株式会社renue
renueについて
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ボルトの強度区分とは?数字の意味
ボルトの強度区分は、JIS B 1051(ISO 898-1に対応)で規定される「ボルトの強さ」を表す分類です。「8.8」「10.9」「12.9」のように小数点を含む数字で表記され、この数字からボルトの引張強さと耐力(降伏点)が読み取れます。
数字の読み方
- 小数点の前の数字:呼び引張強さ(MPa)の1/100
- 小数点の後の数字:呼び耐力と呼び引張強さの比率の10倍
例:10.9 = 呼び引張強さ 10×100 = 1000 MPa、呼び耐力 = 1000×0.9 = 900 MPa。これは区分名の呼び値です。表の規格最小値1040/940MPaとは区別します。JIS B1051:2014(ISO898-1:2013対応)は鋼製締結用部品の機械的・物理的性質を規定し、試験・寸法・製品条件を確認して適用します。
主要な強度区分一覧表(呼び値とは区別)
| 強度区分 | 引張強さの規格最小値 (MPa) | 降伏・耐力の規格基準値 (MPa):試験条件別 | 硬さ (HRC):径条件別 | 材質の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 4.6 | 400 | 240 | - | 低炭素鋼(SS400相当) |
| 4.8 | 420 | 340 | - | 低炭素鋼 |
| 5.6 | 500 | 300 | - | 中炭素鋼 |
| 5.8 | 520 | 420 | - | 中炭素鋼 |
| 6.8 | 600 | 480 | - | 中炭素鋼 |
| 8.8 | 800(M16以下)/ 830(M16超) | 640(M16以下)/ 660(M16超) | 22~32(M16以下)/ 23~34(M16超) | 炭素鋼/合金鋼等を製品規格で確認、焼入焼戻し。SCM435は合金鋼の例 |
| 9.8(M16以下) | 900 | 720 | 28~37(M16以下) | 中炭素鋼 焼入焼戻し |
| 10.9 | 1040 | 940 | 32~39 | 合金鋼 焼入焼戻し(SCM440等) |
| 12.9 | 1220 | 1100 | 39~44 | 合金鋼 焼入焼戻し(SCM440H等) |
8.8・10.9・12.9の使い分け
強度区分 8.8:中強度のボルト。表の降伏・耐力は試験条件を確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引張強さ | 規格最小値800MPa(M16以下)/830MPa(M16超)。実測値の範囲ではない |
| 用途 | 自動車部品、産業機械、建設機械の一般的な締結 |
| 特徴 | 一般締結の候補。強度区分8.8だけで構造用高力ボルトセットへの適合や、全用途の最適コストを意味しない |
| SAE対応 | 元の比較目安はSAE Grade 5。径・ねじ体系・試験/材料条件を同一視せず、同等性/代替適合は個別に確認 |
強度区分 10.9:高強度ボルト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引張強さ | 1040 MPa |
| 用途 | 橋梁・高層建築、風力発電、大型トラック、EV等で検討する場合も設計仕様を照合。構造用高力ボルトセットの規格適合を別に確認 |
| 特徴 | 高強度締結の候補。荷重・寸法・表面処理・調達条件で選定し、構造接合の一律標準や最適コストとはしない |
| SAE対応 | 元の比較目安はSAE Grade 8。メートル/インチねじ・径・試験/材料条件の個別照合が必要 |
規格と選定条件:10.9の材料強度だけで橋梁・建築接合のデフォルト仕様は決まりません。JIS B1186:2013は摩擦接合用の高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセットを規定します。一般締結用の強度区分とセットの適合・認証・施工/設計仕様を区別します。元の「各分野のデフォルト」「最適バランス」の市場資料は未確認です。
強度区分 12.9:超高強度ボルト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 引張強さ | 1220 MPa |
| 用途 | 規格・認証・設計条件を満たす高強度接合部 |
| 特徴 | 最高強度だが水素脆化リスクが高い。選定には注意が必要 |
| SAE対応 | 元の強度比較はSAE Grade 8超という目安。適用径と比較試験条件の原典は未確認で、同等性・互換性の判定に使わない |
水素脆化の注意:12.9等の高強度鋼では、酸洗・電気亜鉛/カドミウムめっき等による水素侵入と引張応力に伴う水素脆化(水素ぜいか)を評価します。Bossardの使用上の注意はベーキングが破断リスクを低減しても完全な除去・防止を保証できないと説明しています。強度/硬さ、前処理・表面処理工程、適用規格・発注条件、必要な検査を確認してください。
強度区分の選定フロー
- 必要な締付力(軸力)を計算:被締結体の荷重・振動・安全率から必要軸力を算出
- ボルトサイズを仮決定:必要軸力を達成できるボルト径を選定
- 強度区分を選択:
- 一般機械で検討する候補 → 8.8(荷重・径・製品仕様から適合確認)
- 高荷重で検討する候補 → 10.9。構造接合は高力セット等の設計指定を別に確認
- 最高強度が必要な特殊用途 → 12.9(水素脆化リスクを評価した上で)
- ナットの適合を確認する:8.8と8、10.9と10等の元表の組合せも、採用規格版・径/ピッチ・スタイル/高さ・負荷能力の条件を確認
ボルト頭部の識別マーク
強度区分は、ボルトの頭部に刻印されている数字で識別できます。
| 強度区分 | 頭部刻印 | 備考 |
|---|---|---|
| 4.6 | なし(又は4.6) | 無刻印は低強度品の可能性 |
| 8.8 | 8.8 | 一般締結用区分の表示。構造用高力セットの識別とは区別 |
| 10.9 | 10.9 | 一般締結用強度区分。構造用高力セット適合とは別 |
| 12.9 | 12.9 | 超高強度。特殊用途向け |
図面への強度区分の指示方法
- パターン1:部品リスト(BOM)で指示
「M10×30 六角ボルト 強度区分10.9 三価クロメート」 - パターン2:注記で指示
「指示なきボルト・ナットの強度区分は 8.8/8 とする」 - パターン3:組立図の引き出し線で指示
個別のボルトに引き出し線で「M12×40 10.9」と記入
ナットとの組み合わせ(規格版・径・スタイル条件を確認)
| ボルト強度区分 | 元表/旧資料のナット区分:現行適合は条件照合 | 備考 |
|---|---|---|
| 4.6, 4.8, 5.6, 5.8 | 5 | 低強度ボルト用 |
| 6.8 | 6 | 中強度用 |
| 8.8 | 8 | 最も一般的な組み合わせ |
| 9.8 | 旧資料は9 | 2014年の協会資料による旧対応。2025年版には区分9がなく、現行規格の適合クラスを径・スタイル等から確認 |
| 10.9 | 10 | 径・スタイル等の条件を照合。構造用高力セットへの適合は別 |
| 12.9 | 12 | 径・スタイル/高さ、保証荷重等を採用規格で照合 |
重要:負荷能力が不足する組合せにはねじ山の破損リスクがありますが、数字の大小だけで必ず破断すると判断しません。JIS B1052-2:2025の公開適用範囲には区分04・05・5・6・8・10・12、並目M5~M39/細目M8×1~M39×3、並高さ・高・低ナットの3スタイルが示されています。旧2014年版は置換されており、区分9は現行版の一覧にありません。上表の旧対応を全径・薄形ナットへ一律に適用せず、製品規格、径/ピッチ、スタイル/高さ、負荷能力と表面処理の条件を確認して組み合わせます。
よくある間違いと対策
間違い1:強度区分を指定せずにボルトを注文
強度区分未指定だと4.6や4.8の低強度品が納品される可能性があります。
対策:図面・BOMに強度区分を必ず明記。
間違い2:12.9を「念のため」で選定
12.9は水素脆化リスクが高く、めっき処理との組み合わせで突然破断する危険性があります。
対策:必要な強度を計算で確認し、10.9で足りるならそちらを選択。
間違い3:ボルトとナットの強度区分不一致
10.9ボルトに8ナットを組み合わせる場合は、適合条件と負荷能力を確認する必要があります。能力不足ならねじ山の破損リスクがあり、径や高さ等を無視して必ず破断すると断定しません。
対策:ボルトとナットの強度区分を必ず対応させる。
ボルト強度区分と図面AI
- BOMからの強度区分自動抽出:図面の部品リストから強度区分を自動読み取り
- ボルト-ナット整合性チェック:強度区分の不一致をAIが自動検出
- 発注リストの自動生成:図面全体のボルト・ナットを集計し、強度区分別に発注リストを生成
renueでは、ボルト仕様を含む図面情報のAI読み取り・BOM自動生成ソリューションを提供しています。
まとめ
- 強度区分の数字は「呼び引張強さ(MPa)/100」.「呼び耐力/呼び引張強さ×10」
- 一般締結の候補は8.8、高強度候補は10.9、さらに高強度を要する候補は12.9。構造接合はセット等の指定仕様を照合
- 10.9も荷重・径・表面処理等で選定。全用途の最適値・デフォルトとはしない
- 12.9は水素脆化リスクが高い。めっき処理との組み合わせに注意
- ナットは径・スタイル等を含めて適合確認(元表の8.8→8、10.9→10も条件付き)
- 図面にはBOM・注記・引き出し線のいずれかで強度区分を明記

