市場調査レポートの書き方は?参考になる公開レポートや意識すべき5つのポイントを解説 |株式会社renue(リノイ)

公開日: 2025/4/20
市場調査レポートは、新規事業や起業、製品開発といったあらゆる場面で求められるため、正確かつ分かりやすくまとめる必要があります。
しかし、いざ作ろうと思っても、「市場調査レポートの作成方法が分からない」「市場調査レポートに書くべき内容はどんなものか」と悩む方が少なくありません。
そこでこの記事では、以下の内容を解説します。
市場調査レポートの書き方は?
市場調査レポートに記載する項目は?
市場調査レポートの作成に役立つ公開データは?
市場調査レポートについて詳しく知りたい場合は、ぜひ参考にしてみてください。
市場調査レポートとは

市場調査レポートとは、市場調査の結果をまとめた報告書のことです。どんな顧客がいるのか、どんな悩みを抱えているのかなど、事業を行う上で重要となる調査データがまとめられています。
市場調査レポートは、以下のような場面で求められます。
新規事業立ち上げ時(参入市場の発見・調査)
既存事業の課題解決
課題解決のための仮説検証
事業の効果検証
現段階の課題を可視化すれば今後のマーケティングに活かせる上に、レポートを残すことでメンバーへの共有も容易となるでしょう。
市場調査レポートの書き方は?9つの項目を解説

市場調査のレポートには、以下の9つの項目を記載していきます。
目次
調査目的
調査方法
調査対象
調査期間
調査項目
調査結果
考察・分析
送付資料
それぞれの項目について、順番に見ていきましょう。
目次|レポートの全体像を伝える
市場調査の報告書として、目次は必須です。目次があることで、レポートの全体像を簡単に把握できます。
目次により、必要な情報を優先的に読み進めることも可能となり、一から読み進める必要がないため、読み手の手間を省けるでしょう。また、タイトルや見出しをページ数と一緒に記載すると、情報量まで一目で伝わるため分かりやすくなります。
レポートを作っている段階で情報を変更する場合もあるため、柔軟に対応できるよう、レポートの完成直前に目次を作るのがおすすめです。
調査目的|調査の背景や方向性
調査目的は、レポートの最初に記載する内容です。
何のための調査なのか
何を明らかにしたいのか
現状はどうなのかといったことを記載
上記のことを記載し、調査の目的や達成したいことを明確にした上で、レポートの内容に移りましょう。
調査方法|どの方法で市場調査を行ったか
市場調査をどんな方法で行ったのかを記載します。アンケート調査や電話調査など、さまざまな方法が存在するので、実施したものをすべて記載しておきましょう。
また、その調査方法を選んだ理由や、目的を達成できると思った根拠も記載すると、レポートの説得力が増します。
ただし、調査方法が多すぎると、時間やコストがかかりすぎて全体の遅延にもつながるため、常にスケジュールとコストバランスをチェックしながら進行するのがおすすめです。
調査対象|ターゲットは誰か
どんな人をターゲットとして調査するのかを記載しましょう。年齢・性別、人数などから、調査対象を具体的にイメージできるようにしてください。
なお、調査対象が多すぎても時間がかかってしまうため、市場調査の前に、ターゲットの絞り込みが必要です。
調査期間|具体的な日時を記載
調査結果を得るために必要な期間を伝える項目です。「調査にかかる期間」ではなく「調査を実施する期間」である点に注意しなければなりません。
記載方法としては【2023年1〜4月】のように具体的な形式がおすすめです。
調査項目|具体的に何を調査するのか
ここでは、具体的な調査項目を記載します。アンケート・電話調査なら質問内容、ネットでの調査ならサイトURLが調査項目です。
調査項目が判断できることでレポートの内容に説得力が生まれるため、大変重要な項目といえるでしょう。
調査結果|調査項目ごとに記載
調査項目ごとに、どんな回答や結果が得られたのかを記す項目です。結果を伝える項目となるため、市場調査において最も重要な部分です。
記載する際は、最初に調査結果を結論として伝えましょう。図や表などを使って解説すると、より結論を強調できて効果的です。
考察・分析|調査結果をもとに考える
調査結果からどんな考察・分析をしたのかをまとめます。調査でわかったことを今後どう活かすのか、この項目ではっきりさせましょう。
考察・分析となるため、主観は入れず客観的な視点で考えることが重要となります。仮説はあっていたか、間違っていたならどうすべきかなどをまとめて記載しましょう。
送付資料
レポートの最後に、調査に関する資料を記載しましょう。送付する資料は、具体的な文献やサイトURLなどです。
レポートの作成で引用した資料があれば、根拠として明記してみてください。
市場調査レポートの作成にテンプレートを活用するのも有効

市場調査レポートの多くは、WordかPowerPointで作られます。それぞれテンプレートが公開されているため、有効活用するのも一つの手です。
一例を以下の表にまとめました。
上記は、内容の精密さや無駄なく読みやすいことなどが特徴です。適切な調査手順、作成方法に沿ってまとめられているため、参考にすると良いでしょう。
市場調査レポートで意識すべき5つのポイント

市場調査レポートを作成する際は、以下5つのポイントを意識すると分かりやすい内容にまとめられます。
読み手の存在
5W2Hに沿った記載
事実と考察は切り分ける
グラフや表を積極的に使う
新しい発見を与える
順番に見ていきましょう。
読み手の存在
市場調査レポートは、読み手の存在を意識して作成しましょう。言うまでもありませんが、レポートは調査結果やそこに至るまでの課程に関する報告書となるため、正確に報告しなければなりません。
したがって、ただ情報をまとめるだけでなく、図や表を使うなど、パッと頭に入る簡潔な内容を目指してみてください。もし詳細な説明が必要な場合は、別の用紙を添付するのもおすすめです。
5W2Hに沿った記載
市場調査レポートは、以下の5W2Hに沿って記載するのが有効です。
why:なぜ
What:何を
Where:どこで
How:どのように
When:いつ
Who:誰が・誰に
How much:いくらで
市場調査レポートに記載すべき内容は非常に多い一方、情報や文章量が多いと、かえって情報が伝わりにくくなる点に注意が必要です。
一方、5W2Hに沿ってレポートを作成していくことで、要点がまとまり読み手にとって分かりやすくなります。そのため、5W2Hを市場調査レポート作成の基本型にすると良いでしょう。
事実と考察は切り分ける
調査で得られた事実と考察は分けて記載しましょう。一緒にしてしまうと、読み手は事実か考察なのか分からず、混乱を招いてしまいます。
事実と考察がはっきり分かるよう、別々の項目で記載し、事実に関しては、はっきりと記載することも重要です。
「〜と考えられる」というような書き方だと、事実であっても考察のように感じられるため、中途半端な記載にはせず、事実と考察を明確に示してみてください。
グラフや表を積極的に使う
市場調査レポートには、可能な限りグラフや表を使うのがおすすめです。文字だけのレポートは情報がなかなか入ってこないため、最悪の場合、最後まで読んでもらえない恐れもあります。
対して、グラフや表を使えば、情報が視覚的に伝わり、とても分かりやすいレポートとなるでしょう。簡潔かつ容易に情報を伝えられるよう、グラフや表を使えるところはないか検討しながら作成してみてください。
新しい発見を与える
読み手に対し、新しい発見を伝えることも意識しましょう。内容に革新性が生まれ、市場調査レポートのクオリティを高めることが可能です。主な記載内容は、以下の通りとなります。
業界で知られていない情報
読み手の思い込みに気づかせる資料の送付
意外性のある結果・結末
調査対象や結果によっては難しい部分もありますが、読み手にとって新たな気づきにもなるため、極力記載しておくのがおすすめです。
市場調査レポートの作成に役立つ公開レポート一覧【無料あり】

市場調査レポートの作成には、以下のような公開レポートを活用するのがおすすめです。
政府統計の公開レポート
リサーチ会社の公開レポート
業界特化の公開レポート
無料で見られるものもあるため、レポート作成に積極的に活用しましょう。それぞれどのようなものがあるのか解説します。
政府統計の公開レポート
政府の統計では、以下のようなレポートが公開されています。
サイト名 | 運営元 | 特徴 | 料金 |
総務省統計局 | ・国や民間企業が公開しているデータも得られる | 無料 | |
総務省統計局 | ・各府省の発表データを網羅的に記載 | 無料 | |
国立国会図書館 | ・国立国会図書館により有用と判断された情報・資料のみを掲載 | 無料 | |
経済産業省 | ・経済、産業関連のデータを見られる | 無料 |
政府が公開しているため、情報の信頼性は非常に高くなっています。どれも無料で閲覧できるので、積極的に活用すると良いでしょう。
リサーチ会社の公開レポート
先ほどは公的機関でしたが、一般のリサーチ会社でも以下のようなレポートを公開しています。
サイト名 | 運営元 | 特徴 | 料金 |
マクロミル | 業界、業種別にデータがカテゴライズされている | 無料 | |
ITmedia | 民間企業だけでなく国の調査結果もまとめている | 無料 | |
博報堂生活総合研究所 | 博報堂の定点観測データを30年分まとめている | 無料 | |
クロス・マーケティング | 市場調査のデータ取得だけでなく、調査方法や詳細な分析も学べる(無料会員登録が必要) | 無料 | |
リクルート | リクルートが収集した消費者動向の調査データを得られる | 無料 | |
ニッセイ基礎研究所 | 経済や医療など、幅広いジャンルで専門性の高い情報を得られる | 無料 | |
東京商工リサーチ | 企業情報・倒産情報をもとに経済関連データを公開している | 無料 | |
富士キメラ総研 | 市場展望の予測や競合ベンダーの製品展開などがまとめられている | 有料 | |
矢野経済研究所 | 数百ページに及ぶ複数のマーケットデータを販売している | 有料 |
中には有料のものもありますが、その分調査やレポート作成に役立ちます。もし予算の調整が可能なら、活用してみると良いでしょう。
業界特化の公開レポート
特定の業界に関する情報を得たいなら、以下の公開レポートが役立ちます。
サイト名 | 運営元 | 特徴 | 料金 |
電通 | 国内における1年間の広告費の統計データを公開している | 無料 | |
J-Net 21 | 飲食、物販、サービス業の市場調査データを公開している | 無料 | |
ホームメイト | 市長区村ごとの人口状況や所得、福祉費などがまとめられている | 無料 |
日本の大手企業によるレポートもあり、情報の信頼性は確かです。該当する業界を調査するなら、ぜひ活用してみてください。
市場調査の効率化には「SubFi for Business」がおすすめ

市場調査レポートは、調査結果を共有する上で大切な報告書となるため、誰が読んでも正確な情報が分かるようにまとめる必要があります。
しかし、市場調査レポートの作り方には型や参考になる資料もありますが、作成するのが難しく感じる人もいるでしょう。
そこで、市場調査レポートの作成には「SubFi for Business」がおすすめです。ベンチマーク業界の支出傾向の参照や、成長企業の利用技術・サービスが容易に把握できるため、市場調査にかかる時間の短縮が可能です。
データはグラフで得られることから、レポートへの反映がしやすいのも大きな魅力。市場調査を効率化したい場合は、ぜひ導入をご検討ください。