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表面処理の図面指示 完全ガイド|めっき・アルマイト・塗装のJIS記号と膜厚指定・マスキング注記テンプレート【2026年版】

2026/4/10

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表面処理の図面指示 完全ガイド|めっき・アルマイト・塗装のJIS記号と膜厚指定・マスキング注記テンプレート【2026年版】

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株式会社renue

2026/4/10 公開

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表面処理とは?図面で指示する目的

表面処理とは、金属部品の表面に防錆・耐摩耗・装飾などの機能を付与する加工の総称です。めっき・アルマイト・塗装・化成処理などが代表的です。

図面で表面処理を正しく指示しないと、以下の問題が発生します。

  • 耐食性不足:適切な防錆処理がされず、短期間で錆びる
  • 寸法不良:めっき膜厚分の寸法変化を考慮せず、嵌合不良になる
  • 外観不良:色・光沢・均一性が要求と異なる仕上がりになる
  • コスト超過:過剰な仕様指定で不要なコストが発生する

表面処理のJIS記号表記法

JIS H 0404(めっき)やJIS H 8602(アルミニウム陽極酸化)などで、表面処理の記号表記が規定されています。

めっきのJIS記号構成(JIS H 0404)

めっきの記号は以下の順序で構成されます。

素地の種類 / めっきの種類 めっきの厚さ めっきタイプ / 後処理 : 使用環境

各要素の説明

要素記号例意味
素地の種類Fe(鉄鋼)、Cu(銅合金)、Al(アルミ)めっきを施す母材の種類
めっきの種類Ep-Zn(電気亜鉛)、Ep-Ni(電気ニッケル)めっき方法と金属種
めっきの厚さ8(8μm)、20(20μm)最小膜厚(μm単位)
めっきタイプb(光沢)、s(半光沢)外観仕上げ
後処理CM3(三価クロメート)めっき後の化成処理

JIS記号の表記例

JIS記号読み方
Fe/Ep-Zn 8/CM3鉄素地に電気亜鉛めっき8μm、三価クロメート処理
Fe/Ep-Ni 10b鉄素地に電気ニッケルめっき10μm、光沢仕上げ
Fe/Ep-Cu 10/Ep-Ni 15b/Ep-Cr 0.3鉄素地に銅下地10μm+ニッケル15μm+クロム0.3μm(装飾クロムめっき)

主要な表面処理の図面指示方法

1. 亜鉛めっき(ユニクロ・三価クロメート)

鉄鋼部品の最も一般的な防錆処理です。

処理名図面注記例特徴
三価クロメート(白)亜鉛めっき 三価クロメート 膜厚8μm以上RoHS対応。銀白色。現在の主流
三価クロメート(黒)亜鉛めっき 三価黒色クロメート 膜厚8μm以上RoHS対応。黒色
ユニクロ(六価)亜鉛めっき ユニクロメート虹色光沢。RoHS非対応で廃止傾向

注意:六価クロムを含むユニクロ・クロメートはRoHS指令で規制対象です。新規設計では三価クロメートを指定しましょう。

2. 無電解ニッケルめっき

図面注記例用途
無電解ニッケルめっき 膜厚10~15μm均一な膜厚が必要な精密部品
無電解ニッケルめっき 膜厚25μm以上 HV500以上耐摩耗性が必要な場合

3. 硬質クロムめっき

図面注記例用途
硬質クロムめっき 膜厚20~30μmシリンダーロッド、摺動面
硬質クロムめっき 膜厚50μm 研削仕上げ高耐摩耗が必要な軸

4. アルマイト(陽極酸化処理)

アルミニウム部品の代表的な表面処理です。JIS H 8602で規定されています。

種類図面注記例膜厚目安用途
普通アルマイト(白)アルマイト処理 膜厚10~15μm5~25μm一般防食・装飾
黒アルマイト黒色アルマイト処理 膜厚10~15μm10~20μm光学機器・電子機器カバー
硬質アルマイト硬質アルマイト処理 膜厚30~50μm25~100μm摺動面・耐摩耗面
カラーアルマイトアルマイト処理 赤色 膜厚10μm以上10~20μm意匠部品・識別用

アルマイトのJIS記号例

AA 10 S(A) = アルマイト処理、膜厚10μm、封孔処理あり、A級(一般屋内用)

5. 黒染め(四三酸化鉄被膜)

図面注記例特徴
黒染め処理膜厚1~2μm。寸法変化がほぼゼロ。安価な防錆処理

6. 塗装(焼付塗装・粉体塗装)

図面注記例特徴
焼付塗装 マンセルN1.5(黒) 膜厚30~50μm色はマンセル値またはRAL番号で指定
粉体塗装 RAL 7035(ライトグレー) 膜厚60~80μm厚膜で耐久性が高い。屋外機器に最適

7. リン酸塩被膜(パーカーライジング)

図面注記例特徴
リン酸マンガン被膜処理摺動面の初期馴染み改善。防錆油との相性良好
リン酸亜鉛被膜処理(塗装下地)塗装密着性の向上。自動車ボディ等

表面処理と寸法の関係

表面処理は部品の寸法を変化させます。この影響を図面で正しく管理することが重要です。

膜厚による寸法変化の目安

表面処理典型的な膜厚寸法変化(片側)寸法変化(直径)
亜鉛めっき8μm+8μm+16μm
無電解ニッケル15μm+15μm+30μm
硬質クロム30μm+30μm+60μm
普通アルマイト10μm約+5μm約+10μm
硬質アルマイト50μm約+25μm約+50μm
黒染め1μmほぼゼロほぼゼロ

※アルマイトは膜厚の約半分が素地に浸透するため、寸法増加は膜厚の約50%です。

図面での寸法基準の明記

嵌合部や精密寸法では、寸法が表面処理前なのか後なのかを必ず明記します。

  • 「図面寸法は表面処理後の仕上がり寸法を示す」 — 加工者が膜厚分を差し引いて加工
  • 「図面寸法は表面処理前の素地寸法を示す」 — 加工者は図面通りに加工し、膜厚分だけ大きくなる

表面処理の図面指示テンプレート

注記欄に記載する標準的な指示テンプレートです。

全面処理の場合

  • 表面処理:三価クロメートめっき(白) 膜厚8μm以上
  • 表面処理:黒色アルマイト処理 膜厚10~15μm
  • 表面処理:粉体塗装 RAL 7035 膜厚60~80μm

部分処理の場合

  • A面:硬質クロムめっき 膜厚20~30μm(研削仕上)
  • その他の面:無電解ニッケルめっき 膜厚10μm
  • マスキング指示:ねじ部(M6タップ穴×4か所)はめっき不要

処理除外(マスキング)の指示

ねじ穴・嵌合面・導通面など、表面処理を施すと機能に支障が出る箇所は除外指示が必要です。

  • 「ねじ穴内面はめっき不要」
  • 「アース接点面はアルマイト処理不要(導通確保のため)」
  • 「嵌合面φ50H7部はめっき後研削仕上」

表面処理指示のよくある間違いと対策

間違い1:RoHS非対応の六価クロムめっきを指定

ユニクロメートや有色クロメートは六価クロムを含み、RoHS指令の規制対象です。

対策:三価クロメートに切り替えましょう。性能面でも遜色ありません。

間違い2:膜厚指定なしのめっき指示

「亜鉛めっき」とだけ書くと、業者によって3μm~15μmまでばらつきが出ます。

対策:最低膜厚を必ず指定しましょう(例:膜厚8μm以上)。

間違い3:嵌合部の膜厚未考慮

H7/g6のはめあい面にめっきを施すと、膜厚分だけ寸法が変わり嵌合不良になります。

対策:嵌合面の寸法基準(処理前/処理後)を明記するか、めっき後研削を指示しましょう。

表面処理と図面AI

表面処理の指示は注記欄のテキスト情報として記載されるため、AI-OCRによる自動抽出の重要な対象です。

  • 処理名と膜厚の自動抽出:「三価クロメートめっき 膜厚8μm」からめっき種類・膜厚を構造化データに変換
  • コスト自動算出:表面処理の種類と部品サイズから処理コストを自動概算
  • RoHS適合チェック:六価クロム系の指示を自動検出しアラートを出す

renueでは、表面処理指示を含む図面注記のAI読み取り・構造化ソリューションを提供しています。お気軽にご相談ください。

まとめ

  • 表面処理の図面指示には処理名・膜厚・色・マスキング箇所を明記
  • めっきのJIS記号は素地/めっき種 膜厚 タイプ/後処理の順で構成
  • 三価クロメートが鉄鋼部品の標準防錆処理(RoHS対応)
  • アルマイトは普通/黒/硬質/カラーの4種。膜厚の約50%が素地に浸透
  • 嵌合面では寸法基準(処理前/処理後)を必ず明記。膜厚による寸法変化に注意
  • ねじ穴・導通面はマスキング(処理除外)を忘れずに指示

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