | 液体の送液・昇圧 |
| 圧縮機 | 三角と円の組み合わせ | 気体の圧縮 |
| 塔(カラム) | 縦長の円筒 | 蒸留・吸収 |
| フィルター | 三角内に点線 | 固液分離 |
2. 配管(Piping)
配管はライン番号を付けた線で表現します。
- メインプロセスライン:太い実線
- ユーティリティライン:通常の実線
- 計装エアライン:破線
- 電気信号ライン:一点鎖線
ライン番号の読み方
例:6"-P-101-A1A-CS
- 6":配管口径(6インチ)
- P:流体コード(P=プロセス)
- 101:ライン番号
- A1A:エリア・系統コード
- CS:材質(Carbon Steel)
3. バルブ(Valve)
バルブはP&IDで最も種類が多い記号群です。
| バルブの種類 | 記号の特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| 仕切弁(ゲートバルブ) | 向い合せの三角形 | 全開/全閉の遮断用 |
| 玉形弁(グローブバルブ) | 向い合せの三角形+横線 | 流量調整用 |
| ボールバルブ | 向い合せの三角形+丸 | 開閉操作が容易 |
| バタフライバルブ | 向い合せの三角形+縦線 | 大口径の開閉 |
| 逆止弁(チェックバルブ) | 三角形+縦線 | 逆流防止 |
| 安全弁(リリーフバルブ) | 尖った波線型 | 過圧保護 |
| 調節弁(コントロールバルブ) | 三角形に斜線+アクチュエータ | 自動制御用の流量調節 |
4. 計器(Instrument)
計器は円(バルーン)の中にアルファベットを記入して表現します。ISA(International Society of Automation)の規格に準拠しています。
計器記号の読み方
円内のアルファベットは以下の法則で組み合わさります。
| 位置 | 意味 | 代表的な文字 |
|---|---|---|
| 1文字目 | 測定変量 | F=流量, P=圧力, T=温度, L=液位, A=分析 |
| 2文字目 | 機能 | I=指示, R=記録, C=制御, T=発信, A=警報 |
| 3文字目以降 | 追加機能 | S=スイッチ, V=バルブ, E=素子 |
例:FIC-101 → 流量(F)の指示(I)・制御(C)を行う計器、番号101
例:PT-201 → 圧力(P)の発信器(T)、番号201
P&IDの書き方:基本ルール
レイアウトの原則
- 左から右へ:プロセスの流れは基本的に左から右に配置
- 上から下へ:重力を利用するフローは上から下に配置
- 機器を先に配置:主要機器の位置を決めてから配管をつなぐ
- 交差を最小化:配管の交差はできるだけ避け、見やすさを確保
記号の配置ルール
- 機器記号にはタグ番号(例:V-101, P-201)を付記
- 配管にはライン番号を記入
- バルブには必要に応じてタグ番号を付与
- 計器は配管上の測定点から引き出し線でバルーンを接続
凡例(LEGEND)の重要性
P&IDには必ず凡例ページを設け、使用する記号の一覧と意味を定義します。JIS、ISO、ANSIなど複数の規格が存在し、企業ごとに独自記号も使われるため、凡例がないと図面が読めません。
アイソメ図の基本
アイソメ図(Isometric Drawing)は配管の3D的な形状を等角投影法で表現した図面で、配管製作・現場施工に不可欠です。
アイソメ図に記載する情報
- 配管の方向と長さ:XYZ軸を等角投影で表現
- 継手の種類:エルボ、ティー、レデューサー等
- バルブの位置と種類
- 溶接箇所:溶接記号で指示
- 配管サポートの位置
- 寸法と高さ:BOP(Bottom of Pipe)やCL(Center Line)基準
配管図でよくある間違いと対策
間違い1:P&IDとレイアウト図の不整合
P&IDでは直線的に描いた配管が、レイアウト図では複雑なルートになり、バルブの位置や分岐点がずれることがあります。
対策:P&ID変更時は必ずレイアウト図・アイソメ図にも反映する。図面間の整合性チェックリストを活用しましょう。
間違い2:計器記号のアルファベット誤用
ISA規格のアルファベット体系を理解せずに独自の略語を使うと、他のエンジニアが読めません。
対策:ISA S5.1の規格に準拠し、凡例で定義を明確にしましょう。
間違い3:安全弁・逆止弁の向きの誤記
安全弁の吹出し方向や逆止弁の流れ方向を誤ると、重大な安全事故につながります。
対策:安全弁は吹出し方向を矢印で明示。逆止弁は三角記号の尖った方向が流れの方向であることを確認しましょう。
配管図とAI図面解析
P&IDは機器・配管・バルブ・計器が複雑に絡み合うため、紙図面のデジタル化において最も難易度が高い図面の一つです。
- 記号の自動認識:数百種類のP&ID記号をAIが自動分類し、機器台帳やバルブリストを自動生成
- 接続関係の解析:配管ラインの接続トポロジを自動抽出し、プロセスフローのデジタルツイン化に活用
- ライン番号・タグ番号の抽出:OCRで文字情報を読み取り、既存のデータベースと自動照合
renueでは、P&IDを含むプラント図面のAI解析ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。
まとめ
- P&IDはプラントの「マスター図面」。設計・施工・運転・保全のすべてで参照される
- P&IDは機器・配管・バルブ・計器の4要素で構成
- バルブ記号は種類が多く、仕切弁・玉形弁・逆止弁・安全弁・調節弁が頻出
- 計器記号はISA規格に準拠し、1文字目=測定変量、2文字目=機能の法則で読む
- プロセスの流れは左→右に配置し、凡例ページを必ず設ける
- アイソメ図は配管の3D形状を等角投影で表現し、製作・施工に使用

