AIで経営・企画の仕事はどう変わるか - GPT-4の衝撃

AIで経営・企画の仕事はどう変わるか - GPT-4の衝撃

公開日: 2025/4/20

本日、2023年3月15日にOpenAIよりGPT-4が正式にリリースされました。多くの人はすでにChat GPTによってAIの進歩を目の当たりにしてきたものと思いますが、ここから更にAIによる自動化・高度化は進んでいきます。この記事ではAIビジネスやDXに携わってきた1人のコンサルタントとして、今後5年で世界がどう変わっていくのかをホワイトカラーの仕事に焦点を絞って考えていきたいと考えています。


OpenAI, GPT, LLMとは何なのか

まず本稿を書く上で、前提知識となるLLM(大規模言語モデル)の概要とその実例を整理する。LLMとは、自然言語処理の分野で使われる大規模な言語モデルの総称で、テキスト生成、文章要約、文書分類など、さまざまな自然言語処理タスクに利用される。人間の会話や記述を元に「自然な表現」を学んでいく事で、質疑応答を可能にするタイプのAIモデルである。

GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIが開発したLLMの総称で実際には様々なタイプが存在する。2023年3月にGPT-4が公開され、これまでに比べて圧倒的な学習データから本当に人間のような返答が可能になっていると話題になった。特に話題になった部分では、プログラミングコードの記述が正確で合ったり、画像からユーモアを見出したりした部分だろう。

このGPTを開発するOpenAIは、2015年にイーロン・マスクやサム・アルトマンなどによって設立された非営利団体。OpenAIの目的は、人工知能の進歩を促進することで、人類がより良い未来を実現するための研究を行うこととしている。ただし、近年は開発内容をオープンにせず、Microsoftからの資金調達も行うなどして営利に近い事をしているなどの指摘もあり、創業者のイーロン・マスクとは対立構造にあるようだ。

色々と難しい用語の解説になったが、要は「人間の言葉」を沢山学んで、限りなく人間のようなコミュニケーションを取れるようになったAIが登場したと思えば良い。ここで問題なのが、大半の人にとって「AIよりも賢い」事が難しくなってきた事であり、かつてチェスや将棋のプロが悩んだ「なぜ人間がやるのか」という課題が全ての言葉を使う仕事、特にホワイトカラーと呼ばれるオフィスワーカーにもたらされた点である。


ホワイトカラーの仕事をどこまでできるのか

GPT-4の登場により、今後はさらに多くの業務が自動化され、従来のホワイトカラーの仕事も大きく変わっていくことが予想される。以下のような業務はすでに自動化が進められている業務だ。

  1. [レポートの作成] GPT-4では、大量のデータを処理してレポートを自動生成することが可能。手書きのメモすら読み取り、Excelやパワーポイント、独自の書式など様々な形のレポートを瞬時に作成してしまう。 管理業務にあたるものやコンサルティングワークは大きな影響を受けるだろう。

  2. [翻訳業務] GPT-4は、膨大な量の言語データを学習することで、高度な自動翻訳が可能になる。すでにDeepLでかなりの翻訳が自然にされるようになっており、またYoutubeなどでも自動翻訳字幕が生成されているが、今後はさらに精度の高い翻訳がAIによってなされるだろう。

  3. [カスタマーサポート] GPT-4は、自然言語処理に特化しており、会話を自動生成することが可能。特にWEB領域におけるチャット接客や電話でのお客様対応は、ほぼAIによって代替されると考えて良い。従来は精緻にマニュアルを作成しないとシステムによる対応は難しかったが、GPT-4は大枠の指示でも人以上に期待通りの接客をしてくれる。

  4. [SNS/広告] GPT-4は、多くの文章を自動的に生成することが可能。そのため、事前に自社の商品について説明をした上で、どこで誰にメッセージを送るのかを教えると、SNSに投稿する内容の案を自動で作成などしてくれる。これは多くの広告代理店やマーケティング代行の仕事を自動化することになるだろう。

  5. [開発] GPT-4は、資料作成やコーディングといった開発における多くの業務プロセスを実行可能。従来のモデルに比べミスも少なく、新しい技術へも精通している。きちんと背景を教えた上で指示を行うと、驚くほど綺麗なコードや資料を出すため、多くの企業では活用がすでに検討されている。

これらの業務に共通するのは、人と人のコミュニケーションを円滑に行うための業務という点だろう。従来人は相手と精緻に意思疎通をするために、図を書いたり、細かな表現に気をつけたりしてきた。しかしながら、その業務はもはやAIによって代替される。これはつまり、多くの中間管理職も影響を受けるという事である。

そのため正直に言ってしまうと、現時点で筆者の考えでは「AIにできないと断言できる仕事はない」が回答になる。実際に筆者は経営者として多くの人員に指示を出しているが、アルバイトへの研修よりもChatGPTに指示を出す方が早い場面は増えている。しかしながら、AIはAIであるが故に利用できないシーンが残っており、人間の仕事を全て奪うということはない。

人間に残るのは「何を誰に伝えるか」という企画力

前項で書いた事だが、LLMが自動化するのはコミュニケーションの表層部分である。つまり「どう伝えるのか」を自動化するのであり、今時点では誰に何を伝えるのかという部分は考えてくれない。

少し基本的、かつ、別の話になるのだが、マーケティングにおいては4Pという基本フレームワークが存在する。「Product(何を)」「Place(どこで)」「Price(何円で)」「Promotion(どうやって)」売るのか、という基本要素の整理だ。実はGPT-4ではこのうちPrimotionしか自動化しておらず、さらにいうとPromotionのうちでもかなり一部しか代行していない。

ここから考えられるのは、商品販売以外の場面でも今後は人間はより大事な部分を考える必要があるという点である。今までは「資料が綺麗」で評価されていた人も、今後は「何を言っているのか」や「適切な場面で切り出しているのか」といった高度な判断で評価されるようになっていくだろう。具体的な業務としては以下が挙げられるだろう。

  • 商品企画

  • コミュニケーション設計

  • 戦略立案

  • 経営の意思決定

  • 人のモチベーション管理

  • AIへの指示

  • AIが出した結論の裏付け

  • AIが行う仕事への責任請負

  • セキュリティ・安全面の確認

また別の領域として、人間の身体性に着目する考えもある。① 物理的な作業を行う上でロボットよりも高度の判断を様々に応用して行える、② 接客する担当が生きている人間じゃないと安心しない人がいる、といった点だ。ただし、ここについてはホワイトカラーの論点からズレるため本文では言及しない。ロボティクス領域の発展によっては、これらの業務も代替される可能性は存在する。

いま何をするべきか

ひとまず多くの人がやるべき事は「ちゃんとAIを触ってみる」だろう。できればChat GPTやその他周辺企業が出しているサービスを表面で触るのではなく、きちんと書物を読んでプログラミングまでするのが望ましい。
(プログラミングに関する質問もChat GPTに聞けば大半を教えてくれる。スクール事業者にとっては大きな痛手だろう)

実際に弊社ではすでに業務にGPTを組み込んで様々なサービス展開を進めており、多くの業務の自動化を行なっている。以下のような業務をAIによって代行し始めているので、興味のある読者がいればぜひ問い合わせて頂きたい。

  1. SNS投稿

  2. 記事執筆

  3. 財務アドバイス

  4. DX企画

弊社はコンサルティングという非常にAIの影響を受けやすい業務を行なっているが、それゆえいち早くAIを取り入れて、AIによるコンサル業務の低価格化を行いたいと考えている。同じようにAIの可能性を検討している方がいれば是非ともディスカッションしたいので、お気軽にご連絡頂けると幸いだ。