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鋳造品の図面書き方ガイド|抜き勾配・鋳造丸みR・肉厚設計・削り代・CT公差の指示方法【2026年版】

2026/4/13

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鋳造品の図面書き方ガイド|抜き勾配・鋳造丸みR・肉厚設計・削り代・CT公差の指示方法【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/13 公開

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鋳造品の図面が切削加工品と異なる理由

鋳造品(鋳物)は、溶かした金属を型(鋳型)に流し込んで凝固させて作る部品です。切削加工品とは製造プロセスが根本的に異なるため、図面にも鋳造特有の指示事項が必要になります。

  • 抜き勾配:鋳型から模型(木型)を抜くためのテーパーが必要
  • 鋳造丸み(R):角部の応力集中と鋳造欠陥を防止するための丸み
  • 均一肉厚:冷却速度の差による変形・引け巣を防ぐ設計
  • 削り代(仕上げしろ):機械加工面に付ける鋳造時の余肉
  • CT公差:鋳造品専用の寸法公差体系(JIS B 0403)

鋳造品の抜き勾配

砂型鋳造では鋳型から木型(模型)を抜き取るため、金型鋳造やダイカストでは製品を金型から取り出すために、垂直面に勾配(テーパー)を設けます。

抜き勾配の目安

鋳造方法外面内面(中子側)備考
砂型鋳造1°~3°2°~5°JIS B 0403に基づく。高さに応じて変動
金型鋳造1°~2°2°~3°砂型より精度が高い分、小さな勾配で可
ダイカスト1°~3°2°~5°深いリブは5°~10°推奨(英語文献データ)

図面への指示:断面図上にテーパー角度を記入するか、注記で「鋳造抜き勾配は1/30~1/200とする」と一括指示。JIS B 0403には寸法Lの範囲ごとの勾配基準値Aが規定されています。

鋳造丸み(R)の設計と指示

鋳造品の角部や隅部には必ず丸み(R)をつけます。これには以下の理由があります。

  • 鋳造応力の緩和:角部への応力集中を防ぎ、割れ・変形を抑制
  • 引け巣の防止:角部に溶湯が十分に回り、健全な鋳造組織を形成
  • 鋳型の保護:鋳型の角部が欠けにくくなり、砂落ちを防止

鋳造丸みの目安

部位推奨R根拠
内側の隅RR3~R5(肉厚の1/3~1/2)JIS推奨。応力集中緩和に効果的
外側の角RR1~R3鋳型保護と外観品質
リブの付け根R肉厚の0.2~0.4倍中国語技術文献のデータ。引け巣防止

図面への指示:「指示なき鋳造丸みはR3とする」と注記で一括指示。機械加工する面の丸みは削り代に含まれるため、加工後にRがなくなる設計とします。

肉厚設計のルール

鋳造品の肉厚は品質に直結する最重要パラメータです。肉厚が不均一だと、冷却速度の差により以下の欠陥が発生します。

  • 引け巣(ひけす):厚肉部の中心に空洞ができる
  • 変形・反り:冷却速度差による残留応力で変形
  • 割れ:薄肉部と厚肉部の接続部に応力集中

材質別の最小肉厚目安

材質砂型鋳造 最小肉厚ダイカスト 最小肉厚
ねずみ鋳鉄(FC)4~6mm-
球状黒鉛鋳鉄(FCD)3~5mm-
鋳鋼(SC)6~8mm-
アルミ合金鋳物(AC)3~5mm1.0~2.5mm
亜鉛合金ダイカスト-0.6~1.5mm

英語文献データ:ダイカストの肉厚は一般的に1.0~5.0mm(0.040~0.200インチ)の範囲で、合金・部品形状・サイズ・用途によって最適値が異なります。

肉厚の遷移ルール

肉厚が変化する部分は急激に変えず、テーパー状に緩やかに遷移させます。

  • 遷移勾配:1:4~1:5(厚い側から薄い側へ)
  • T字接合部:接合部のRを大きくし、肉厚差を吸収
  • 十字接合の回避:4本のリブが1点で交差すると厚肉部が発生。ずらして配置

削り代(仕上げしろ)の指示

鋳造品の鋳肌面(黒皮)は寸法精度・表面粗さが低いため、機械加工する面には「削り代」として余分な肉を付けます。

削り代の目安(JIS B 0403参照)

鋳造方法削り代の目安備考
砂型鋳造(小物~中物)3~5mm上面は多め(5~7mm)
砂型鋳造(大物)5~10mm鋳物サイズに比例
金型鋳造1.5~3mm砂型より寸法精度が高い
ダイカスト0.25~1mm英語文献:最小0.25mm(表面clean up用)

中国語技術文献データ:砂型鋳造の一般的な加工余量は4~10mm。導轨面(ガイド面)や軸孔などの精密面には12mmの加工余量が推奨されています。

図面への指示方法

  • 機械加工面を太い一点鎖線で囲い、加工面であることを示す
  • 注記:「鋳造品の削り代は JIS B 0403 MAG-E(又は指定等級)とする」
  • 個別指示:加工面ごとに「削り代 5mm」と記入

鋳造品の寸法公差(CT公差)

鋳造品にはJIS B 0405(一般機械部品の普通公差)ではなく、JIS B 0403で規定されるCT公差を使用します。

CT公差等級

等級適用代表的な鋳造方法
CT1~CT4高精度ダイカスト、精密鋳造(ロストワックス)
CT5~CT8中精度金型鋳造、低圧鋳造
CT9~CT12一般精度砂型鋳造(機械造型)
CT13~CT16低精度砂型鋳造(手込め)、大型鋳物

図面への指示:注記に「鋳造品の寸法公差は JIS B 0403 CT10 とする」と記載。

鋳造品図面の注記テンプレート

  • 材質:FC250(JIS G 5501)
  • 鋳造寸法公差:JIS B 0403 CT10
  • 削り代:JIS B 0403 MAG-E
  • 指示なき鋳造丸みはR3とする
  • 指示なき抜き勾配は1/50とする
  • 鋳造欠陥(巣・割れ・砂噛み)は不可
  • 機械加工面の鋳肌は除去加工必須記号で指示
  • 鋳仕上面の表面粗さ:Ra 25以下(参考)

鋳造品図面でよくある間違い

間違い1:角部にRをつけない

切削加工品の感覚でピン角にすると、鋳造応力で割れが発生します。

対策:すべての角部に最低R3を指示。注記で一括指示が効率的。

間違い2:削り代を考慮しない寸法記入

完成品の寸法だけ記入し、鋳造品としての素材寸法(削り代込み)が不明確。

対策:加工面は太い一点鎖線でマーク。削り代の等級を注記に明記。

間違い3:肉厚の急激な変化

薄肉部と厚肉部が隣接すると、引け巣と変形の原因になります。

対策:肉厚変化は1:4~1:5の勾配で遷移させる。

鋳造品図面とAI

鋳造品の図面はCT公差・削り代・鋳造丸みなど固有の指示が多く、AIによる自動解析の効果が大きい領域です。

  • 鋳造方案のレコメンド:過去の鋳造品図面データベースから、形状・材質が類似する鋳造方案を自動推薦
  • CT公差・削り代の自動抽出:図面注記から公差等級と削り代を構造化データに変換
  • 鋳造シミュレーション連携:図面から3Dモデルを生成し、湯流れ・凝固シミュレーションに接続

renueでは、鋳造品を含む製造図面のAI読み取り・見積自動化ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。

まとめ

  • 鋳造品の図面には抜き勾配・鋳造丸み・均一肉厚・削り代・CT公差の指示が必要
  • 抜き勾配は砂型1°~3°、ダイカスト1°~3°(深いリブは5°~10°)
  • 鋳造丸みは内隅R3~R5(肉厚の1/3~1/2)が標準
  • 肉厚は均一に保ち、変化部は1:4~1:5の勾配で遷移
  • 削り代は砂型3~10mm、金型1.5~3mm、ダイカスト0.25~1mm
  • 寸法公差はJIS B 0405ではなくJIS B 0403のCT公差(CT1~CT16)を使用

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FAQ

よくある質問

鋳造品の図面では通常の寸法記入に加え、抜き勾配、鋳造丸みR、肉厚、削り代、鋳造公差(CT公差)の指示が必要です。鋳造特有の制約(型の抜き方向、溶湯の流れ、凝固時の収縮)を理解した上で設計・記載しないと、鋳造不良やコスト増加の原因になります。

抜き勾配(ドラフトアングル)とは、鋳型から製品を取り出しやすくするために鋳造面に設ける傾斜です。一般的には1〜3度が標準で、深い部分ほど大きな勾配が必要です。図面には抜き方向と勾配角度を明記し、外面と内面で勾配の方向が異なる点にも注意します。

鋳造品の内角部にはR(丸み)を設けて応力集中を防ぎ、溶湯の流れを改善します。一般的に肉厚の0.3〜0.5倍のRを設定し、図面には各部のR値を記入します。未指示部のR値(例:未指示R3)を一般注記に記載しておくと、図面がシンプルになります。

均一な肉厚が鋳造品設計の基本原則です。急激な肉厚変化は引巣(ひけす)や割れの原因になるため、肉厚の変化部は緩やかな傾斜で接続します。最小肉厚は鋳造方法と材質で決まり、砂型鋳造のアルミ合金で3〜5mm、鋳鉄で5〜8mmが一般的な下限です。

削り代(仕上げ代)とは、鋳造後に機械加工で仕上げる部分に予め設ける余肉のことです。鋳造面の精度は機械加工面ほど高くないため、寸法精度が必要な面には削り代を設定して後加工します。一般的に2〜5mm程度(サイズにより変動)で、図面には機械加工面を加工記号で指示し、削り代の量は鋳造図と加工図の差で定義します。

CT公差はISO 8062(JIS B 0403)に規定された鋳造品の寸法公差等級です。CT1〜CT16まであり、数字が大きいほど公差が緩くなります。砂型鋳造はCT9〜CT13、ダイカストはCT5〜CT8、精密鋳造はCT4〜CT7が一般的です。図面の一般注記にCT等級(例:一般公差 CT10)を記載します。

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