renue

ARTICLE

デバッグの基本:バグの見つけ方と直し方を徹底解説

公開日: 2026/2/18

バグとは何か、デバッグの正しいプロセス、エラーコードの読み方、効率的なバグ報告のコツまで。非エンジニアにも分かるデバッグの基礎知識を体系的に解説します。

デバッグの基本:バグの見つけ方と直し方を徹底解説

ソフトウェア開発において、バグは避けて通れない存在です。しかし、バグの正体を正しく理解し、デバッグの基本プロセスを身につけることで、問題解決の精度とスピードは大きく向上します。

本記事では、エンジニアだけでなくプロジェクトに関わるすべての人が知っておくべきデバッグの基礎知識を、体系的に解説します。

バグとは何か

「バグ」とは、機能要件のうち、発注者が「作りたいもの」が「仕様書」として文書化されており、実装も認識齟齬なくされているにもかかわらず、想定通りの入出力を行わないものを指します。

ソフトウェアの要件は大きく「機能要件」と「非機能要件」に分かれます。機能要件は「何を入出力するか」という具体的な振る舞い。非機能要件は以下のような、機能以外の品質に関する要件です。

  • 性能(速度・容量)
  • セキュリティ
  • 運用・保守性
  • 可用性
  • 移行の容易さ

実際のプロジェクトでは、「作りたいもの」と「仕様書」の間に仕様漏れが生じたり、「仕様書」と「実装したもの」の間に実装漏れが生じたりします。さらに、リリース後にクライアントから追加要望が出ることもあります。これらすべてが混在する中で、純粋な「バグ」とは仕様通りに作ったはずなのに正しく動かない部分を指すのです。

デバッグとは

デバッグとは、バグの原因を特定し、修正する一連のプロセスです。単にエラーを見つけるだけでなく、根本原因を解決することが重要です。

単にエラーが消えれば良いのではなく、当初の設計や顧客要望に対して正しい実装になっているのかを影響範囲全体まで見て修正します。

デバッグのサイクル図

デバッグの基本サイクルは以下の通りです。

ステップ内容
S. 不具合の検知バグの存在に気づく
1. 影響範囲の切り取りどこまで影響しているかを把握する
2. あるべき姿の定義正しい動作を明確にする
3. 外れた値の検出具体的にどこがズレているか特定する
4. 外れる原因の仮定なぜズレが生じているか仮説を立てる
5. 原因の操作仮説に基づいて修正を試みる
6. 変化の観測修正後の挙動を確認する
G. 修正完了正しい動作が確認できたら完了

このプロセスで大切な3つの原則があります。

1. 仮説ドリブン

得られた情報を元にして、原因となる箇所を仮定して少しずつ操作します。闇雲に修正するのではなく、「ここが原因ではないか」という仮説を立てて検証するアプローチが効率的です。

2. 決めつけず事実を大事に

仮説が外れることもあるので、「どこにバグ」ではなく、「どんなエラー文」など表示されている事実を何よりも重視します。思い込みは最大の敵です。

3. 徐々に絞り込む

「少なくともここは影響を受けない」など、検証範囲を少しずつ減らすことで調査スコープを削っていくアプローチが大切です。

エラーとは

エラーとは、システムが期待された動作をしない状態です。しかし、エラーは単なる問題ではなく、システムからの重要な情報源でもあります。エラーがあることで、バグの原因を知ることができます。

エラーにはさまざまなパターンがあります。

パターン具体例エラーメッセージ例
構文・形式エラーJSON形式ミス、必須項目未入力、文字数制限超過400 Bad Request、Validation Error
認証・認可エラーログイン失敗、権限不足、セッション切れ401 Unauthorized、403 Forbidden
リソース・データエラー存在しないページ、削除済みデータへのアクセス404 Not Found、410 Gone
システム・インフラエラーサーバー停止、メモリ不足、CPU過負荷500 Internal Server Error、503 Service Unavailable
ネットワーク・通信エラーAPI接続失敗、タイムアウト、DNS解決失敗502 Bad Gateway、Connection Timeout
データベース・ストレージエラーDB接続エラー、容量不足、制約違反Database Connection Failed、Disk Full
数値・データの不一致[売上-費用]と[利益]の値が一致しないバグだがエラーは出ない
表示・UIくずれスマホ表示で崩れる、文字化けバグだがエラーは出ない
期待を下回る推論生成AIが欲しい回答をくれないバグだがエラーは出ない

下の3行のように、エラーメッセージは出ないがバグであるケースもあります。バグの発見にはエラー以外のチェックも必要です。

エラーコードの読み方

HTTP通信では標準のステータスコードが返されます。これらを把握することで「どこでエラーが起きているか」を素早く検知できます。

コード範囲意味代表例対処法
2xx成功200: 成功通信は成功。想定外の挙動がある場合は別の箇所を調査
3xxリダイレクト301: URL引越済のため転送
302: 一時退避先に転送
3xx自体は問題ではないが、想定外の場合は転送先サーバーのログを確認
4xxクライアントエラー400: 入力が不正
401: 認証されていない
403: 権限がない
404: URLが存在しない
HTTP通信の失敗が原因。エラーコードに応じた修正を行い通信を成功させる
5xxサーバーエラー500: サーバー側で処理失敗
502: 中継先から不正レスポンス
503: サーバーがダウン
通信自体は到達している。送信先のバックエンドサーバーやDBのログを確認

エラーが発生する箇所を理解する

Webアプリケーションでは、エラーはさまざまな箇所で発生します。どこで問題が起きているかを把握することが、デバッグの第一歩です。

エラー発生箇所の図解
パターン状況ステータス症状・見分け方
フロントで失敗ブラウザ側(JS等)でエラー。バックエンドにリクエストが送られないerror画面が真っ白になる、ボタンが反応しない
バックエンドに届かないリクエストを送信したが到達前に拒否される4XXURLの間違い(404)、認証エラー(401/403)
バックエンドの先に届かないバックエンドには届いたが、DBや外部APIへの接続が失敗5XXバックエンド側ログにDB接続エラー等が出ている
バックエンドが死んでいるバックエンドサーバー自体がダウン5XXすべてのリクエストが5xxエラーになる
戻ってきた値の処理に失敗通信は成功だがフロント側で返却値の処理に失敗2XXステータスは正常だがブラウザコンソールにエラーが出る

バグ修正作業の本質

バグの修正とは9割が「特定」作業です。どんな場合に発生するのかを絞り込んで、変数定義や特定の処理、環境変数、文字コードなど、あらゆる原因のうち本当に影響するものを特定します。

バグの原因は無数に存在します。大きく分類すると以下の3領域です。

領域原因の例
コードタイポ、型定義、タイムアウト、並行処理、再試行、引数、文字コード、依存性、相対参照、拡張子
インフラ・基盤環境変数、接続設定、デプロイ設定、ランタイム、ロードバランサ、課金設定、DBスキーマ、インデックス、キャッシュ、キャパシティ
外部・ネットワークCORS、WebSocket、レート制限、HTTPメソッド、HTTPヘッダ、URL登録、キー管理、証明書、クッキー、トークン管理

このように可能性は膨大ですが、バグの再現条件を絞り込むことで原因の特定が加速します。

再現条件絞り込みのヒント
ローカルでも再現するインフラやネットワークに依存していない → コードに原因がある可能性が高い
特定の入力でのみ発生入力内容によっては問題ない → その入力に関連する変数や関数に絞って調査
同一セッション内で複数回発生セッション状態やキャッシュの問題 → 状態管理まわりを調査
本番のみで発生ローカルで再現しない → インフラ・環境変数・ネットワークの差異を調査

何があればバグを修正できるのか

バグの修正を依頼する際に最も重要なのは、なるべく具体的に状況を説明し、画面やログに表示されているエラーコードをそのまま共有することです。非エンジニアが勝手な類推をせず、ありのままの事実を伝えることが重要です。

バグ報告に含めるべき要素は以下の通りです。

要素
端末/OS私物のiPhone14の最新iOS
ブラウザSafari
時刻本日 15:00
環境/ブランチLocal / mainブランチ
画面/settings/profile
入力値・操作内容漢字氏名を入力して「確定」ボタン押下
再現性たまに再現。ひらがなでは発生なし
エラー内容画面がホワイトアウト。コンソールにエラー文無し

エラー情報の取得先としては、ブラウザの開発者ツール(コンソールタブ)やターミナルのログ出力があります。画面のスクリーンショットだけでなく、エラーメッセージのテキストもコピーして共有すると、エンジニアの調査が格段にスムーズになります。

対照実験を意識する

バグの原因を見つけるためには、事実の積み重ねこそが重要です。原因を絞り込むために、変数を少しずつ変えて同一のバグが再現するか・エラーメッセージが変化するか等を調べる意識が大切です。

たとえば、名前入力でエラーが出る場合を考えてみましょう。

条件テストA(正常)テストB(異常)
端末/OSiPhone14 最新iOSiPhone14 最新iOS
ブラウザSafariSafari
環境Local / mainLocal / main
画面/settings/profile/settings/profile
入力値斉藤」と入力して確定齋藤」と入力して確定
結果問題なく表示画面がホワイトアウト

この対照実験から、「常用でない漢字が含まれた際にエラーが出ているのでは?」という仮説が導き出せます。変えたのは入力する漢字だけ。他の条件がすべて同じだからこそ、原因を絞り込めるのです。

ログの取得方法

ログは各所から出ているので、適切に参照してバグの原因に到達します。適切なエラーが出ない場合には、コンソール出力などを追加する事で検証も行います。

場所確認先確認できること
ブラウザ開発者ツール / コンソールJavaScriptのエラーやネットワーク通信の状況
画面出力UIに表示されるエラーメッセージ
ローカルターミナルサーバーログやコマンドの出力
Dockerコンテナ内のログ(docker logsコマンド)
サーバーログ機能アプリケーションが出力するログファイル
VMのCUIサーバーに直接SSHして確認
デプロイログCI/CDパイプラインの実行ログ
コンテナログKubernetes等のコンテナオーケストレーションのログ

まとめ

デバッグは特別なスキルではなく、正しいプロセスと心構えで誰でも精度を上げられる作業です。

#ポイント内容
1バグの定義を正しく理解する仕様通りに動かない部分がバグ
2仮説ドリブンで絞り込む闇雲に探さず、仮説→検証のサイクルを回す
3事実を大事にする思い込みではなくエラーメッセージという事実に向き合う
4対照実験で原因を特定する変数を1つずつ変えて比較する
5正確な情報を共有する端末、ブラウザ、手順、エラー文を漏れなく伝える

エンジニアも非エンジニアも、この基本を押さえることでプロジェクト全体の問題解決力が向上します。バグに遭遇したときは、ぜひこのガイドを参考にしてみてください。