はじめに:領収書の正しい書き方はビジネスの基本
「領収書に何を書けばいいの?」「インボイス制度に対応した領収書の書き方は?」「個人事業主でも領収書を発行できる?」——領収書は代金の受け渡しを証明する重要な書類ですが、正しい書き方を知らないと税務上のトラブルにつながることがあります。
2026年現在、インボイス制度への対応が求められる場面も増えており、従来の領収書に加えて記載すべき項目が追加されています。本記事では、領収書の基本的な書き方から、インボイス制度対応の記載方法、個人事業主向けの注意点まで解説します。
第1章:領収書に記載すべき7つの項目
①日付
代金を受領した日付を記載します。実際にお金を受け取った日であり、請求書の発行日や商品の納品日とは異なる場合があります。和暦・西暦のどちらでも構いませんが、1枚の中で統一してください。
②宛名
代金を支払った相手(受領者)の正式な名称を記載します。法人の場合は「株式会社○○」と正式名称で記入。「上様」は税務上のリスクがあるため、できるだけ正確な名称を記載してください。
③金額
受領した金額を記載します。改ざん防止のため、以下のいずれかの形式で記入するのが一般的です。
- ¥100,000−
- 金100,000円也
- ¥100,000※
金額の前に「¥」または「金」、末尾に「−」「也」「※」を付けることで、数字の追記による改ざんを防ぎます。3桁ごとにカンマ(,)を入れるのも基本です。
④但し書き
何の代金として受領したかを具体的に記載します。「コンサルティング費用として」「Web制作費用として」「文房具代として」など。「お品代」は税務調査で経費の内容が不明確と指摘される可能性があるため、具体的に記載するのがベストです。
⑤発行者の情報
領収書を発行する側(代金を受け取った側)の氏名または名称、住所を記載します。法人の場合は社名・住所・電話番号。個人事業主の場合は屋号と氏名(または氏名のみ)。
⑥収入印紙
受領金額が5万円以上の領収書には収入印紙の貼付が必要です(印紙税法)。金額に応じた印紙税額は以下の通りです。
- 5万円以上100万円以下:200円
- 100万円超200万円以下:400円
- 200万円超300万円以下:600円
- 300万円超500万円以下:1,000円
電子的に発行された領収書(PDF等)には印紙税がかかりません。
⑦通し番号(任意だが推奨)
領収書の管理のため、連番を付けておくと便利です。税務調査時の照合や、発行した領収書の追跡に役立ちます。
第2章:インボイス制度対応の領収書
適格請求書(インボイス)としての領収書
適格請求書発行事業者が発行する領収書は、上記7項目に加えて以下の記載が必要です。
- 登録番号:T+13桁の数字
- 適用税率:8%または10%の区分
- 税率ごとの消費税額
適格簡易請求書(簡易インボイス)
小売業・飲食業・タクシー等の不特定多数との取引では、宛名の省略が認められた「適格簡易請求書」として発行できます。コンビニのレシートやタクシーの領収書がこれに該当します。
免税事業者の場合
インボイス制度に未登録の免税事業者(年間売上1,000万円以下)でも、領収書の発行自体は可能です。ただし「適格請求書」としての効力はないため、受領者は仕入税額控除を受けられません。
第3章:個人事業主の領収書発行ルール
発行の義務
民法486条により、弁済(代金の支払い)を受けた者は、弁済をした者の請求に応じて受取証書(領収書)を交付する義務があります。個人事業主であっても、相手から求められた場合は領収書を発行する必要があります。
発行者の記載
屋号がある場合は「屋号+氏名」、屋号がない場合は「氏名」のみで構いません。住所は事業所の住所(自宅で事業を営んでいる場合は自宅住所)を記載します。
消費税の記載
課税事業者の場合は税込金額と消費税額を区分記載。免税事業者の場合は消費税の区分記載は不要ですが、「消費税を含む」旨を記載するのが丁寧です。
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第4章:領収書の形式
手書き領収書
市販の領収書用紙(複写式)に手書きで記入。控え(カーボンコピー)が残るため管理がしやすいです。小規模な店舗や対面取引で一般的に使われます。
Excel・Word作成
PC作成の場合はExcelまたはWordのテンプレートを使用。印刷して手渡し、またはPDFで送信。テンプレートは各種Webサイトで無料ダウンロード可能です。
電子領収書(PDF)
PDFで作成・送信する電子領収書は、印紙税が不要というメリットがあります。電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ等)を満たす形で保存する必要があります。
第5章:領収書の保存期間と注意点
保存期間
- 法人:原則7年間(欠損金の繰越控除を適用する場合は10年間)
- 個人事業主(青色申告):7年間
- 個人事業主(白色申告):5年間
電子帳簿保存法への対応
2024年1月以降、電子取引(メール・Webでの受領)で受け取った領収書は電子データのままの保存が義務化されました。紙で出力して保存する方法は原則認められません。
よくある質問(FAQ)
Q1: 領収書の宛名に「上様」は使える?
法律上は無効ではありませんが、税務調査で経費性を否認されるリスクがあります。できるだけ正式な名称を記載してください。
Q2: 5万円未満なら収入印紙は不要?
はい。受領金額が5万円未満の領収書には収入印紙は不要です。また、電子発行(PDF等)の領収書は金額にかかわらず印紙税がかかりません。
Q3: 領収書とレシートの違いは?
法律上、レシートも領収書と同等の証拠力があります。税務上の経費処理においてもレシートは有効です。ただし、宛名が記載されないレシートは高額な経費処理では税務署から指摘される可能性があります。
Q4: クレジットカード払いでも領収書は発行される?
クレジットカード払いの場合、「クレジットカード利用」と但し書きに明記した上で領収書を発行できます。ただし、収入印紙は不要です(信用取引のため)。
Q5: 領収書の再発行はできる?
再発行は可能ですが、「再発行」と明記する必要があります。二重計上防止のため、再発行には慎重な対応が求められます。
Q6: 個人間の取引でも領収書は必要?
個人間の取引でも、後日のトラブル防止のために領収書の授受は推奨されます。フリマアプリ等のオンライン取引では、取引履歴が領収書の代わりになります。
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