EBITとEBITDAとは?
EBIT(Earnings Before Interest and Taxes)は「利払い前・税引き前利益」、EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization)は「利払い前・税引き前・減価償却前利益」です。いずれも企業の本業の収益力を測る財務指標ですが、減価償却費を含めるかどうかが最大の違いです。
2026年現在、M&Aの企業価値評価(バリュエーション)、国際的な企業比較、投資判断など幅広い財務分析の場面でEBIT・EBITDAが活用されています(マネーフォワード)。
EBITとEBITDAの違い
| 項目 | EBIT | EBITDA |
|---|---|---|
| 正式名称 | Earnings Before Interest and Taxes | Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization |
| 日本語 | 利払い前・税引き前利益 | 利払い前・税引き前・減価償却前利益 |
| 減価償却費 | 含まない(控除済み) | 含む(加算して算出) |
| 読み方 | イービット | イービットディーエー / イービッダー |
| 主な用途 | スタートアップの収益力評価、借入の多い企業の分析 | 国際比較、M&Aの企業価値評価、設備投資の影響を除いた収益力分析 |
計算方法
EBITの計算式
EBIT = 税引前当期純利益 + 支払利息
または
EBIT = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 + 支払利息
簡易的には「EBIT ≒ 営業利益」として使われることもあります。
EBITDAの計算式
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費
これが最も広く使われる計算式です。他にも以下の計算方法があります。
- EBITDA = 経常利益 + 支払利息 + 減価償却費
- EBITDA = 税引前当期純利益 + 支払利息 + 減価償却費
- EBITDA = 当期純利益 + 法人税等 + 支払利息 + 減価償却費
計算例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 営業利益 | 1,000万円 |
| 減価償却費 | 500万円 |
| 支払利息 | 100万円 |
| EBIT | 1,000万円(≒営業利益) |
| EBITDA | 1,500万円(営業利益+減価償却費) |
使い分けのポイント
EBITが適している場面
- スタートアップ・ベンチャーの評価:借入が多い企業の本業の収益力を測る
- 資産の少ない企業の分析:ソフトウェア企業やサービス業など、減価償却費が少ない業種
- 税制・資本構成の影響を除外した比較
EBITDAが適している場面
- M&Aの企業価値評価:EV/EBITDA倍率(企業価値÷EBITDA)が最も一般的な指標
- 国際比較:税制・会計基準・減価償却方法の違いを排除して比較可能
- 設備投資が大きい業種:製造業、不動産業、通信業など減価償却費の影響が大きい業種の収益力評価
- キャッシュフローの簡易的な把握:EBITDAは営業キャッシュフローの近似値として活用される
(松井証券)
EBITDAに関連する指標
| 指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| EV/EBITDA倍率 | 企業価値(EV)÷ EBITDA | 投資回収にかかる年数の目安。M&Aで最も使われる指標 |
| EBITDAマージン | EBITDA ÷ 売上高 × 100 | 売上に対するEBITDAの割合。収益性の指標 |
| Net Debt/EBITDA | 純有利子負債 ÷ EBITDA | 負債返済能力の指標。低いほど健全 |
注意点
1. 設備投資の実態を見逃しやすい
EBITDAは減価償却費を加算するため、実際の設備投資の負担が隠れるリスクがあります。設備投資が多い企業では、EBITDAだけでなくフリーキャッシュフローも併せて確認しましょう。
2. 統一された計算式がない
EBITDAには複数の計算方法があり、企業によって定義が異なる場合があります。比較する際は同じ計算式で算出されているかを確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. EBITDAと営業利益の違いは?
営業利益は減価償却費を控除した後の利益、EBITDAは減価償却費を加算した利益です。設備投資の多い企業では両者に大きな差が出ます。EBITDAはキャッシュベースの収益力を反映します(EXPACT)。
Q. EBITDAが赤字でも問題ないですか?
EBITDAが赤字の場合、本業で十分なキャッシュを生み出せていないことを意味し、深刻な経営状態を示唆します。投資判断やM&Aにおいてはネガティブな評価となります(M&Aキャピタルパートナーズ)。
まとめ
EBITとEBITDAは、いずれも企業の本業の収益力を測る指標ですが、減価償却費を含めるかどうかが最大の違いです。EBITはスタートアップの評価に、EBITDAはM&Aの企業価値評価や国際比較に適しています。用途に応じて使い分け、設備投資の実態やフリーキャッシュフローも併せて分析しましょう。
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