経費削減の考え方|企業経営に重要な3つの理由と具体的アイデアを紹介 |株式会社renue

公開日: 2025/4/20
良好な企業経営のために経費削減が必要とわかっていても、以下のような悩みによって上手く進められない方が少なくありません。
「経費削減なんて消耗品の出費を減らすくらいしか思いつかない」
「そもそも経費削減が、なぜ企業経営に重要なのかわからない」
結論をいうと「経費削減」は企業の成長に必要不可欠。そこで本記事では、経費削減の考え方や具体的なアイデアについて紹介します。
経費削減が企業経営に重要である3つの理由

ここではまず、企業経営にとって経費削減が不可欠な3つの理由を見ていきましょう。
利益を最大化できる
業務効率化につながる
経営リスクを回避しやすい
利益を最大化できる
売り上げは順調でも、過剰なコストで企業経営を続ければ、利益率は減少します。
反対に経費削減に成功すれば、売り上げは変わらずとも利益率を上昇させられます。売上増は容易ではありませんが、経費削減をすれば利益の上昇は確実です。
業務効率化につながる
経費削減とは業務プロセスに着目することであり、業務の効率化につながります。
たとえば「残業費の削減」への取り組みは、業務を整理したり統合したりするチャンスです。
単純作業に費やす時間を削減すれば、より生産的な業務に注力できます。また、勤務環境が改善されることで離職率も減るでしょう。新規採用には莫大な費用がかかるため、残業費削減以上のメリットといえます。
経営リスクを回避しやすい
経費削減により、以下のようなリスクを回避しやすくなります。
市場リスク:市場の変化によるリスク
信用リスク:仕入れ先の倒産や顧客からの未収金のリスク
法的リスク:法的な問題によって発生する費用や損失によるリスク
企業経営は常に不測のリスクにさらされることから、経営の好調・不調にかかわらずリスクに対応できる体力を温存しておかなければなりません。
裏を返せば、経費削減を会社運営の一端とすることで、急激な変化に対応可能な柔軟性を維持できるのです。
企業経営における経費削減|4つの考え方

企業経営における経費削減とは「出費を抑える」だけではありません。次にあげる4つの考え方を押さえておく必要があります。
コスト構造の把握
無駄なコストの排除
時間短縮・効率化の追求
コストの適正化
コスト構造の把握
最初に紹介する経費削減の考え方は「コスト構造の把握」です。「コスト構造」とは会社の固定費と変動費の全体的なバランス構造のことをいいます。
自社のコスト構造を分析すれば「どこに無駄があるのか」「どこを削減できるのか」を明確にできるのです。
自社のコスト構造を見極めないまま経費削減に踏み切れば「経費を削ること」だけが目的になってしまい「利益の増加」や「企業の成長」という恩恵を得られません。
無駄なコストの排除
次に紹介する経費削減の考え方は「無駄なコストの排除」です。具体的には、次のような削減や廃止を行うと良いでしょう。
利益につながらない業務の廃止
無駄な在庫の削減
過剰な人件費の削減
ただし、無駄に見える人員や設備が、実は利益向上と結びついている可能性もあります。「注意すべき経費削減」については、後ほど詳しく解説しているので参考にしてください。
すべてのコストに対して「利益につながるか」「時間効率につながるか」を慎重に判断し、真に無駄なコストを徹底的に排除するのが経費削減の考え方です。
時間短縮・効率化の追求
続いて紹介するのは、業務プロセスに対して「時間短縮できないか」「効率化できないか」を追求する考え方。
複合機を例にあげるなら、ステープル留めをしたり資料をソート分けしたりといった機能がついたものを選ぶとよいでしょう。
従業員が単純作業に割く時間を短縮でき、従業員の満足度や生産性の上昇が期待できます。
すなわち、経費削減は「出費を抑える」だけでなく、時間短縮と効率化を促進し相乗的な効果をもたらすのです。
コストの適正化
最後に「コストの最適化」という考え方を紹介します。「コストの適正化」とは経費削減という目的を達成しつつ、品質やサービスの水準を維持することです。
「コストの最適化」を行うには、次の方法が有効でしょう。
生産ラインの改善や省力化
原材料の見直し
購入先の変更
たとえば、店舗で商品を入れる紙袋の幅や厚みを少し変更するだけで、仕入れのコストが大幅に削減できるかもしれません。
それぞれのコストが利益につながる投資として「適性な品質か」「過剰品質になっていないか」などを審査・判断することが大切です。
経費削減を成功させる4つのポイント

経費削減を成功させるには、4つのポイントを押さえることが重要です。
経費の洗い出し・優先順位の決定を行う
経費削減の数値目標を社内で共有する
経費削減の見直しを定期的に行う
経費削減を目的化しない
経費の洗い出し・優先順位の決定を行う
経費削減には、すべての経費を洗い出すことが先決です。
まずは過去3〜5年分の経費を洗い出し、トレンド(動き)をチェックしましょう。年によって金額にばらつきがあるものや、反対にまったく同じものは削減の余地があるかもしれません。
経費を洗い出したら、次のような項目をピックアップしていきます。
すぐに削減できインパクトが大きい経費(固定費など)
全社員が関係する経費(消耗品費、残業などの人件費)
ルールがあいまいな経費(水道光熱費や雑費)
経費の洗い出しと優先順位が決定したら、取り組みやすいものから1つずつ実施してみてください。
経費削減の数値目標を社内で共有する
経費削減は一朝一夕で成し遂げることはできません。長期的な目標を達成するためには、社員の協力が不可欠です。
具体的には、次のようなステップで社内共有を進めるのがおすすめ。
経費削減のメリットを社員に説明する
具体的な数字で目標を示す
削減目標と達成率を「見える化」してオフィスに掲示する
ただし、経費削減のメリットを伝える際には、会社だけでなく「社員それぞれにどのような恩恵があるか」も伝えなければなりません。
経費削減の見直しを定期的に行う
経費削減を実施して終わりではなく、現状の分析や改善が重要です。
次の事例のように予想していなかった経費の動きはないか確認しておきましょう。
外注費削減が、残業代などの人件費の増加につながった
消耗品費削減のためのペーパーレス化が、家賃地代(書庫)の削減につながった
経費削減の見直しを定期的に行えば、効果があった方法を再現することも可能です。また、失敗から教訓を得られるメリットもあります。
経費削減を目的化しない
最後の経費削減を成功させるポイントは「経費削減」そのものを目的にしないことです。
本来必要な経費まで削減してしまうと、会社の発展を妨げかねないため「会社のコスト構造を最適化する」という経費削減の考え方を見失わないようにする必要があります。
簡単なイメージとしては、会社の利益や成長のために必要な投資を惜しまず、必要ないものは省くという考えのもとに進めていくと良いでしょう。
やってはいけない3つの経費削減

やってはいけない経費削減とは、本来の目的である「利益の増加」や「企業の発展」を逆行させるものです。具体的に、次のような経費削減は避けるべきでしょう。
社員の意欲を低下させる経費削減
品質やサービスを低下させる経費削減
会社の成長を妨げる経費削減
社員の意欲を低下させる経費削減
避けるべき経費削減の1つ目は「社員の意欲を低下させる」ものです。
社員の意欲を低下させると、離職率の上昇や生産性の低下につながります。たとえば、次のような経費削減には注意が必要でしょう。
空調設備の利用を制限する
必要な人員を削減する
劣悪な環境であれば社員の生産性が低くなるばかりか、体調を崩す危険性もあります。
また、人員が減れば仕事量が増え、社員の不満につながるでしょう。離職率が上がれば新規採用に関するコストがかさむため、社員の意欲を低下させる経費削減は、さらなるコスト増につながる点に注意しなければなりません。
品質やサービスを低下させる経費削減
サービスや商品の品質を低下させる経費削減もやってはいけません。
たとえば次のような経費削減は避けるべきです。
仕入れの安さにつられて、質の低い素材を使う
給与が高いからといって、腕利のシェフを解雇する
顧客側からすると、サービスや品質が下がれば、取引相手の変更を検討したくなるのも当然。
結果、同業者との競争に勝てなくなり売上が落ちてしまうかもしれません。目先の出費を抑えるために、品質やサービスを低下させる経費削減は本末転倒といえます。
会社の成長を妨げる経費削減
経費削減は、実施項目を誤ると逆効果になるケースがあります。具体的に、以下の費用は会社の成長を妨げるリスクがある点に注意しましょう。
研究開発費
人材育成のための研修費
上記の経費削減には「競争力の低下」「従業員のモチベーション低下」などのリスクも伴います。
現代社会では常に新しい技術が生み出されており、時代に応じたサービスや商品の開発が必要。従業員も新しい技術を習得していかなければなりません。
人材育成費や研究開発費を削減すると、時代の波に乗り遅れ「競争力」を維持できなくなります。
また、スキルアップの機会が減ると将来のビジョンが描けず、社員のモチベーションや生産性の低下も懸念されます。
タイプ別|経費削減の具体的アイデア

経費削減の具体的なアイデアを、次の5つの観点から紹介します。
消耗品コストの削減
旅費交通費の削減
通信費・水道光熱費など固定費削減
残業代など人件費の削減
会計管理費の削減
消耗品コストの削減
消耗品コストの削減の中でも、取り組みやすいアイデアは次の3つです。
ペーパーレス化を進める
事務用品の管理方法を見直す
価格の見積もりを取り直す
最も経費削減の効果が期待できるのは「ペーパーレス化」でしょう。紙や印刷代の削減だけでなく、ファイルやのり、ペンなどの消耗品費も削減できます。書類を整理する時間の短縮や、保管場所の削減も可能です。
さらに、事務用品の管理方法の見直しによって、過剰在庫が避けられコストの無駄を防げます。
また、価格の見積もりを取り直せば、同じ品質でも価格の安い商品が見つかるかもしれません。
旅費交通費の削減
旅費交通費は社員一人ひとりに関わる経費です。仕組み化できれば、インパクトのある経費削減となるでしょう。
旅費交通費の削減アイデアは次のとおりです。
テレワークを採り入れる
3か月・6か月などの長期間定期で交通費を支給する
オンラインでの会議・営業を採り入れる
最も効果の大きいアイデアは「テレワーク」の採用です。旅費交通費はもちろんのこと、オフィスのスリム化で家賃地代の削減までも狙えます。
長期定期やオンラインで会議・営業を採り入れれば、実質的な交通費を削減でき、即効性のある施策です。
通信費・水道光熱費など固定費の削減
通信費・水道光熱費など固定費の削減は、取り組みやすく効果の大きい施策の1つ。具体的なアイデアは次のとおりです。
電力会社やプロバイダーと交渉する
実質的な使用時間を減らす
省エネの照明や電化製品に切り替える
電力会社やプロバイダーを乗り換えて、使い勝手が悪くなるリスクは避けたいという方もいるでしょう。
そこでおすすめなのは、数社から見積もりを取り、見積もりをもとに契約している会社と交渉する方法です。受けているサービスはそのままで、価格だけを抑えられるかもしれません。
また、電気代が高騰しがちな真夏や真冬に積極的にテレワークを採り入れれば、実質的に光熱費を削減できます。
残業代など人件費の削減
人件費の中に残業代が多くを占めているなら、削減の余地があります。次のような施策はいかがでしょうか。
ノー残業デーの導入
アウトソーシング(外注)の導入
残業代の削減において重要なのは「なぜ勤務時間内に業務が終わらないのか」をヒアリングし分析することです。
物理的に過剰な業務量であれば、業務を見直したりアウトソーシングの導入を検討したりする必要があります。
残業代を支給していない場合でも、サービス残業をさせない工夫も重要です。というのも、サービス残業が多い企業は、離職率も上昇する傾向にあります。
従業員の勤務年数が長くなれば、スキル向上が期待でき新規採用のコストも必要ありません。
会計管理費の削減
経費削減を成功に導くには、支出の継続的な傾向を掴む「会計管理」が必要です。
しかし、会計管理を継続的に行うにはバックオフィスの追加採用やマニュアルなどが必須となります。会計管理はコストがかかるため、易々とは導入できずお悩みの方も多いでしょう。
そこで、提案したいのが「会計管理サービスの導入」です。少ない費用で、登録した日から自社の収益構造をタイムリーに把握できます。
マンパワーでは難しいスピーディかつ正確な会計分析も、会計管理サービスなら追加費用を抑えつつ実現できるのです。
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会社の収益構造を継続的に把握するなら、会計管理サービス「SubFi for Business」がおすすめです。
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