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ゼロトラストとは?セキュリティモデルの仕組みと導入事例を解説

公開日: 2026/4/3

ゼロトラストとは何も信頼しないことを前提にしたセキュリティモデル。仕組み・導入方法・事例をわかりやすく解説。

ゼロトラストとは?基本概念と「何も信頼しない」の意味

ゼロトラスト(Zero Trust)とは、「ネットワークの内外を問わず、いかなるユーザー・デバイス・アプリケーションも原則として信頼しない」という考え方に基づいたセキュリティモデルです。2010年にForester Researchのアナリスト、ジョン・キンダーバグが提唱し、NISTが2020年に発表した「SP 800-207」で標準化されました。

従来の「境界防御型(ペリメタモデル)」では社内ネットワーク内は信頼するという前提でしたが、クラウド化・リモートワーク・BYODの普及により境界が消失し、境界防御だけでは不十分になりました。ゼロトラストはこの変化に対応した次世代セキュリティアーキテクチャです。

従来型セキュリティ(境界防御)との違い

比較項目境界防御型ゼロトラスト
信頼の前提社内ネットワーク内は信頼場所を問わずすべて検証
主要な防御対象外部からの侵入内部脅威を含む全アクセス
リモートアクセスVPN経由で社内扱いアクセス毎に都度認証・認可
クラウド対応脆弱(境界が曖昧になる)クラウドネイティブに親和性が高い

ゼロトラストの7つの基本原則(NIST SP 800-207)

  1. すべてのデータソース・計算サービスをリソースと見なす
  2. ネットワークの場所に関わらず通信はすべて安全に保護する
  3. 個別のエンタープライズリソースへのアクセスはセッションごとに許可する
  4. リソースへのアクセスは動的ポリシーで決定する(クライアントID・アプリ・状態を考慮)
  5. すべての資産の完全性とセキュリティ状態を監視・測定する
  6. すべてのリソースの認証・認可を動的に実施し厳密に適用する
  7. 資産・ネットワーク・通信の状態に関する情報を収集し改善に活かす

ゼロトラストの主要構成要素

アイデンティティ管理(IAM・MFA)

すべてのアクセスを「誰が」という観点で検証します。多要素認証(MFA)・シングルサインオン(SSO)・特権アクセス管理(PAM)が中核技術です。

デバイス管理(EDR・MDM)

アクセスするデバイスの健全性・パッチ状態・セキュリティポリシー遵守状況をリアルタイムで確認します。

ネットワーク分割(マイクロセグメンテーション)

ネットワークを細かいセグメントに分割し、横断的な侵害(ラテラルムーブメント)を防ぎます。

アプリケーション・データアクセス制御

「最小権限の原則」に基づき、必要なユーザーに必要なリソースへのアクセスのみを最小限の期間だけ付与します。

継続的な可視化・分析・自動化

SIEMやUEBAで異常なアクセスパターンをリアルタイム検知し、自動で対応するセキュリティオーケストレーションが重要です。

企業導入事例

金融機関:多要素認証の全社展開

社内外のすべてのシステムアクセスにMFAを必須化し、VPN廃止とSASE(Secure Access Service Edge)への移行を実施した事例があります。

製造業:サプライチェーンのゼロトラスト化

工場のOTネットワークにもゼロトラスト原則を適用し、取引先・協力会社のアクセスを動的ポリシーで管理する取り組みが進んでいます。

パブリッククラウド移行に伴うゼロトラスト実装

AWSやAzureへのクラウド移行と同時に、ID連携・条件付きアクセス・マイクロセグメンテーションをセットで導入し、境界の消えた環境でのセキュリティを確保しています。

ゼロトラスト導入のステップ

  1. 現状把握:保護対象のリソース・ユーザー・データフローをマッピング
  2. 優先領域の特定:リスクと影響度からアイデンティティ管理を最初に強化
  3. 段階的実装:MFA導入→条件付きアクセス→マイクロセグメンテーションの順で展開
  4. 継続的監視の整備:SIEMとSOCでリアルタイム脅威検知体制を構築

FAQ

Q1. ゼロトラストを導入するとVPNは不要になりますか?

ゼロトラストの完全実装ではVPNを廃止するケースが多いですが、移行期は並存も一般的です。ZTNA(Zero Trust Network Access)がVPNの代替として採用されています。

Q2. ゼロトラスト導入のコストはどのくらいですか?

MFA・IDaaS・EDR等の製品コストと構築工数によって変動します。中小企業では年間数百万円、エンタープライズでは数千万円〜数億円規模の投資になるケースもあります。

Q3. ゼロトラストとSASEの関係は?

SASEはネットワークとセキュリティ機能をクラウドで統合して提供するアーキテクチャです。ゼロトラストはセキュリティ思想で、SASEはその実装形態の一つと理解できます。

Q4. 社員がゼロトラストで受ける影響はありますか?

MFAや条件付きアクセスにより認証ステップが増えますが、SSOの整備によって日常的な業務アクセスの煩雑さは最小化できます。

Q5. ゼロトラストに向いていない組織はありますか?

IT資産の全体把握ができていない組織では、まず資産管理・ネットワーク可視化から始める必要があります。ゼロトラストは「見えているものを守る」アーキテクチャのため、可視化が前提条件です。

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