市場調査のやり方とは?具体的な方法と進め方・調査の事例を解説

市場調査のやり方とは?具体的な方法と進め方・調査の事例を解説

公開日: 2025/4/25

市場調査は、企業がマーケティング活動を行う上で重要なものです。誰もが知る有名企業も、市場調査の結果を活かし、商品・サービスの提供につなげています。

しかし、市場調査を行おうにも漠然としていて、以下のような悩みを持つ企業担当者も多いでしょう。

  • 市場調査の基礎知識は?

  • 市場調査で用いられる手段は?

  • 市場調査を活かした事例ってあるの?

本記事では、市場調査の概要や具体的な調査方法、事例についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

市場調査とは?概要と具体的な調査方法2つを解説

市場調査とは、企業のマーケティング活動で必要な情報を集めるために行う調査のことです。消費者やターゲット顧客から情報を収集し、顧客ニーズや自社商品・サービスの認知度を探っていきます。

マーケティングリサーチと似ているように思えますが、調査対象と目的が異なっています。市場調査は現在の市場動向を考える、マーケティングリサーチは未来の市場動向を考えるための調査です。

市場調査の方法は複数ありますが、大きく分けて以下の2つです。

  1. 定量調査

  2. 価格調査

それぞれの調査方法や違いについて、詳しく解説します。

定量調査|数値で分かる情報を集める

定量調査とは、数値で分かるデータを集め分析していく調査方法です。概要は、以下表の通りとなります。

活用方法

仮説の検証

調査対象

不特定多数

手法

ネットリサーチ

調査で分かるもの

商品・サービスの認知度

メリット

消費者の購買行動の背景を把握できる

デメリット

質問の範囲内でしか情報を得られない

調査方法は複数あり、調べたいデータに合わせて選択していきます。定量調査で代表的なものは、以下の2つです。

価格調査|自社商品・サービスの適正価格を調査

自社の商品・サービスが、どれくらいの価格だと顧客が購入・利用したいと思うのかを把握するために行います。「1,000円だと購入・利用したいと思うか」「いくらなら購入・利用したいか」などシンプルな質問から、適正価格を把握していきましょう。

ただ、顧客にとっての適正価格は「1,000円ならお得」「1,200円までは出しても良い」というように、許容価格を設定していることがほとんどです。

そのため、許容価格を考慮し調査を行われければ、信憑性のあるデータを集められない恐れがあります。安すぎてもかえって怪しく、適切な価格設定でないと売れないため重要な調査です。

販促調査|効果的なプロモーション方法を調査

販促調査では、どんなプロモーションを行うと販売量が増えるのかを調べます。商品・サービスごとに適した販促方法を把握できるため、売上を伸ばすために有効な調査です。

代表的な方法は、広告やキャッチコピーを複数用意し、どれが良いかをターゲット顧客に選んでもらうABテストです。販促調査で特に評価が高かったものは、実際に広告やキャッチコピーとして使用されます。

不特定多数に送るダイレクトメールやカタログも、販促調査の結果によって記載方法が変更されることが増えています。そのため、販促調査は広告媒体に与える影響が大きな手法です。

定性調査|人の意識や感情すに関するデータを集める

定量調査とは、数値で判断できない顧客の意識や感情に関するデータを集める調査方法です。概要は、以下の表の通りとなります。

活用方法

仮説を立てる

調査対象

少数

手法

1対1のインタビュー

調査で分かるもの

商品・サービスの購入理由、不満に感じていること

メリット

顧客も認識できていない潜在ニーズを把握できる

デメリット

調査で求めているデータを得られるとは限らない



調査対象は少ないものの、その分深い情報を得られるでしょう。代表的な手法は、以下の2つです。

商品開発調査|ターゲットとなる顧客のニーズを調査

新商品を開発する際に、ターゲット顧客のニーズを聞き取る調査です。「こんな商品があると良い」という要望や不満を調査し、自社商品の改良・開発に役立てます。

商品開発調査を通して消費者の反応を見ることで、コンセプト段階で商品・サービスが「売れない」恐れを軽減できます。潜在的な不満やニーズも把握できると、さらに良いでしょう。

また、思いがけず評価の高いターゲット層が見つかれば、さらなる利益拡大にもつなげられます。

ブランドイメージ調査|競合と比較しての認知度・満足度を調査

競合他社と比べて、自社の商品・サービスがどれくらい知られているのかを把握するための調査です。自社ブランドの位置付けを知ることで、今後のプロモーション方法を検討する材料となります。

もし競合よりも知られていないなら、ブランドを強化するためにプロモーションに力を入れなければいけません。逆に認知度が高いにもかかわらず売り上げが少ないなら、商品の満足度が低いと考えられます。

ブランドイメージ調査は、定期的かつ多面的に行うことが重要です。頻繁に変化するため、適宜調査を実施しブランドイメージを把握しましょう。

市場調査で用いられる7つの手段

市場調査には7つの手段があり、調査対象や目的によって適切なものが異なります。具体的には、以下のものです。

  1. アンケート調査

  2. 対面調査

  3. 街頭調査

  4. 電話調査

  5. 覆面調査

  6. ビッグデータ分析

  7. ホームユーステスト

それぞれ順番に見ていきましょう。

アンケート調査

適した調査目的

適正価格の把握

メリット

低コストで大規模な調査を実施できる

デメリット

適切な質問でないと意味のある回答を得られない

対象者に自社で用意したアンケートを配布し、質問の回答を得る調査方法です。アンケートは郵送やFAX、インターネットで行われます。

市場調査で最も一般的な方法で、少ないコストで大規模な調査が可能です。ただFAXやインターネットは、全ての家庭で対応しているわけではないため、世代間で回答に偏りが生まれるかもしれません。

実施する際は、偏りがないように配慮しましょう。

対面調査

適した調査目的

商品開発

メリット

顧客の回答に合わせて質問内容を変更できる

デメリット

インタビューに時間がかかる

対面調査は、自社で絞り込んだ対象者にインタビューを行う調査方法です。目的に応じて、1対1とグループ調査のどちらかを選んで実施できます。

顧客相手に細かい調査が可能ですが、依頼から実施までに1週間~10日、アウトプットに半月〜1ヵ月と時間がかかることを考慮しておきましょう。

街頭調査

適した調査目的

イベント等の満足度をその場で知る

メリット

調査の回収をその場で行える

デメリット

時間が短く、深い質問はできない

街頭調査は、調査員が街や展示会の会場で通行人に声をかけ、アンケートに答えてもらう調査方法です。事前に用意された人ではなく、偶然通りかかった人が対象となるため、リアルな意見を聞けます。

調査を行う場所や時間帯で結果が左右される場合があるため、実施前の事前準備も大切です。

電話調査

適した調査目的

匿名で商品の感想を聞く

メリット

大規模な調査を実施できる

デメリット

固定電話を持たない世代と偏りが生まれる恐れあり

顧客に直接電話をかけ、自社で用意した質問に答えてもらう調査方法です。アンケート調査ほどではないものの、幅広い対象者を相手に調査できます。

電話を通して答えてもらうため、あまり多くの時間はかけられません。事前に質問内容をまとめ、準備しておくことが重要です。

覆面調査

適した調査目的

飲食店や店舗スタッフの現在の様子を把握する

メリット

ありのままの状態を調べられる

デメリット

経営陣とスタッフの間に距離が生まれる恐れあり

覆面調査は、一般顧客のふりをして商品・サービスを実際に利用することで実施されます。調査の形式から、飲食店や販売店のサービス向上を目的とした調査に向いています。

顧客目線でありのままの状態を調べられますが、安易に実行するとスタッフから反感を買う恐れがあるため注意が必要です。

ビッグデータ分析

適した調査目的

あらゆる分野・業界での活用が期待される

メリット

大量の有益なデータから分析できる

デメリット

費用対効果の検証が難しい

企業が持っているビッグデータを分析していく調査です。ビッグデータとは、有益な情報を得られる可能性のあるデータの集まりで、インターネットの普及や情報のデジタル化により管理できるようになりました。

大量の有益な情報から分析できるのが利点ですが、その分どのデータを参考にするかの絞り込みも必要です。

ホームユーステスト

適した調査目的

商品の満足度調査

メリット

顧客の実態に近い声を聞ける

デメリット

期間を設けるため途中で離脱する恐れあり

ホームユーステストは、一定の期間実際に商品・サービスを利用してもらい感想を聞く調査方法です。実際に使ってもらうことで、商品の満足度や改善点について実態に近い声を得られるのが利点です。

市場調査を有効活用した企業の3つの事例

誰もが知っている有名企業も、市場調査を有効活用し商品・サービス開発につなげています。

  1. メルカリ

  2. アサヒビール

  3. セブン&アイホールディングス

順番に見ていきましょう。

メルカリ|外部サービスを利用し満足度を計測

日本最大のフリマアプリである「メルカリ」では、覆面調査とやや異なる手法で満足度を計測しました。

覆面調査では自社の商品・サービスを利用して調査しますが、メルカリではあえて外部のサービスを利用しています。自社のサービスだけを使っていては、客観的な調査ができないと考えたためです。

その結果メルカリは、自社のサービスが「利用率No.1」だという客観的なデータをつかみ、CMのキャッチコピーに活用しています。

アサヒビール|ニーズを把握しシェア率を拡大

アサヒビールでは、ノンアルコールビール「ダブルゼロ」の品質改善のため市場調査を行いました。同商品はノンアルコールビールのシェアが2%程度と、売り上げがよくなかったためです。

市場調査を行った結果、消費者がノンアルコールビールに求めているのが「ビールに近い味」だと分かりました。それまでは「カロリーゼロ」を強みとしていましたが、市場調査の結果から味を重視した「ドライゼロ」を発売し、シェア24%の大ヒットとなっています。

セブン&アイホールディングス|ニーズの変化をつかみ新商品がヒット

セブン&アイホールディングスでは「金の食パン」の発売にあたって市場調査を実施しています。今となっては高級食パンは珍しくありませんが、当時は高価な食パンは売れないと言われていました。

しかし、市場調査を行うことで、消費者ニーズが安いものより「高くても美味しいもの」にあることを突き止めます。さらに価格調査も行い、1斤250円として販売し大ヒット商品となりました。

市場調査のやり方

市場調査は、以下の流れで行っていきます。

  • 調査目的を決める:市場分析や商品評価、コンセプト開発など

  • 調査設計を行う:どの方法で市場調査を行うのか

  • 調査を実施:策定した計画に基づいて調査

調査が終わったら、結果を分析しレポートにまとめましょう。また、調査の分析をもとに今後のマーケティング施策や、商品改良などの意思決定を行います。

仮説立案のための調査だったなら、その仮説を検証するためのアクションをとり、次につなげることが必要です。

市場調査を自分でやる場合の3つの注意点

市場調査を自分で実施する場合、以下3点に注意が必要です。

  1. 調査の目的をはっきりさせる

  2. 必要なコストと時間を把握する

  3. あらかじめ調査の仮説を立てておく

順番に見ていきましょう。

調査の目的をはっきりさせる

市場調査を何のために行うのか、目的をはっきりさせる必要があります。調査対象はさまざまですが、市場調査の目的は自社のマーケティング施策に活かせる情報を集めることです。

しかし、市場調査を行うこと自体が目的になってしまい、本来の目的を忘れてしまうこともあります。目的がはっきりしていれば、適切な調査方法を選び、必要な情報を無駄なく集めやすくなるでしょう。

十分な成果を挙げられるよう、市場調査は目的をはっきりさせたうえで行ってください。

必要なコストと時間を把握する

調査に必要なコストと時間を、あらかじめ把握しておきましょう。予想以上に出費がかさんだり、事業全体の予定が遅延することを防ぐためです。

必要なコストは、調査方法によって異なります。アンケート調査では人件費も必要ですが、ネットでの調査だとコストはほとんどかかりません。

ただし、市場調査に想定以上の時間がかかれば、事業全体も遅延してしまうため、進捗に影響しない範囲で行いましょう。

あらかじめ調査の仮説を立てておく

調査を行う前に、結果についての仮説も立てておきましょう。仮説を立てておかないと、市場調査の結果をどう活かせば良いのか分かりません。

また、調査結果を活かせなければ、調査そのものが無駄になってしまい、結果をもとに別の仮説を立てて、再度調査を行うということもできません。

仮説を立てることは調査結果を活かすことと、次の調査につなげるためにも必要です。

市場調査の効率化には「SubFi for Business」がおすすめ

市場調査にはさまざまな方法があり、調査目的や対象によって適したものが異なります。また、調査を行う前にしっかり準備しておかないと、思うようなデータを得られない恐れがあるため注意が必要です。

自分で確実な市場調査を行えるか不安があるなら「SubFi for Business」を使ってみてください。ベンチマーク業界の規模や、成長企業の利用技術・サービスの把握を簡単にでき、市場調査にかかる時間を大幅に短縮できます。

自力での市場調査に不安があるなら、ぜひ一度ご相談ください。