市場調査は新規事業の参入や新しいサービス構築を検討している企業にとって、非常に大切な調査です。調査する際は、調査会社に依頼して調査をするという方もいるかと思います。
しかし、調査会社に依頼すると思ったよりも時間がかかったり、多額のコストがかかるということもあります。そして自分で市場調査をしようと考える方もいますが、下記のような疑問をお持ちでないでしょうか?
市場調査の具体的なやり方は?
調査に失敗しないための方法は?
市場調査の種類は?
本記事では、市場調査の流れ、成功事例、調査に失敗しない方法などを具体的に紹介していきます。自分で実施する際の注意点も併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
市場調査は自分でできる?基礎知識を解説

一般的に、初心者には市場調査が難しいとされます。しかし、市場調査を行う目的や方法を正しく理解すれば自分でも実施できます。まずは市場調査の基礎知識について理解を深めていきましょう。
市場調査とは、特定の商品の販路やサービスの規模、ニーズ、経済規模などを調査することです。結果は数値化でき、商品比較はもちろん、今後の動向や商品のブラッシュアップも可能です。
そのため、新規事業や新たなサービス構築をする際に市場調査が必要不可欠となっています。実際の意見や数値を可視化することで論理的で計画的に進められます。
しかし、調査方法が間違ったデータを取ってしまうと、正しい数値が計測できなくなり事業の赤字につながることも考えられます。
そこで下記では、自分でもできる具体的な調査方法の流れを紹介していきます。
市場調査を自分で行うステップ5つ
市場調査のステップは以下のとおりです。
目的や調査項目を決める
市場調査の方法を決める
市場調査を実施する
市場調査データを基に分析する
分析結果を事業やSNS運用に活かす
市場調査は、計画や目的を立てずただ調査すると、意味のない市場調査となってしまいます。結果的に、コストも時間も損する可能性が高いです。しっかりと流れを抑えて市場調査をしていきましょう。
ステップ1:目的や調査項目を決める
まずは市場調査をする目的を決めましょう。目的や調査項目がぶれてしまうと、すべて違う方向に調査が進んでしまいます。もし不安であれば、あらかじめ市場調査する目的を文章化しておくと迷った際に振り返りやすいです。
目的が決まれば、目的を達成するための調査項目も明確となり、必要な情報を正確に調査できます。また、目的とは別に予算や期間を決めることで、目標を明確にしやすいです。コストを抑えるために自分で市場調査を行う人も中にはいるでしょう。限られた予算の中で、いかに効率よく調査をするためにも計画を立てることは重要です。
ステップ2:市場調査の方法を決める
市場調査の目的や調査項目を定めたら、次はどのような方法で市場調査を進めていくのか決めましょう。ここからは、8つの市場調査の方法をひとつずつ紹介します。
電話調査
SNSやSMS調査
アンケート調査
インタビューや座談会
購買データ調査
覆面調査
行動観察調査
郵送調査
電話調査
契約している顧客に直接電話をして市場調査を行う方法です。対面のように、実際の声をリアルタイムで聞けるので比較的早く調査結果を把握できます。郵送調査やアンケート調査などでは対応が難しい顧客も調査対象に入るので、幅広く調査が可能です。
しかし、年齢に偏りが出る可能性があることを念頭に置いてください。自社の商品やサービスの満足度や改善策を調査する目的に向いている調査といえます。また、新たなサービス展開を検討している際にも役立つでしょう。
SNSやSMS調査
SNSやSMSも市場調査では欠かせない方法になります。特にEC市場にて顧客を集めるには、SNSやSMSの調査は必須です。
簡単にいつでも調査結果が取れて、無料でも結果を得られるので非常に効率的といえます。また広告を使って調査することで、年齢や住んでる地域など細かいヒアリング対象を設定できます。
SNSやSMSを利用して調査することで結果的にフォロワーも増加するので一石二鳥です。
アンケート調査
インターネットを介したアンケートで市場調査を行う方法です。あらかじめ決めておいた調査項目を対象となる人に配布し、期日までに回答してもらいます。アンケート調査は市場調査の中で、低コストかつ大規模な調査をできる方法です。
様々な年齢層の回答を得られるのがメリットで、満足度調査や新商品の開発、サービスの導入など新規事業をスタートする際に便利です。
インタビューや座談会
調査対象の事業やサービスの消費者を集め、顔を見ながら直接対話ができる調査方法です。1対1、もしくは複数人でインタビューや消費者同士で話し合う座談会で、貴重な意見を聞けます。
インタビューや座談会の大きなメリットは、一定数の人から即日で回答が得られる点です。用意しておいた質問以外も臨機応変に聞くことができ、予定以外の回答も得られる点も魅力的でしょう。しかし、時間も限られているため、聞きたかったことが聞き出せないといったケースも考えられます。
購買データ調査
購買データ調査は、どのように商品が購入されているかや、どの特徴を持った商品が人気で購買率が高いのかなど、ユーザーが商品を購買した際に得られるデータのことです。未来の購買予測やニーズの把握ができます。
特にニーズの把握は、自社の商品やサービスを改善できたり、開発したりできる大きなポイントとなります。また、ニーズが分かれば、費用対効果位の高い広告や販売経路を提示でき、売上や集客アップへの貢献につながりやすいです。
覆面調査
通称ミステリーショッパーとも呼ばれる覆面調査も市場調査のひとつです。一般客として、店舗の状況やスタッフの態度、商品のクオリティなどを顧客目線で調査します。覆面調査は飲食店や小売店などに多いです。
基本的に、覆面調査があることは調査対象である店舗にお知らせがありません。そのため、普段通りの店舗の実態を調査することが可能です。業務改善を目的とする場合、店舗の実態を知れるので効率のいい調査方法といえます。
しかし、マニュアルや解答フォーマットがしっかりしていないと調査員独自の回答になってしまうというデメリットもあります。
行動観察調査
オブザベーションやエスノグラフィと呼ばれているのが行動観察調査です。ひとりにつき探偵のような形で対象者を観察し、どのような行動をするのか観察します。潜在的なニーズを深く知りたい時に行う調査であり、新規事業を検討している企業にはふさわしい調査といえるでしょう。
しかし、調査には時間と人員を要するため、調査自体のハードルが高いというデメリットもあります。
郵送調査
回答してほしい質問をはがきやDMにて送付し、消費者に回答してもらう調査が郵送調査になります。好きな時に回答してもらえるため、より多くの回答をもらいやすいです。一見現代的ではなく、非効率的に見える調査方法ではあるものの、手書きを好む高齢者世帯にはマッチする調査といえます。
中にはインターネットよりも詳細に回答する人もいるため、期待以上の回答を得られるケースもあります。しかし、全員が全員回答するわけではないことも覚えておいてください。
ステップ3:市場調査を実施する
自分たちの目的が達成できる調査方法が決定したら、次はいよいよ市場調査を実施します。その際に、ステップ1で決めた期間や予算を基に実施することを忘れないでください。質問内容は、誰が見ても分かる用語を用いて質問を作成しましょう。回答しやすく選択肢を網羅することも大切です。
そして、質問内容にミスがないか確認しましょう。ミスがあると、知りたい情報を知れなくなってしまうので、2重で確認するのがおすすめです。内容に問題がなければ対象者に回答してもらいましょう。
ステップ4:市場調査データを基に分析する
市場調査にてデータが取れたら、社内でデータをまとめて統計や傾向を出していきましょう。まとめる際ですが、ただデータを羅列するだけではいけません。統計や傾向を基に消費者がどのような感情や消費行動を起こしているかなどを予測し、裏付けることも重要になります。
ひとつひとつ丁寧に分析するのは悪いことではないですが、目的からズレる可能性があるため、さらに深掘りしたい部分以外は、大まかに分析する程度で問題ありません。
ステップ5:分析結果を事業やSNS運用に活かす
市場調査にて収集したデータを分析した結果を事業やSNS運用、広告などで活用しましょう。データを収集し分析できたことに満足し、そのまま何もせず放置してしまうのは非常にもったいないです。分析結果を活用して売上につなげましょう。
市場調査の成功事例

実際に市場調査を用いて事業成功へと導いた事例があります。
数値化することで市場の動向を探る定量測定調査
行動にて観察し分析して動向を探る定性足的調査
その他
下記で3パターンについて紹介します。
定量測定調査の事例
アルコール飲料を手掛けるメーカーより、2010年にノンアルコールビールを販売しました。しかし、有名メーカーにも関わらず、他のメーカーより人気が出ず、ひとり完全に負けた状態でした。そこで改良すべく定量測定調査を実施。
ノンアルコールビールが持つイメージと、調査をして初めて気付いた誰もが気付かなかったニーズを知りました。
休肝日を設けたい
健康診断前だけどビールは我慢したくない
車を運転するためビールが飲めない
これらの希望を叶えるビールのような味わいを楽しめるコンセプトのノンアルコールビールを開発し、今では主力商品として人気を誇っています。
定性測定調査の事例
ケチャップで世界的に有名な食品メーカーの商品も市場調査にて誕生しました。
ケチャップを改良するために、各家庭でケチャップがどのように使用されているか行動観察調査すると、残りが少なくなると中身が出やすいように逆さにしていることが分かりました。しかし、逆さにすると中身は出やすいですが、キャップ回りが汚れるといったデメリットがあることも同時に分かったのです。
行動観察調査にて得た結果を基にキャップを逆さまに、そしてキャップが汚れにくい仕様に変更しました。
その他の事例
チェーン店だからこそ、来店数の伸びを気にすることもあります。ある焼肉チェーン店はインターネットアンケートを活用し、来店回数を増やすことに成功しています。
どのようなことに興味があるのかユーザーに調査して、SNSのイベントを開催。フォローやリツイートしてくれたお客様に対し、お礼として食事券をプレゼントするキャンペーンを実施しました。結果、食事券をプレゼントしたことでお客さんの来店回数が増えました。
また、普段利用しないお客様にリーチできたのも大きなメリットです。気軽に参加できたからこそSNSイベントを知り、フォローやリツイートすることで食事券をゲットでき、おトクに焼肉を食べてもらえるというお互いWin-Winな施策になりました。
市場調査を自分で行う注意点
市場調査を自分で行う注意点として、以下があげられます。
各段階の目的に合った正しいリサーチをする
複数リサーチする
少数の意見にも耳を傾ける
市場調査にて失敗をしないためにも、調査を進めるにあたって意識しながら進めてみてください。
各段階の目的に合った正しいリサーチをする
市場調査はニーズを見いだすことが目的です。それを無視し、いきなり新商品や新サービスについての調査をしても、参考となるデータになりません。そして目的から逸れた行動は失敗につながります。
リサーチには段階があり、たとえば問題点を改善したいならどこが問題点であるか把握するためにアンケートを用いて調査する、といった目的に合った正しいリサーチが大切です。
目的に合わないリサーチをすると、その調査自体が無駄になってしまいます。目的と調査の内容にブレがないのか、確認することが大切です。
複数リサーチをする
各調査には期間やコスト、人数などに制限があります。そのため、ひとつのリサーチですべてを網羅することは難しいですが、複数リサーチすることで効率的に調査結果を回収できます。
内容によっては、ひとつのリサーチで明らかな回答を得られないことも考えられるでしょう。複数のリサーチ方法を使えば、様々な視点から物事を見れるため、より正しい情報を導き出せます。
少数の意見にも耳を傾ける
リサーチの内容によっては想定されなかった回答が挙がる可能性も考えられます。
想定外だからといって挙がった少数の回答を無視するのは、いいといえません。想定外の解答は、自分たちで考えもしなかった考えです。そのため、想定されなかった回答は今後の対策や戦略として活用できる大きなヒントとなります。
大多数の意見が有効と思われがちですが、少ない意見も重宝することで、今以上にいい商品やサービスの構築へとつながります。
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市場調査をする目的を明確化することで、自分でも市場調査は実施できます。失敗なく市場調査をするためには、実施するための目的の決定から分析結果の活用と、計画を立てその通りに進めることが大切です。
そして、市場調査をする目的を社内でしっかり共有することで、市場調査での結果も有意義なものになるでしょう。また、自分で実施することでコストの削減が可能です。しかし、市場調査でのコストカットをしても全体的に見直さなければならないこともあるでしょう。
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