株式会社renue
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検図とは?なぜ必要なのか
検図(けんず)とは、作成した図面を出図・発注する前に、図面の内容に不備がないかを体系的にチェックする作業です。製造業・建設業において、検図の不備は加工ミス・組立不良・手戻りに直結し、コストと納期に大きな影響を与えます。
検図には2つの目的があります。
- 図面の書き方のチェック:JIS規格に準拠しているか、寸法・記号・注記に抜けや誤りがないか
- 設計内容のチェック:強度・機能・加工性・組立性・コストに問題がないか
検図の基本手順:5ステップ
ステップ1:紙に出力して全体を俯瞰する
CAD画面上だけのチェックでは見落としが発生しやすいため、必ず紙に印刷して検図します。赤ペンで指摘箇所をマークアップするのが効率的です。
ステップ2:表題欄・注記を確認する
- 図面番号・部品名・材質・表面処理・普通公差等級は正しいか
- 投影法(第三角法)の記号があるか
- 尺度は正しいか
- 改訂履歴は最新か
ステップ3:形状・寸法をチェックする
- 投影図の整合性(正面図・側面図・平面図の対応関係)
- 寸法の抜け・重複・矛盾がないか
- 公差の指示は適切か(加工方法で達成可能な範囲か)
- 基準面からの寸法配置が統一されているか
ステップ4:加工・組立の実現性をチェックする
- 指定した加工方法で製造可能な形状か
- 工具が届かない箇所はないか
- 組立順序に問題はないか(干渉・アクセス性)
- 相手部品との嵌合・すきま・位置関係は適切か
ステップ5:過去トラブルとの照合
- 類似部品での過去のクレーム・不良は対策済みか
- 設計変更の反映漏れはないか
- 購入品(ボルト・軸受等)の規格指定は正しいか
検図チェックリスト【コピペで使えるテンプレート】
以下は機械図面の検図で使えるチェックリストです。自社の運用に合わせてカスタマイズしてご使用ください。
カテゴリ1:図面の体裁
| No. | チェック項目 | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | 図面番号は正しいか(採番ルールに準拠) | □ |
| 2 | 部品名称は正しいか(組立図と一致) | □ |
| 3 | 材質の記載は正しいか(JIS材質記号) | □ |
| 4 | 表面処理の記載は正しいか(種類・膜厚) | □ |
| 5 | 普通公差等級の記載があるか(例:JIS B 0405-m) | □ |
| 6 | 投影法の記号があるか(第三角法) | □ |
| 7 | 尺度は正しいか(表記と実際の縮尺が一致) | □ |
| 8 | 改訂番号・改訂履歴は最新か | □ |
| 9 | 作成者・検図者・承認者の欄に記入があるか | □ |
| 10 | 用紙サイズに対して適切な配置か(余白・バランス) | □ |
カテゴリ2:寸法・公差
| No. | チェック項目 | 判定 |
|---|---|---|
| 11 | 寸法に抜けはないか(加工・検査に必要な全寸法) | □ |
| 12 | 寸法の重複・矛盾はないか | □ |
| 13 | 基準面からの寸法配置が統一されているか | □ |
| 14 | 公差値は加工方法で達成可能か | □ |
| 15 | はめあい公差の指示は正しいか(穴基準/軸基準) | □ |
| 16 | 幾何公差のデータム設定は適切か | □ |
| 17 | 表面粗さの指示は必要な面にされているか | □ |
| 18 | 面取り指示(C面/R面)に漏れはないか | □ |
| 19 | ねじ穴のサイズ・深さ・個数は正しいか | □ |
| 20 | 累積公差(公差チェーン)に問題はないか | □ |
カテゴリ3:加工・製造
| No. | チェック項目 | 判定 |
|---|---|---|
| 21 | 加工可能な形状か(工具到達性・加工限界) | □ |
| 22 | 板金部品:穴と曲げ線の距離は十分か(≧4t) | □ |
| 23 | 樹脂成形品:抜き勾配・ゲート・PLは考慮されているか | □ |
| 24 | 鋳造品:鋳肌R・肉厚の均一性は確保されているか | □ |
| 25 | 溶接指示は適切か(記号・脚長・開先) | □ |
| 26 | 熱処理指示は正しいか(焼入れ硬度・範囲) | □ |
| 27 | 表面処理と嵌合寸法の整合性(膜厚による寸法変化) | □ |
| 28 | 材料の入手性に問題はないか(特殊材・廃番材) | □ |
カテゴリ4:組立・機能
| No. | チェック項目 | 判定 |
|---|---|---|
| 29 | 相手部品との嵌合・干渉に問題はないか | □ |
| 30 | 組立順序に無理はないか(工具アクセス・順序依存) | □ |
| 31 | ボルト穴の位置・サイズは相手部品と整合しているか | □ |
| 32 | 可動部品の動作範囲に干渉はないか | □ |
| 33 | シール面・気密面の表面粗さ・幾何公差は十分か | □ |
| 34 | 購入品(軸受・Oリング等)の規格番号は正しいか | □ |
| 35 | 過去の類似部品でのクレーム・不良対策は反映されているか | □ |
検図の効率を上げる5つのコツ
コツ1:設計しながら検図する(段階的検図)
設計が100%完成してから検図するのではなく、構想段階・詳細設計段階・出図前の3回に分けてチェックします。後工程での手戻りが激減します。
コツ2:紙に出力して赤ペンチェック
CAD画面だけの検図は見落としの温床です。紙に印刷し、赤ペンで指摘を書き込むことで、チェック漏れと指摘の追跡性が向上します。
コツ3:加工品を頭の中で組み立てる
図面を見ながら「この部品を実際に加工したら」「この部品を組み立てたら」とシミュレーションすることで、図面だけでは気づきにくい問題を発見できます。
コツ4:第三者検図を必ず行う
自分で描いた図面は自分では間違いに気づきにくい(確証バイアス)。最低でも1人以上の別の技術者に検図を依頼しましょう。
コツ5:チェックリストを継続的に改善する
検図で見つからなかった不具合が発生したら、その項目をチェックリストに追加します。チェックリストは「組織の知恵」として成長させます。
検図でよくある見落としパターン
| パターン | 具体例 | 影響 |
|---|---|---|
| 表題欄の転記ミス | 別図面からコピーした図枠の材質が前の部品のまま | 誤材料で加工される |
| 熱処理指示の漏れ | 焼入れが必要な軸に熱処理指示がない | 硬度不足で摩耗・破損 |
| 表面処理と公差の矛盾 | H7嵌合面にめっきを指示し膜厚分を考慮していない | 嵌合不良・圧入不可 |
| ねじ穴の数量ミス | 4-M6のところを3-M6と記載 | 固定強度不足 |
| 正面図と側面図の不整合 | 穴の位置が正面図と側面図で矛盾 | 加工者が迷い、確認に時間がかかる |
自己検図と第三者検図の使い分け
| 項目 | 自己検図 | 第三者検図 |
|---|---|---|
| 実施者 | 図面作成者本人 | 別の設計者・上長・品質担当 |
| 目的 | 明らかな記載ミス・抜けの排除 | 設計判断の妥当性確認 |
| チェック内容 | カテゴリ1(体裁)・2(寸法)中心 | カテゴリ3(加工)・4(組立)中心 |
| 所要時間の目安 | 図面1枚あたり15~30分 | 図面1枚あたり30~60分 |
| 実施タイミング | 出図前に必ず実施 | 重要部品・新規設計で実施 |
検図とAI:自動チェックの最前線
検図は熟練者の知識と経験に依存する属人的な作業でしたが、AI技術の進化により自動化が進んでいます。
- 寸法の自動整合性チェック:正面図・側面図・平面図の寸法が矛盾していないかをAIが自動検証
- JIS規格適合の自動チェック:記号の使い方・公差の記入方法がJIS準拠かを自動判定
- 過去不良パターンとの照合:過去のクレーム・不良事例をAIが学習し、同様のリスクがある箇所を自動フラグ
- 3Dモデルとの整合性チェック:3D CADモデルと2D図面の寸法・形状の不一致を自動検出
renueでは、AI検図を含む図面品質管理ソリューションを提供しています。人手の検図とAIの自動チェックを組み合わせることで、検図の精度と効率を飛躍的に向上させます。お気軽にご相談ください。
まとめ
- 検図の目的は「図面の書き方」と「設計内容」の2つのチェック
- 検図の手順は紙出力→表題欄→寸法・公差→加工性→過去トラブルの5ステップ
- チェックリストは体裁・寸法・加工・組立の4カテゴリ35項目で網羅
- 自己検図(体裁・寸法チェック)と第三者検図(設計判断の妥当性)を使い分ける
- チェックリストは不具合発生のたびに改善し、組織の知恵として成長させる
