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Vertex AI完全ガイド2026|Gemini 2.5 Pro/Agent Builder/Search・Bedrock/Azureとの使い分け

公開日: 2026/4/7

「Vertex AIとは何か」「Gemini APIとどう違うか」「Bedrock/OpenAI/Azure OpenAIとどう使い分けるか」「企業導入はどう始めるか」――この4つは、2026年現在Google Cloud上でAI導入を検討する企業のCTO/CIO/AI責任者が必ず通る論点です。Vertex AIはGoogle Cloudが提供する統合AI開発プラットフォームで、Gemini 2.5 ProなどのGoogle最強モデル、Anthropic Claude、Meta Llama、Mistral等のサードパーティモデル、独自MLパイプラインまでを1つのプラットフォーム上で扱えます。本記事では、Vertex AIの基本・主要機能・料金・他クラウドAIとの使い分け・5フェーズ導入ロードマップ・renueの実装現場視点を整理します。

Vertex AIとは――2026年版の定義

Vertex AIはGoogle Cloudの統合機械学習プラットフォームです。生成AI(Gemini系)から従来の機械学習(AutoML・カスタムモデル学習)、エージェント基盤(Vertex AI Agent Builder)、MLOps基盤(Pipelines・Model Registry・Endpoints)までを1つのプラットフォームで提供します。

2026年時点の主要特徴:

  • Gemini 2.5 Pro対応:100万トークン文脈、複雑な推論・エージェント型タスクに強い
  • マルチモーダル:テキスト・コード・画像・動画を1モデルで処理
  • マルチモデル対応:Gemini系に加えてClaude・Llama・Mistral等もVertex AI内で呼べる
  • データ主権:顧客データはGCPプロジェクト内に留まり、モデル学習に使われない
  • Agent Builder:エンタープライズ向け自律エージェント基盤
  • MLOps統合:学習→評価→デプロイ→監視を一気通貫

Vertex AIの主要機能

1. Vertex AI Studio

プロンプト設計・テスト・管理の統合UI。コードを書く前にGeminiの動作を確認できます。マルチモーダル入力(テキスト・画像・動画)にも対応。

2. Generative AI on Vertex AI

Gemini系の基盤モデル群を呼び出すサービス。Gemini 2.5 Pro/Flash/Nanoなどを用途別に選択できます。

3. Model Garden

Google・サードパーティの基盤モデルを発見・選択・デプロイできるカタログ。ClaudeやLlama等もここから利用可能。

4. Vertex AI Agent Builder

エンタープライズ向け自律エージェント開発プラットフォーム。社内データに基づいたエージェントを構築・スケール・統治できます。Bedrock Agentsに対応するGoogle側のソリューションです。

5. Vertex AI Search(旧Discovery Engine)

エンタープライズ検索・RAG基盤。社内ドキュメントから自動でセマンティック検索を構築できます。

6. AutoML

機械学習の専門知識がなくても、画像・テキスト・表データから自動でモデルを作成できる機能。

7. カスタム学習・MLOps

独自モデルの学習・パイプライン管理・モデルレジストリ・エンドポイント運用までフルスタックで対応。

8. Vector Search

大規模ベクトルDBサービス。RAG基盤の中核として利用できます。

Vertex AI vs Gemini API(直接利用)

Geminiを使う方法は2つあります。

項目Gemini API(AI Studio)Vertex AI
提供元Google AI for DevelopersGoogle Cloud
対象個人開発・プロトタイプエンタープライズ・本番運用
無料枠あり限定的
データ主権制限あり◎ GCPプロジェクト内
SLA・サポート限定◎ エンタープライズSLA
MLOps統合×
マルチモデルGeminiのみGemini+Claude+Llama等

個人・プロトタイプは Gemini API、企業本番利用は Vertex AI が現代の住み分けです。

Vertex AI vs Bedrock vs Azure OpenAI

項目Vertex AIAmazon BedrockAzure OpenAI
提供元GoogleAWSMicrosoft
主モデルGemini系Claude/Llama/NovaGPT-4/5系
マルチモデル
マルチモーダル
長文文脈◎ (100万トークン)○ (200K)○ (128K-1M)
適性GCP中心、Google Workspace連携AWS中心、マルチモデル運用Microsoft 365中心

「自社のクラウドエコシステムに合わせて選ぶ」のが基本。GCP中心の組織は Vertex AI が自然な選択です。

Vertex AIの料金体系

  • Generative AI:入力・出力トークン従量課金(モデルごとに単価が異なる)
  • カスタム学習:使用したコンピュート時間(GPU/TPU)に応じた課金
  • Vertex AI Search:クエリ数・インデックス容量に応じた課金
  • Agent Builder:エージェント実行回数等に応じた課金
  • 関連サービス:Cloud Storage / BigQuery / Cloud Run 等の通常料金

具体料金はGoogle Cloud公式料金ページで最新情報を確認。スモールスタートはオンデマンド従量課金、本番運用は予算アラート設定が必須です。

5フェーズ導入ロードマップ

STEP 1: GCPプロジェクト準備とAPI有効化(1〜2週間)

Google Cloudプロジェクトを作成し、Vertex AI APIを有効化、課金設定を行います。

STEP 2: Vertex AI Studioでプロトタイピング(2〜4週間)

Geminiの動作確認、プロンプト設計、業務との適合性を検証します。

STEP 3: Vertex AI Search/Agent Builderで業務統合(1〜2か月)

社内ドキュメントを取り込み、RAG基盤・エージェントを構築します。

STEP 4: ガードレール・監査ログ整備(1か月)

Safety Settings・監査ログ・データ主権設定を整備して本番化準備。

STEP 5: MLOps連携・本番運用(継続)

Pipelines・Model Registry・Endpointsで本番運用、コスト・レイテンシを最適化します。

Vertex AI導入で陥る5つの落とし穴

  1. Gemini API(個人版)と混同して始めてしまう:エンタープライズ要件を満たさない
  2. 料金試算を後回しにする:マルチモーダルや大量実行でコストが跳ねる
  3. Safety Settingsを未調整で本番化:社内データに対して不要な検閲が走る
  4. Vertex AI Searchのデータ整備を軽視:ゴミデータからは良いRAG出力は出ない
  5. GCP外のシステムとの接続を忘れる:自社業務システムとの統合設計が必要

renueから見たVertex AI実装現場

私たちrenueは、AIコンサル・図面AI・社内DXの実装現場で、Vertex AI・Bedrock・Azure OpenAI・OpenAI APIを業務に応じて使い分けてきました。実装現場の知見から見えるポイントは次の3点です。

  • Geminiの100万トークン文脈は長文業務で圧倒的:契約書一括レビュー・大量議事録要約などで他モデルを上回る
  • Vertex AI SearchはGCP上のRAGプロトタイプ最速:BigQuery・Cloud Storageと自然に連携できる
  • マルチクラウドAI時代は「ハブ&スポーク」発想が現実解:1つの内製ゲートウェイ経由で複数クラウドAIを呼び分ける構成が標準化しつつある

FAQ

Q1. Vertex AIとGemini APIどちらを使うべき?

個人開発・プロトタイプはGemini API、企業の本番運用はVertex AIが現代標準です。データ主権・SLA・MLOps統合が必要な場合は迷わずVertex AIです。

Q2. ClaudeはVertex AIで使えますか?

はい。Model GardenからAnthropic Claudeを選択できます。GCP中心の組織でClaudeを使いたい場合はVertex AI経由が現実的です。

Q3. データはGoogleの学習に使われますか?

使われません。Vertex AIではエンタープライズ顧客のデータはGCPプロジェクト内に留まり、Googleの基盤モデル学習に利用されません。

Q4. AutoMLは生成AIとどう違いますか?

AutoMLは「分類・予測・画像認識など特定タスクのモデルを自動学習」する機能で、生成AI(Gemini)とは異なる用途です。両方をVertex AI内で組み合わせて使うこともできます。

Q5. 100万トークンの文脈は本当に使えますか?

使えます。契約書数百ページ、議事録数十時間分、コードベース数十万行などを1リクエストで処理できる現実的な水準です。長文業務ではGemini系の優位性が大きいです。

Vertex AI×マルチクラウドAI実装の相談

renueは、Vertex AI・Bedrock・Azure OpenAI・OpenAI APIを業務に応じて使い分けてきた実装現場の知見を持っています。「自社業務にVertex AIをどう導入するか」「Bedrock/Azureとの使い分け」「Vertex AI Search×Agent Builderでの業務連携」「マルチクラウドAIゲートウェイ設計」など、Vertex AI導入の戦略から実装までご相談いただけます。30分でrenueが他社と何が違うかをご説明します。

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