renue

ARTICLE

みなし残業とは|固定残業代の意味・計算方法・違法になるケースを解説

公開日: 2026/4/4

はじめに:みなし残業は「あらかじめ残業代を含む」給与体系

「みなし残業って何?」「残業しなくても払われる?」「超えた分はどうなる?」——みなし残業(固定残業代制)は、毎月の給与にあらかじめ一定時間分の残業代を含めて支給する制度です。

求人票でよく見る「月給30万円(固定残業代40時間分含む)」がこれにあたります。正しく運用されれば合法ですが、運用を誤ると違法になるケースもあります。本記事では、みなし残業の仕組みから計算方法、メリット・デメリット、違法になるケースまで解説します。

第1章:みなし残業の基本

みなし残業(固定残業代)とは

みなし残業は、実際の残業時間にかかわらず、毎月一定額の残業代を固定で支給する制度です。「固定残業代制」「定額残業代制」とも呼ばれます。

:「月給30万円(うち固定残業代5万円・月30時間分相当を含む)」の場合、基本給25万円+固定残業代5万円=月給30万円。残業が30時間以下でも5万円の固定残業代が支給されます。

みなし残業の法的根拠

みなし残業に直接言及した法律はありませんが、裁判例の蓄積により「有効と認められる条件」が確立されています。労働基準法に違反しない範囲で、企業の裁量により導入可能です。

第2章:みなし残業が有効と認められる3つの条件

①基本給と固定残業代が明確に区分されている

「月給30万円(固定残業代含む)」だけではNG。「基本給25万円+固定残業代5万円(30時間分)」のように、基本給と固定残業代の金額・時間数を明確に分けて示す必要があります。

②固定残業代に相当する時間数が明示されている

「何時間分の残業代が含まれているか」を明示する必要があります。「30時間分」「40時間分」など、具体的な時間数の記載が必須です。

③超過分の残業代が別途支払われる

固定残業代に含まれる時間を超えて残業した場合、超過分の残業代を別途支払う義務があります。「固定残業代を払っているから追加の残業代は出ない」は違法です。

第3章:みなし残業の計算方法

固定残業代の計算式

固定残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率(1.25) × 固定残業時間

:基本給25万円、月平均所定労働時間160時間、固定残業30時間の場合。1時間あたり基礎賃金 = 250,000 ÷ 160 = 1,562.5円。固定残業代 = 1,562.5 × 1.25 × 30 = 58,594円

超過分の計算

固定残業30時間で、実際に40時間残業した場合:超過10時間分 = 1,562.5 × 1.25 × 10 = 19,531円を別途支給する必要があります。

第4章:みなし残業のメリット・デメリット

企業のメリット

  • 人件費の予測が容易:毎月の残業代が固定のため、人件費の変動が小さくなる
  • 求人の見栄え:固定残業代を含めた総額が高く見えるため、求人での訴求力が上がる
  • 事務効率化:毎月の残業時間計算の手間がある程度軽減される(ただし超過分の計算は必要)

従業員のメリット

  • 残業が少なくても固定額が保証:実際の残業が固定時間以下でも、固定残業代は全額支給
  • 効率的に働くインセンティブ:残業時間を減らしても収入が変わらないため、効率的に仕事を終わらせる動機になる

デメリット・リスク

  • 「残業が当たり前」の文化を助長:「固定残業代を払っているのだから、その分は残業するべき」というプレッシャー
  • 実質的な基本給の低さ:「月給30万円(固定残業代5万円含む)」は実質基本給25万円。他社の「月給28万円(固定残業代なし)」の方が基本給は高い
  • 超過分の未払いリスク:固定残業時間を超えた分の残業代を支払わない企業がある(違法)

第5章:みなし残業が違法になるケース

  • 基本給と固定残業代が区分されていない:「月給30万円(残業代込み)」だけの表記はNG
  • 固定残業時間を超えた分の残業代が支払われない:これは明確な労基法違反
  • 固定残業時間が過大:月80時間の固定残業は「過労死ライン」を超えており、公序良俗に反するとして無効になる可能性
  • 最低賃金を下回る:固定残業代を除いた基本給が最低賃金を下回る場合は違法

renueでは、AIを活用した勤怠管理・残業代計算の自動化を支援しています。固定残業代の適正管理、超過残業のアラート機能を含む労務DXを伴走サポートします。

第6章:求人票でのみなし残業の見方

チェックポイント

  • 基本給と固定残業代の金額が明記されているか
  • 固定残業の時間数が明記されているか
  • 「超過分は別途支給」の記載があるか
  • 固定残業を除いた基本給が最低賃金以上か
  • 固定残業時間が月45時間以内か(36協定の上限目安)

よくある質問(FAQ)

Q1: みなし残業=ブラック企業?

制度自体はブラックではありません。適正に運用されていれば合法です。問題なのは「超過分を払わない」「基本給が極端に低い」「固定残業時間が過大」なケースです。

Q2: 残業しなくても固定残業代はもらえる?

はい。実際の残業がゼロでも、固定残業代は全額支給されます。

Q3: 固定残業時間を超えたら残業代は出る?

はい。超過分は別途支払われなければ違法です。もし支払われていない場合は労基署に相談してください。

Q4: みなし残業と裁量労働制の違いは?

みなし残業は「固定残業代」の仕組み。裁量労働制は「実際の労働時間にかかわらず一定時間働いたとみなす」制度。対象職種や適用条件が異なります。

Q5: みなし残業の相場は何時間?

20〜45時間が一般的。45時間を超える設定は36協定の上限に近づくため、企業としてリスクが高くなります。

Q6: みなし残業制度をやめることはできる?

従業員の同意を得た上で、就業規則の変更手続きを行えば廃止可能です。ただし、固定残業代の廃止は実質的な賃金引き下げになるため、慎重な対応が必要です。

勤怠管理・残業代計算のAI自動化を支援します

renueでは、固定残業代の適正管理、超過残業アラート、勤怠管理DXを成果報酬型で支援しています。

無料相談はこちら →