はじめに:年末調整は会社員の「税金精算」手続き
「年末調整の用紙をもらったけど書き方がわからない」「どの欄に何を書けばいいのか毎年迷う」「扶養控除や保険料控除の記入方法がわからない」——年末調整は毎年11月〜12月に行われる手続きですが、書類の記入に戸惑う方は少なくありません。
年末調整とは、毎月の給与から概算で天引きされている所得税の過不足を、年末に正確な税額で精算する手続きです。正しく申告すれば税金が還付される(戻ってくる)ケースが多く、適切に記入することが大切です。本記事では、令和8年(2026年)分の年末調整で提出する各書類の書き方を記入例付きで解説します。
第1章:年末調整で提出する書類一覧
必ず提出する書類
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(令和8年分):扶養家族の情報を申告
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年金等控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(令和7年分):基礎控除・配偶者控除等を申告
該当者のみ提出する書類
- 給与所得者の保険料控除申告書(令和7年分):生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金を申告
- 住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローン控除(2年目以降)を申告
第2章:扶養控除等申告書の書き方(令和8年分)
令和8年分の変更点
令和8年分から「控除対象扶養親族」の名称が「源泉控除対象親族」に変更されました。また、「特定親族特別控除」が新設され、19歳以上23歳未満の親族の年収が123万円を超え165万円以下の場合に適用されます。該当する場合はチェックボックスに記入してください。
記入項目
- あなたの氏名・住所:本人の基本情報を記入
- 源泉控除対象配偶者:配偶者の年収が150万円以下(所得95万円以下)で、本人の年収が1,095万円以下の場合に記入
- 源泉控除対象親族:16歳以上の扶養親族(年収123万円以下)を記入。氏名・生年月日・続柄・個人番号(マイナンバー)・所得の見積額を記載
- 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生:該当する場合にチェックを入れる
記入のポイント
「所得の見積額」は年収(額面の総支給額)ではなく「所得」を記入します。給与収入のみの場合、年収123万円以下なら所得は58万円以下になります。計算式:所得 = 年収 - 給与所得控除(最低65万円)。
第3章:基礎控除申告書の書き方(令和7年分)
基礎控除申告書
ほぼすべての会社員が記入します。本人の合計所得金額の見積額を記入し、該当する基礎控除額にチェックを入れます。
- 年収2,350万円以下(所得2,400万円以下)→ 基礎控除48万円
- 年収2,400万円超〜2,450万円以下 → 32万円
- 年収2,450万円超〜2,500万円以下 → 16万円
- 年収2,500万円超 → 0円(基礎控除なし)
多くの会社員は年収2,350万円以下のため、「48万円」の欄にチェックするだけで完了です。
配偶者控除等申告書
配偶者の年収が201万円以下(所得133万円以下)の場合に記入します。配偶者の所得に応じて控除額が段階的に変わります(最大38万円)。配偶者の年収が103万円以下なら「配偶者控除」、103万円超〜201万円以下なら「配偶者特別控除」が適用されます。
第4章:保険料控除申告書の書き方(令和7年分)
生命保険料控除
保険会社から届く「控除証明書」を見ながら記入します。3つの区分があります。
- 一般の生命保険料:死亡保険、養老保険等。最大控除額4万円(新契約)
- 介護医療保険料:医療保険、がん保険、介護保険等。最大控除額4万円
- 個人年金保険料:個人年金保険。最大控除額4万円
3区分合計で最大12万円の控除が受けられます。
記入手順
- 保険会社からの控除証明書の「申告額」を確認
- 該当する区分に保険会社名・保険の種類・保険期間・保険料を記入
- 計算式に従って控除額を算出して記入
地震保険料控除
地震保険料の控除証明書をもとに記入。最大控除額5万円。火災保険のみの場合は対象外です。
社会保険料控除
給与天引き以外で本人が支払った社会保険料(国民年金・国民健康保険等)を記入します。給与から天引きされている分は会社が計算するため記入不要です。
小規模企業共済等掛金控除
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金がある場合に記入。掛金の全額が所得控除されます。
第5章:よくある間違いと注意点
年収と所得の混同
最も多い間違いです。「年収」は総支給額、「所得」は年収から給与所得控除を引いた金額。扶養控除の判定は「所得」で行うため、年収をそのまま記入するとエラーになります。
控除証明書の添付忘れ
生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo掛金控除には、保険会社やiDeCo運営管理機関からの控除証明書(原本)の添付が必須です。電子的控除証明書(XMLファイル)での提出にも対応しています。
配偶者の年収の誤記入
配偶者の年収は12月分の給与を含めた年間合計で見積ります。パート・アルバイトの場合、12月のシフト次第で年収が変動するため、見積額を慎重に記入してください。
マイナンバーの記入
扶養控除等申告書にはマイナンバーの記入欄がありますが、会社がマイナンバーを別途管理している場合は「会社に届出済み」として省略できる場合があります。会社の指示に従ってください。
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よくある質問(FAQ)
Q1: 年末調整をすると税金は戻ってきますか?
多くの場合、生命保険料控除やiDeCo掛金控除を申告することで、払いすぎた所得税が還付されます。12月または1月の給与で「還付金」として上乗せされるのが一般的です。
Q2: 年末調整と確定申告の違いは?
年末調整は会社が従業員に代わって税金の精算を行う手続きです。確定申告は個人が自分で税務署に申告する手続きです。会社員は原則として年末調整で完了しますが、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)は確定申告が必要です。
Q3: 扶養に入れる年収の上限は?
令和8年分から、扶養親族の年収上限は123万円(所得58万円)以下です。ただし、19〜22歳の親族は年収165万円以下まで「特定親族特別控除」の対象になります。
Q4: 保険料控除の控除証明書をなくした場合は?
保険会社に連絡して再発行を依頼してください。再発行には1〜2週間かかる場合があるため、早めの手続きを推奨します。電子的控除証明書はマイナポータルから取得可能です。
Q5: パート・アルバイトでも年末調整は必要?
はい。「扶養控除等申告書」を勤務先に提出していれば、パート・アルバイトでも年末調整の対象です。提出していない場合は確定申告で精算します。
Q6: 年末調整の書類はいつまでに提出?
会社が定めた提出期限(通常11月中旬〜下旬)までに提出します。法定期限は翌年1月31日ですが、会社の事務処理の都合で早めの提出が求められるのが一般的です。
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