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売上原価に含まれる減価償却費とは?計上基準・仕訳・製造原価との関係をわかりやすく解説

2026/9/16 (更新: 2026/10/1)

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売上原価に含む減価償却費の計上基準・仕訳・製造原価との関係を解説。製造業の実務論点を整理【2026年版】

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売上原価に含まれる減価償却費とは?計上基準・仕訳・製造原価との関係をわかりやすく解説

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2026/9/16 公開2026/10/1 更新

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売上原価に含まれる減価償却費とは?

減価償却費は、損益計算書上で「売上原価」と「販管費」のどちらにも計上される可能性がある費目です。その区分は、対象資産の用途が製造・サービス提供か、販売・一般管理かで決まります。

製造用の資産(工場建物、製造機械、金型など)の減価償却費は製造原価に含め、製品に合理的に配賦します。製造間接費となる工場の共通設備も対象です。未完成・未販売の製品に対応する額は仕掛品・製品として残り、販売した製品に対応する額が売上原価になります。販売・管理用の資産(本社ビル、営業車両、事務用PCなど)の減価償却費は販管費として処理します(原価計算基準、企業会計原則)。

売上原価に含まれる減価償却費の具体例

資産計上区分理由
工場の建物製造原価(販売分は売上原価)製造用施設。共通部分は合理的に配賦
製造機械・装置製造原価(販売分は売上原価)製品の加工・組立に使用される設備
金型・治具製造原価(販売分は売上原価)特定製品の製造に使用される工具
工場内の運搬車両製造原価(販売分は売上原価)製造工程内での材料・製品の運搬に使用
製造管理用ソフトウェア製造原価(販売分は売上原価)資産計上したソフトウェアを製造管理に使用

販管費に計上される減価償却費(参考)

資産計上区分
本社オフィスの建物・内装販管費
営業車両販管費
事務用PC・プリンター販管費
会計ソフト・CRMなどの業務ソフト販管費

製造原価報告書における減価償却費の位置づけ

製造原価報告書は、当期の材料費・労務費・製造経費と仕掛品の増減などから当期製品製造原価を示すもので、売上原価の内訳そのものとは範囲が異なります。製造用資産の減価償却費は製造経費に含めます。売上原価は当期製品製造原価に期首製品を加え、期末製品を差し引いて求めるため、両者は在庫残高で異なります。

製造原価は以下の3要素で構成されます。

  1. 材料費:原材料、部品、消耗品の購入費
  2. 労務費:製造ラインの作業員の人件費
  3. 製造経費:材料費・労務費以外の製造関連費用(減価償却費、電力費、修繕費、外注加工費など)

製造用資産の減価償却費は「製造経費 → 製品の製造原価 → 販売分の売上原価」と配分されます。未完成分は仕掛品、完成しても未販売の分は製品在庫に残り、当期に発生した償却費の全額が直ちに売上原価になるわけではありません。

仕訳例

製造用機械の減価償却(製造経費への計上)

取得価額2,000万円、耐用年数10年、定額法で通年使用し、償却対象額を2,000万円とする単純な例です。年間額は2,000万円÷10年=200万円。実際の初年度は使用開始時点・対象期間、残存価額や適用する会計・税務の条件を確認します。次の表は間接法による製造経費の計上例です:

借方金額貸方金額
製造経費(減価償却費)2,000,000減価償却累計額2,000,000

この製造経費は原価計算を通じて仕掛品へ配賦し、完成分を製品、販売分を売上原価へ振り替えます。期末の未完成分と未販売分は在庫に残り、期末に全額を売上原価へ振り替えるわけではありません。

本社PCの減価償却(販管費計上)

借方金額貸方金額
減価償却費(販管費)75,000減価償却累計額75,000

業種別の考え方

製造業

工場関連資産の償却費は製造原価に配賦し、販売分が売上原価になります。販管費との割合や当期の費用額は資産の用途と在庫で変わります。工場と本社が同一建物の場合は、使用面積など用途を合理的に反映する基準で按分します。

小売業・サービス業

小売店舗の販売用内装、什器、POS端末などの償却費は販管費として扱う例があります。一方、運輸・宿泊などではサービス提供に使う設備の償却費をサービス原価に含める場合があり、製造工程がないことだけでほぼ全額を販管費と決めることはできません。資産の用途と適用基準・原価計算方針を確認します。

IT・SaaS企業

サーバー・ネットワーク機器など、サービス提供に使う設備の償却費は、合理的な共通費配賦を含め、サービス原価に計上するケースがあります。ソフトウェアはまず資産計上の要件を判断します。日本基準では研究開発部分は発生時費用、市場販売目的の製品マスターは研究開発部分等を除いて資産計上、自社利用は将来の収益獲得・費用削減が確実と認められる場合に資産計上します。その後の償却費は、販売用という名称や社内利用かどうかだけで区分せず、製造管理・サービス提供・販売・一般管理の用途に応じて配賦します。製造管理ソフトと会計・CRMソフトでは用途が異なります(研究開発費等に係る会計基準)。元の参照先のキヤノンITソリューションズの記事はIFRSの開発費償却についての解説で、日本基準の社内ソフト全般を販管費とする根拠とは区別します。

売上原価の減価償却費が経営分析に与える影響

粗利率への影響

製造設備の減価償却費のうち販売した製品に配賦される額が増え、売上や他の原価が同じなら粗利率は低下します。ただし、未販売在庫に配賦された額はその期の売上原価にならず、生産効率や販売数量の変化でも影響が変わるため、償却費の増加だけから粗利率を断定できません。

設備投資判断への影響

償却開始は投資した翌期に一律固定されません。使用を開始した時点と適用する会計・税務の条件に基づき当期から償却が生じ得ます。法人税の国税庁の供用日説明では、機械の搬入だけでなく据付け・試運転を終え生産を開始した日などを判断します。製造原価に配賦しても販売分と在庫分を区別し、投資額、供用時期、販売計画と効率改善を合わせてシミュレーションしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 減価償却費が売上原価に含まれると、粗利が減って不利ではないですか?

一見そう見えますが、製造原価を正確に把握するためには正しい区分が必要です。減価償却費を販管費に回すと粗利は高く見えますが、製品別の原価分析が不正確になり、誤った経営判断につながるリスクがあります。

Q. リース資産の減価償却費も売上原価に含めるべきですか?

適用基準と契約条件を確認します。従来の日本基準で資産計上するファイナンス・リースや、新基準で計上する使用権資産の償却費は、製造用途なら製造原価に配賦し販売分を売上原価へ、販売・管理用途なら販管費へ区分します。企業会計基準第34号は2027年4月1日以後開始年度から適用、2025年4月1日以後開始年度から早期適用可能です。新基準の借手は原則として使用権資産・リース負債を認識しますが、所有権移転の条件等で償却方法が異なり、短期・少額等の取扱いと税務上の処理も別に確認します。

Q. 減価償却方法(定額法・定率法)で売上原価への影響は変わりますか?

定額法は償却対象額を均等配分し、定率法は一般に初期の償却額が大きくなります。ただし製造用償却費の販売分だけが売上原価になるため、在庫・販売数量も影響します。会計上は使用実態を反映する合理的な方法を継続適用し、利益だけを基準に自由に変更するものではありません。法人税では資産種類・取得日・届出により選択範囲が異なり、例えば建物や一定日以後取得の建物附属設備・構築物、ソフトウェアなどの無形資産は、鉱業用等の例外を除き定額法となります(償却方法の選定手続き、届出書の注意事項)。

まとめ

売上原価に含まれる減価償却費は、製造用資産(工場建物、製造機械、金型など)の償却費を製品原価に配賦したうち販売分に対応する額などです。製造間接費も含み、未販売分は在庫に残ります。正しい区分は粗利率の正確な把握と製品別原価分析の精度に直結するため、会計方針に基づいて一貫した処理を行うことが重要です。


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FAQ

よくある質問

製造用の工場建物・製造機械・金型などの償却費は、製造間接費も含め製品原価に配賦し、販売分が売上原価になります。未完成・未販売分は在庫に残ります。本社・販売管理用の償却費は販管費に区分し、直接使用の有無だけではなく用途を基準に判断します。

製造原価は材料費・労務費・経費(製造経費)の3要素で構成され、減価償却費は経費(製造経費)に含まれます。製造機械や金型の取得費用を耐用年数にわたって費用化し、製品1個あたりのコストに配賦して原価計算を行います。

本文の間接法の例では、製造用資産の借方は製造経費(減価償却費)、貸方は減価償却累計額です。原価計算で仕掛品へ配賦し、完成分を製品、販売分を売上原価へ振り替え、未完成・未販売分は在庫に残します。販管費の例は借方が減価償却費(販管費)、貸方が減価償却累計額です。

正確な原価計算と利益管理のためです。製造に使う資産のコストは製品原価に含めることで製品別の収益性を正確に把握でき、管理用資産のコストは期間費用として販管費に計上することで管理コストの効率性を評価できます。

定額法は均等配分、定率法は一般に初期の償却額が大きくなります。売上原価への影響は製造原価への配賦と販売・在庫の状況で変わります。会計上の合理的な方法と継続適用を判断し、税務は資産種類・取得日・届出で選択範囲を確認します。利益だけを基準に全資産で自由に定額・定率を選べるわけではありません。

製造用と管理用の資産を明確に区分する、固定資産台帳を正確に管理する、設備投資計画と減価償却費の予測を連動させる、税制上の特別償却や即時償却の優遇措置を活用するなどがポイントです。会計ソフトの固定資産管理機能を活用すると効率的です。

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