はじめに:毎月の給与からいくら引かれている?
「給与明細の社会保険料が高いけど、どう計算されているの?」「健康保険と厚生年金の違いは?」「手取りを増やすにはどうすればいい?」——毎月の給与から天引きされる社会保険料は、会社員の手取り額を大きく左右する重要な項目です。
社会保険料は給与の約15%を占め、年収500万円の方なら年間約75万円が天引きされています。しかし、その計算方法や内訳を正しく理解している方は少ないのが実情です。本記事では、社会保険料の計算方法を2026年度の最新の保険料率で解説し、年収別のシミュレーションも紹介します。
第1章:社会保険料の5つの内訳
①健康保険料
病気やけがの医療費の自己負担を軽減するための保険。保険料率は都道府県・加入している健康保険組合によって異なります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、2026年度の全国平均は約10%(会社と折半のため本人負担は約5%)。
②介護保険料
40歳以上65歳未満の方が対象。介護が必要になった際のサービス費用に充てられます。2026年度の保険料率は1.60%(協会けんぽ)。会社と折半のため本人負担は0.80%。
③厚生年金保険料
老齢年金・障害年金・遺族年金の財源。保険料率は18.300%で固定(2017年9月以降変更なし)。会社と折半のため本人負担は9.150%。
④雇用保険料
失業時の失業給付や育児休業給付の財源。2026年度の労働者負担は一般の事業で0.55%。建設業は0.65%。
⑤労災保険料
業務中・通勤中のけがや病気に対する保険。保険料は全額会社負担のため、従業員の給与からは天引きされません。
第2章:標準報酬月額の仕組み
標準報酬月額とは
社会保険料の計算基準となる金額です。毎月変動する実際の給与額ではなく、一定の範囲(等級)に区分した金額を使って保険料を計算します。健康保険は1〜50等級(58,000円〜1,390,000円)、厚生年金は1〜32等級(88,000円〜650,000円)に区分されています。
決定のタイミング
- 定時決定:毎年4〜6月の給与の平均で算出し、9月から翌年8月まで適用(「算定基礎届」で届出)
- 随時改定:固定的賃金に大きな変動(2等級以上の差)があった場合に見直し
- 資格取得時決定:入社時に見込みの給与で決定
計算に含まれる手当
基本給に加え、残業手当、通勤手当、住宅手当、役職手当などの各種手当が含まれます。臨時的な賞与は含まれません(賞与は別途「標準賞与額」で計算)。
第3章:社会保険料の計算方法
計算式
各保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 × 本人負担割合
計算例(月給30万円・40歳以上・東京都・協会けんぽの場合)
標準報酬月額:300,000円(22等級)
- 健康保険料:300,000円 × 9.98% × 1/2 = 14,970円
- 介護保険料:300,000円 × 1.60% × 1/2 = 2,400円
- 厚生年金保険料:300,000円 × 18.300% × 1/2 = 27,450円
- 雇用保険料:300,000円 × 0.55% = 1,650円
- 合計(本人負担):46,470円/月
月給30万円の場合、約4.6万円が社会保険料として天引きされる計算です。
第4章:年収別の社会保険料シミュレーション
※40歳以上・東京都・協会けんぽ・独身の場合の概算
- 年収300万円(月給25万円):社会保険料 約46万円/年(月約3.8万円)
- 年収400万円(月給33万円):社会保険料 約60万円/年(月約5.0万円)
- 年収500万円(月給42万円):社会保険料 約75万円/年(月約6.3万円)
- 年収600万円(月給50万円):社会保険料 約89万円/年(月約7.4万円)
- 年収700万円(月給58万円):社会保険料 約104万円/年(月約8.7万円)
※賞与分を含む概算。実際の金額は健康保険組合、都道府県、年齢により異なります。
第5章:2026年度の変更点
子ども・子育て支援金の新設
2026年4月から「子ども・子育て支援金」が社会保険料に上乗せされます。健康保険料と一緒に徴収され、少子化対策の財源に充てられます。2026年度の支援金率は約0.1〜0.2%程度で、月給30万円の方の場合、月額数百円程度の負担増となる見込みです。
健康保険料率の改定
協会けんぽの保険料率は毎年3月に改定されます。2026年度の料率は都道府県ごとに異なるため、自分の勤務地の料率を確認してください。
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第6章:社会保険料を適正に管理するポイント
算定基礎届の正確な届出
4〜6月の給与が高いと標準報酬月額が上がり、1年間の保険料が増加します。この期間に特別な残業が集中しないよう業務を調整することも一つの方法です。
賞与の社会保険料
賞与にも社会保険料がかかります。計算方法は「標準賞与額(千円未満切り捨て)× 保険料率」です。厚生年金は月間150万円、健康保険は年間573万円が上限です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 社会保険料は給与の何%?
本人負担は概ね給与の約15%前後です。内訳は健康保険約5%+介護保険約0.8%(40歳以上)+厚生年金約9.15%+雇用保険約0.55%です。
Q2: 社会保険料は会社と折半?
健康保険・介護保険・厚生年金は会社と折半(50%ずつ負担)です。雇用保険は労働者0.55%・事業主0.95%(一般の事業)。労災保険は全額会社負担です。
Q3: パート・アルバイトも社会保険に加入する?
従業員51人以上の企業で、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金8.8万円以上、2か月を超える雇用見込みがある場合は加入対象です(2024年10月からの基準)。
Q4: 産休・育休中の社会保険料は?
産前産後休業期間および育児休業期間中は、申請により社会保険料(本人負担・会社負担ともに)が免除されます。免除期間中も保険給付は通常通り受けられます。
Q5: 社会保険料を節約する方法はある?
合法的な方法としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用が挙げられます。iDeCoの掛金は社会保険料の計算対象外であり、かつ所得控除も受けられるため節税効果があります。
Q6: 退職後の社会保険はどうなる?
退職後は任意継続(最大2年間、それまでの健康保険に継続加入)、国民健康保険への加入、家族の扶養に入る、のいずれかを選択します。厚生年金から国民年金への切り替えも必要です。
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